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『ザ・フラッシュ』造形美術監督のピエール・ボハナさんと“スーツ談義”!「作品ごとに新しい解釈が出来ることが楽しい」



『THE BATMAN−ザ・バットマン−』、『ジョーカー』など数々の大ヒット作を生み出してきた DC。その最新作にして、DC だけでなく全てのヒーロー作品のゲームチェンジャーであり、既に“最高傑作”と謳われる超速タイムループ・アドベンチャー超大作『ザ・フラッシュ』が大ヒット上映中です。


本作に登場するフラッシュ、バットマンのマスクやコスチュームを手がけているのが造形美術監督のピエール・ボハナさん。『ジャスティス・リーグ』(2017)をはじめ、クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』(2008)やロバート・パティンソン主演『THE BATMAN ―ザ・バットマン―』(2022)にも参加しています。



そんなピエール・ボハナさんにインタビューを敢行! ご自身でコスチューム制作を行い、『ザ・フラッシュ』を愛する、TKC(@mogwaimogwai)さんと、Taxii(@gothamTaxii)さんと“創作談義”をしていただきました!


※この記事には、劇中のシーンについて具体的な説明が出てきます。まだ映画をご覧になっていない方はご注意ください※



◆TKC工房さん、ご自身のコスチュームや小物はもちろん、数々の衣装を手がけてきたスゴ腕のお方。

https://twitter.com/mogwaimogwai



◆Taxiiさん、この日は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のバットマンで来ていただきました。

https://twitter.com/gothamTaxii



ピエール・ボハナ(以下、ボハナ):このバットマンの衣装は全部手作りですか?


Taxii:「UD Replicas」というカナダのライセンスを取得しているメーカーからブーツとグローブを、カウル(マスク)はアメリカの友人から。タイツは購入したものを加工してマントは自作です


ボハナ:すごく出来が良いですね!


Taxii:ありがとうございます!スーツといえば『ザ・フラッシュ』の予告編でのベン・アフレックのスーツ、日本のバットマンコミュニティの中でも「ついにブルーxグレースーツのバットマンが出た!」と大きな話題になっていました。僕も興奮して100回は観たと思います。予告では紺色に見えましたが実物はもっと濃い色なのですね(実物を見ながら)。


ボハナ:衣装デザイナーと監督にとって苦渋の選択でした。ベンのスーツは青みのあるグレーを選んでいます。このブルーは昔のバットマンへのオマージュであるのですが、もっとブルーが強くなると他のスーツと合わなくなってしまうんですよね。予告は色の調整前だったのであの青さだったんです。本作の中でマイケルキートンの歴代のスーツがズラリと登場しますが、あの中にもブルーxグレースーツがありますね。それらもバランスを取りながら色味を考えています。コミックだと大胆にカラーを変えられたりしますが、立体物になって、誰かが身に着けると成立しなくなるということもあるから。映画ってどこかで妥協しないといけないんですよね。最終的には監督がチョイスすることです。


Taxii:そんな色々な制約がある中で、青みを入れていただいていることに感動しました。


ボハナ:そうですよね。このジャッジをしたのは監督だと思います。


Taxii:『ザ・フラッシュ』の中で出てきた歴代のバットマンスーツは実際に着ることが出来るのですか?


ボハナ:着られないんだ(笑)。着る予定はなかったから、とても硬い素材で作られているものもあるんだ。全て一度CGで作った後に、CNCマシンを使って、最後は手作業で仕上げて。モデルを作っていくような感じだよね。着られなくてもいいから楽だったよ(笑)。



Taxii:マイケル・キートン版バットマンといえば、黄色のシグナルと黄色のベルトのイメージが強いのですが、ベルトの色を変更した理由は何ですか?


