川原礫氏による小説『ソードアート・オンライン』シリーズ(「電撃文庫」刊)。 次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた物語は、 2009年4月の原 作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、2021年現在、全世界での累計発行部数は2,600万部を超える大ヒットとなっています。そして、原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編となる 『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』は10月30日(土)公開となります。
本作は、《SAO》物語のすべての始まり、《アインクラッド》第一層からの軌跡を、深く掘り下げながら詳細に描く作者自身によるリブート・シリーズ。 原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編を、 完全新作アニメーションで映画化。
今回は、キリト役の松岡禎丞さん、アスナ/結城明日奈役の戸松遥さん、ミト/兎沢深澄役の水瀬いのりさんにお話をお聞きしました。
ーー本作大変楽しく拝見させていただきました! アスナ視点の物語ということで、ミトという新しいキャラクターも登場していますが、演じられていかがでしたか?
松岡:今回新キャラクターとして「ミト」という人物が参加して、物語の深みがさらに増したなと感じました。ミトはアスナと友人であったこともあり、現実世界でのやりとりもたっぷり描かれているので、ミトというキャラクターが出てきてくれて良かったなあと思います。そして、キリトとアスナがはじめて対峙した時の距離感が、アクリル板どころじゃなくてコンクリートくらい厚かったんだなと、改めて感じました。
戸松:これまでのシリーズの中で、時系列的に最初のお話になるのですが、新作を作る様な気持ちで挑みました。アスナの「ソードアート・オンライン」での経験値や人との絆が出来上がる前のお話なので、全部が新鮮でした。新しいアスナを演じる、そんな気持ちでした。
ーー水瀬さんはミトというキャラクターでシリーズに参加されていかがだったでしょうか。
水瀬:本作の「ゲームであっても、遊びではない」という世界観に、ミトというキャラクターと共に入るということで、この作品の持つ緊迫感であったり、命というものの重みを改めて感じさせていただきました。アスナとミトは現実世界でも友人で、その2人だからこそ、緊迫した世界でも前向きになれるという事が大切に描かれていて。アスナにとっても、この時間があったから前に進めるきっかけになったのかなと思いました。アフレコでは、2人の関係性、お互いがどれだけ大きな存在であるかということを、遥さんのお声を聞いてさらに感じることができ、ミトという大切なキャラクターに合格出来たことの嬉しさと重みを感じることができました。
ーー資料を拝見して、水瀬さんは以前も「ソードアート・オンライン」のオーディションに参加されたことがあるそうですね。
水瀬:当時は、記念受験じゃないですけど、第一ステップとしてまずオーディションに呼んでいただけたことが嬉しくて。色々なキャラクターのオーディションを受けさせていただいて、ミトに決まるまでに落ちてしまったキャラクターも何人かいました。ご縁があって、演じさせていただいたミトは「ソードアート・オンライン」のはじまりの物語に出てくるということで、報われた様な気持ちでした。シリーズが進んでいるからこそ、映像化してもらえたミトというキャラクターだと思いましたし、スタッフの皆さんを含め、世界中のファンの皆さんが応援してくださっていたからこそ、こうして演じられたのだと思います。歴史を感じながら、ミトが新しい風の様な存在になれたら良いなと思いました。とはいえ、気負わずに演じようと思っていたのですが久しぶりに緊張で、台本が手汗でパリパリになってしまいました(笑)。
ーー本作は「ソードアート・オンライン」シリーズのすべての始まりになっていますが、改めてシリーズ前作を見直したり、過去作品を意識した部分はありますか?
松岡:当時のキリトのお芝居を、今の僕が全力でやってしまったら全然違うものになってしまうと思いました。とはいえ、当時の自分の全力を、無いものにはしたくなかったので、今回の為に見返したりもしました。でもやはり、今の自分で演じると、あの時のキリトでは無いんですよね。そんな時にラジオ番組で足立さん(キャラクターデザインの足立慎吾)に「今のままの松岡君で演じればいいよ」と言っていただいて、吹っ切れました。当時の自分と今の自分のいいとこ取りをしようと思って演じました。
本作には、TVアニメ「ソードアート・オンライン」と同じシーンがいくつか出てくるのですが、当時の収録後に気になっていた部分を、満足に演じ直すことが出来て、完成した作品を観た時に密かにガッツポーズしました。
水瀬:素晴しいですね、いいですね〜!
