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社会で働く女性の心理を鋭く柔らかく描く『シノノメ色の週末』穐山茉由監督インタビュー「今悩んでいる人達に1つの形として、この映画を提示したい」


絶賛公開中の映画『シノノメ色の週末』。元乃木坂46初代キャプテンで卒業後は俳優として活躍する桜井玲香の映画初主演作、岡崎紗絵、三戸なつめ共演の話題作です。

「女子高ならではの空気感」への共感や、「アラサー世代の惑いや葛藤そして希望を繊細に描いていて共感した」という賞賛コメントが相次いでいる本作。穐山茉由監督初の長編商業映画となる本作で、監督の持つ会社員と映画監督というダブルワークの経験をもとに、社会で働く女性たちの心理を、独自の目線で鋭く柔らかく、オリジナル脚本で描いています。

本作で穐山監督が描きたかったこと、作品に込めた想いを伺いました。

ーー本作大変楽しく拝見させていただきました。すごく響くセリフも多かったです。20代後半の仕事や夢に関する悩みについて描こうと思った理由を教えてください。

私も実際に美玲達と同じくらいの年の時は、すごく悩んでかなりくすぶっていました。年齢なんて関係ないと思いつつも、30歳になる前ってちょっと焦ったりするじゃないですか。

ーーすごく分かります。実際に私もそのくらいに転職をしていますし、20代後半って将来を考える時期ですよね。

そうなんですよね。私が映画を撮り始めたのは20代後半からです。20代後半の頃って、周りからのイメージとか既成概念とかにとらわれてしまいがちなところがあって苦しんだことがあります。仕事もある程度慣れてきて、結婚するのか、出世したいのか、この仕事をこのまま続けるのかとか、色々と考えてしまって。そういう年代につきまとう、固定概念みたいな価値観みたいなものを取っ払った時にようやく自分の本当にやりたいことが見えてきた気がします。そういう自分の体験を、今悩んでいる人達に1つの形として、この映画を提示できたら良いなと思いました。

ーー先日、主演の桜井玲香さんにお話を伺う機会があったのですが、美玲ちゃんのセリフは本当に刺さるものが多かったとおっしゃっていました。

本当に、なかなか辛いセリフを言わせてしまっているのですが(笑)。桜井さんはとても繊細で真面目な方で、美玲とは全然違うタイプなのですが、でもクラスの中心にいてイケイケな感じの美玲の中に繊細さが実はすごくあって。そんな絶妙な部分を上手に表現してくださったとおもいます。桜井さんが演じることで優しい雰囲気が出ていて。

ーー周りには強く見せてしまう部分があるけれど、本当は一番悩んでいて、本当に愛しいキャラクターでした。

人に見せたくない部分って誰にでもありますよね。そんな誰しもが抱えている様な気持ちを美玲が代弁してくれているというか、そんな美玲を映画で受け止めたかった部分があります。

ーー人物描写がとてもリアルで引き込まれてしまったのですが、監督ご自身の経験も活かされているのでしょうか?

私自身というよりは、身の回りで起きていることを結構リアルに入れています。私は今もファッション業界で働いていて、モデルさんとも仕事で関わることが多くて。モデルを選ぶオーディションをしていたこともあります。選ばないといけないので、仕方がないとはいえ本当に見た目でオーディションを落とされていくので、色々思うところがありました。落とされる側の気持ちになった時、どんなことを思うのだろう、と思い色々とお話を聞いたり。

ーー着物とか本当にシビアですよね。若いモデルさんは振袖で、20代後半になると地味な色の着物になるという。

本当に年齢や見た目でジャッジされてしまう世界なんですよね。この映画では一つの業界としてモデルやファッションについて描いていますが、他の職業の方でもそういったことを感じることってあると思うんです。でも「こうあるべきだ」という考え方を取っ払っうことが出来たらすごく楽になるというか。

ーーそういう意味ですごく元気の出る作品ですよね。見終わった後に「明日もがんばろう!」となります。本作で女子校を一つの舞台としたのはどんな理由からですか?

私自身が女子校出身なのですが、卒業してから、あれって変わった環境だったんだなと思ったんです。あとは女子校っていうだけで「すごくギスギスしていそう」「人間家系が怖そう」という世間のイメージがあることに驚いて。でも女子校って実は平和なんです(笑)。だから、私がリアルな女子校の雰囲気を描いてみたいという気持ちがずっとありました。でも私が女子校を舞台にするならば、ティーン向けの作品ではなくて、先にいった様な、30歳手前の悩んでいる人たちに寄り添う作品にしたかったので、廃校という設定にしています。

ーー女子校の雰囲気、この3人の雰囲気、すごくあたたかくて可愛らしくて、「こんな子クラスにいるよなあ」という感じがして魅力的ですよね。

ありがとうございます。特にアンディみたいな子っていたなあって思う方が多いのではないでしょうか(笑)。桜井さん、岡崎さん、三戸さん3人とも勝手に仲良くなってくれたので。空気感がすごく良くて。本当に自然な感じでやってもらおうと思いました。楽しい雰囲気が映画にも出ていてありがたいなと思います。

ーー本作は、仕事や夢に悩む女性の姿が描かれていますが、監督ご自身もファッション業界で働きながら映画監督をするというダブルワークの形をとられています。監督になろうと思った、映画を作りたいと思ったきっかけは何ですか?

映画を観ることは元々好きだったのですが、実際に作ろうと思ったのは、会社員になってからです。元々ものづくりをしたかったのですが、当時の仕事はものを作るのではなく宣伝したりする仕事でした。その仕事もすごく楽しかったのですが、デザイナーが作った世界を伝えるのが仕事なので、自分の持つ世界を表現する感覚が少しずつこぼれ落ちている感覚がありました。ものづくりをやりたい気持ちのまま、写真をやったり、バンドを組んだり、いろいろやってみて、そのうちの1つに映画を撮ってみたいというのがありました。ワークショップに行って実際に映画を1回撮ってみたらすごくおもしろくて、本格的にちゃんと勉強したいと思い、働きながら夜間で「映画美学校」に通って勉強したという感じです。

ーーお仕事をしながら学校にも通われるなんて、本当に素晴らしい行動力ですね!

映画を作る以外は全然続かなかったんですけどね(笑)。映画作りが合っていたのかなと思います。

ーー監督が映画を撮りたいと思ったきっかけとなる作品や、監督はいますか?

井口奈己監督の『人のセックスを笑うな』という作品が「映画を撮りたい」と思ったきっかけです。この作品を観て、映画館を出た時に良い映画を観たという高揚感だけでなく、すごく複雑な気持ちになって。私もこういう映画を撮りたいと思ったのをよく覚えています。

ーーありがとうございます。最後に、お伝えしたかったのですが、実は、劇中のオーディションシーンに出てくる優紀さんというモデルさんと交流があり、エンドロールにもお名前があって私も驚き嬉しかったです。
(https://getnews.jp/archives/3058331 [リンク]

そうだったんですね!現役のモデルさんとして、色々とお話を聞かせていただきました。やっぱりモデルさんという当人にしか分からないリアルな気持ちや感情があると思うので、セリフの参考にさせてもらっています。試写で観ていただいた後も喜んでくれていたので、私もすごく嬉しかったです。

ーー私もこの映画に出会えることが出来てよかったです。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!

『シノノメ色の週末』大ヒット上映中!

(C)2021「シノノメ色の週末」製作委員会

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