ボハナ:これが、マイケル・キートン演じるブルースが着る最後のスーツなわけですよね。『バットマン』(1989)よりも『バットマン リターンズ』(1992)の方が黄色が薄く感じたから、進化していくと黄色が薄くなるのかな?と考えたんだ。ちなみに、今回のバットマンのスーツは、マイケル・キートンのスタントダブルの方に合わせて作っているんだ。彼はすごくスタイルが良くて、もちろんマイケル・キートンのスタイルも良いのだけど、年齢を重ねるとどうしても脚が細くなってしまうから、マイケルが着る時はパッドを入れて調整しているよ。


Taxii:『バットマン リターンズ』は小さい頃に観て号泣するくらい大好きな映画なのですが、まさかあのスーツの耳を切ってフラッシュになるとは…!ビックリしました。


ボハナ:バットマンスーツをフラッシュのスーツにするというのは、脚本の最初の稿から入っていて、「リスペクトが無くてガンガン改造してしまって、しかも下手だった」というのも決まっていたよ。撮影に使っているのは改造するように作ったスーツで、オリジナルはちゃんと保管されています。あの撮影には僕も立ち会ったのだけど、とても楽しかった! アンディ・ムスキエティ監督は本当にバットマンが大好きなんだよね。だから、あらゆるシーンにオマージュが入っている。僕はノーラン版バットマンと『ジャスティス・リーグ』と『THE BATMAN』に参加しているのだけど、本当に光栄に思っているよ。こうやって毎回違う解釈、新しい解釈が出来るんだって。



TKC:本作のフラッシュのスーツはとても未来的でテクノロジーが進んでいるデザインになっていますね。


ボハナ:そのことを視覚的に表現しなければいけないと思い、監督と衣装デザイナーとたくさん話し合いをしたよ。すごく電気が通るし、あれだけのスピードだから摩擦ダメージもものすごいし、そういった状況が納得出来る様なデザインになっているんだよね。


TKC:そんな未来のスーツからはじまって、先ほども話に出たバットマンスーツを改造したスーツも出てきて、その対比がすごく良かったです!


ボハナ:楽しかったですよね!真似しようと思っているのに全然違う(笑)。でも見た目が悪くても、さすがはウェイン産業。フラッシュが経験する摩擦や大量のエネルギーに耐えることが出来る。


TKC:ヘッドホンがすごく気になっていたので、最後にヘッドホンを装着して、そういうことか…!と。


ボハナ:そうそう!あれもアンディのアイデアだね。遊び心を入れたいと。最高だよね!



TKC:劇中でのフラッシュのスーツは全てCGですか?実際に着ることの出来るスーツもあるのでしょうか。


ボハナ:もちろんあります! 安定しないのでVFXも使っていますが、実際に着ながら撮影もしているよ。みんなが思っている以上にリアルスーツが活躍していると思う。それはすごく嬉しかったな。撮影時間も予算も限界があるし、この作品の場合は一度制作を休止していたから、またやろうとなった時に(スーツの)素材が全然手に入らなかったという問題がって。本当はもっとじっくりやりたかった部分もあるんだ。フラッシュのスーツが、これまでで一番苦労したスーツだった。1週間に2着作って、それを40人のスタッフで使って、時間が全然足りなかった。


Taxii:DC作品ってリアルスーツを必ず登場させているのがすごいですよね。


ボハナ:フィルムメーカーたちの選択ですよね。(他のシリーズでは)コンセプチュアルデザイナーがスーツのデザインを考えるので、実用性があまり考えられてない部分があって。例えばアイアンマンはカッコ良いのだけど、役者があまり着たく無いデザインになっている(笑)。


一同:笑い。


ボハナ:僕は出来るだけリアルを感じてもらいながらもストーリーに沿ったスーツを作りたいなと思っている。観ると、これはフルCGだなとか分かりますよね。動いた時に少しシワが寄るとか、そういった動きも必要だと思っているよ。


TKC・Taxii:今日は素敵なお話をありがとうございました!



終始大盛り上がりだったインタビュー。クリエイター同士は惹かれ合う…!! ボハナさん、TKCさん、Taxiiさん、どうもありがとうございました!



『ザ・フラッシュ』大ヒット公開中!

ワーナー・ブラザース映画

(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC


撮影:オサダコウジ


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