松岡:いや、今回に関しては、本当に自分にグッジョブをあげたいです。
戸松・水瀬:おお〜!!(拍手)
戸松:私も声の高さとか年齢感を確認する為に見返しました。でも同じキャラクターではあるのですが、当時のアスナの物真似にはしたくなかったので、改たな気持ちでアスナを演じています。映画の中のアスナ自身が、「ソードアート・オンライン」やオンラインゲームの知識がゼロの状態だったので、私もリセットされた感覚でした。10年くらいの付き合いになるキャラクターですが、新しい感覚で臨めました。
ーー本作のアスナはシリーズファンの方にもすごく新鮮だと思います。カッコ良さはもちろん、可愛らしさも際立っていますね。
戸松:プライベートのアスナがすごく新鮮でした。中学生の結城明日奈が普段、学校や家でどんな風に過ごしているのかって、TVアニメでは掘り下げきれなかったと思うのですが、劇場版では細かく描写されています。ミトとどんな風に学校で過ごしていたのか、という所も楽しんでいただけると思います。今回、アスナと関わってくる登場人物がすごく少ないのに、色々なことがギュッとつまっています。
水瀬:緊迫感のある、命を失う恐れのあるゲーム内でも、ミトとアスナには楽しい時間もあって。自分がスキルアップすればするほど、敵も強くなっていくというRPGの王道に苦しめられたり。一筋縄ではいかない「ソードアート・オンライン」の世界の中で、色々な方向に感情を引っ張られながら演じました。
ーーアスナとミトの関係は、親友の様な戦友の様な、とても素敵な関係だなと思いました。皆さんにとって、その様な大切な友人はいらっしゃいますか?
戸松:私は「スフィア」がそうかもしれないです。メンバー(寿美菜子、高垣彩陽、豊崎愛生)は事務所の同期でもあって、15、6年のお付き合いになるのですが、もう家族みたいな感じですね(笑)。アスナとミトみたいに学生の頃に出会って、その後大人になってそれぞれが仕事で頑張るライバルみたいな感じでもあって。友情の形ってどんどん変わっていくと思うのですが、アスナとミトも、ただ「楽しいね〜!」みたいに言い合う仲では無いのかな、と思っていて。切磋琢磨しあう相手と出会えた事は本当に嬉しいですね。それこそ彩陽は「ソードアート・オンライン」のリズベットとして出演しています。
水瀬:私は自己完結型なので、あんまり悩みとかをプライベートの友達に話すことが無くて。私が友達に話して解決することを手段として選ばないので、自問自答して終わることが多いんですよね。友達に仕事の話をすることはほとんどなくて、遊ぶ時は本当に等身大の今を生きる私という感じです。声優のお仕事で、色々な役柄をやらせていただいているので、自分って何だろう?と思うことも10代の時にありました。そんな時に「あなたってこうだよ」って指標を示してくれるのが学生時代の友達で。友達との時間が自分の価値観を保てる場所であって、セーブポイント的な存在だと思います。
松岡:こういった質問をいただいた時に、テンプレみたいになってしまうのですが…。
戸松:きた!
松岡:やっぱり(島崎)信長になっちゃうんですよね。
水瀬:ですよね!待っていました!
松岡:信長とはお互い、初対面の印象が最悪で。むこうが一生懸命話しかけてくれるのに、こちらは塩対応みたいな感じでした。こちらは信長のこと「ウェイ系で、付き合っていけないタイプだ」と勝手に思っていたので。蓋を開けてみたら、ただのおバカだったのですが(笑)。昔から一緒に飲みに行ったり、同じ先輩に叱咤激励され。同じ職業に就いている仲間でもあり、何でも言い合える気を遣わない友人でもあるというか。自然体になれる存在だと思います。
ーー映画をご覧になった方は、きっと大切な友人や仲間を思い浮かべるのではないかと思いました。今日は本当に素敵なお話をありがとうございました!
撮影:オサダコウジ
(C)2020 川原礫/KADOKAWA/SAO-P Project
【STAFF】
原作・ストーリー原案:川原 礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
アクションディレクター・モンスターデザイン:甲斐泰之
サブキャラクターデザイン:秋月 彩・石川智美・渡邊敬介
プロップデザイン:東島久志
美術監督:伊藤友沙
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:中野尚美
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:織田健吾・中島 宏
2Dワークス:宮原洋平・関 香織
編集:廣瀬清志
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
プロデュース:EGG FIRM・ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
製作:SAO-P Project
【CAST】
キリト:松岡禎丞
アスナ / 結城明日奈:戸松 遥
ミト / 兎沢深澄:水瀬いのり
クライン:平田広明
エギル:安元洋貴
シリカ:日高里菜
ディアベル:檜山修之
キバオウ:関 智一
茅場晶彦:山寺宏一
【音楽】
「往け」 LiSA(SACRA MUSIC)
作詞:LiSA /作曲:Ayase /編曲:江口 亮