2月27日から3月2日までスペイン・バルセロナで開催された、世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2023」。
4年ぶりに現地出展したNTTドコモはオンラインプレスツアーを開催し、「6G」「XR」「オープンRAN」の3テーマを掲げたブース展示を日本からも取材することができた。
「6G」でヒトの感覚情報が伝わる時代へ
6Gのブースで目を引いたのが、人間拡張基盤を用いた動作の共有に関するデモンストレーション。
ドラム演奏する人物の身体の感覚情報を6Gネットワークで共有して、その電気信号を受け取った他者の腕や脚を遠隔で操作するというもの。6Gの特徴のひとつである、5Gを超える超低遅延によって実現可能になるという。送られる感覚情報は、個々の身体特性も加味して物理的運動に変換されるため、体格が異なる相手にも情報伝達が可能だ。
例えばピアノ演奏であれば、スタッカートやレガートなど口頭では伝達が難しい感覚的な動作でも、先生が生徒に遠隔で指導することができるようになる。
また、触覚共有技術「フィールテック」のデモも実施された。チャックやフェルト、タイルなど様々な素材を触った時の感覚の違いが、ボール型デバイスを通じて他者の手に伝わる様子が紹介された。素材のデコボコやサラサラ感が遠隔で伝わることで、今後はECなどの分野でも活用が見込まれる。
ゴジラが出現した「XR」ブース
NTTコノキューが展開するXRのブースでは、ブラウザベースのメタバース「XR World」やVRプラットフォーム「Matrix Stream」などを展示。
スマホやPCから手軽にアクセスできるXR Worldでは、ゴジラとコラボしたメタバース空間を用意し、ユーザーがアバターを自由に操作することができた。日本が誇る海外でも人気のコンテンツとあって、現地の来場者もゴジラを間近に見る大迫力のメタバース体験を楽しんでいた。
Matrix Streamはハイクオリティのバーチャル音楽ライブを手軽に生成できるプラットフォーム。キャラクターとユーザーのインタラクティブなコミュニケーションを可能にするリアルタイム性や、2DやVRなどの環境を問わず好きなデバイスに映像送出できる汎用性といった特徴をアピールしていた。
新ブランド「OREX」発足で「オープンRAN」支援体制を強化
オープン RANとは、無線基地局の仕様をオープンかつ標準化することにより、多様な通信機器ベンダーの装置やシステムとの相互接続を可能にする取り組みのこと。ドコモは世界で唯一4G時代から複数の通信機器ベンダーで通信ネットワークを構築してきた知見を活かし、世界の通信格差の解消に取り組んでいる。
ドコモはグローバルベンダー13社と協業してオープンRANサービスの新ブランド「OREX」を立ち上げ、世界の通信事業者のオープンRAN導入支援を本格化してく狙いだ。なお、ブースではコンシューマー向けには伝わりにくいオープン RANの仕組みをパズルゲーム形式で学べるコンテンツが展示されていた。