踏切で自殺しようとしているOLを变化させてタヌキにしてしまうという話が大きな反響を呼んだ奈川トモさん(@nagawatomo)のマンガ『死のうとしたらタヌキにスカウトされたOLさん』。シリーズの最新話『人間を破滅へ誘う闇のタヌキ』では、初登場の一見悪そうな中二病のタヌキが人を惑わそうとするストーリーになっています。
※参考記事 芸達者・死のうとする人をスカウト・变化できない…… Twitter発のタヌキマンガが名作ぞろい!
https://otajo.jp/91212 [リンク]
人間を破滅へ誘う闇のタヌキ(2/2) pic.twitter.com/NtsPRrw81k—奈川トモ( ◜ω◝و(و "(@nagawatomo) November 1, 2020
「巷では死のうとする人間を救うタヌキがいるのだが…、僕はああいう偽善者が大嫌いだ。僕はそんなことはしない」といい、「ねえ、おじさん。もうブッ壊しちゃいなよ、何もかも…。その上司も世界もぜんぶ消しちゃえばいい」と吹き込み、「そうだ…何もかも…もう…」とつぶやく相手に「頑張ってね。応援してるよ」と背を向けた男、「僕は人間の心をぐちゃぐちゃにするのが大好きなんだ」とタヌキに戻ります。
「僕の名前はAZ(アズ)。始まりと終わりを司る者。都会の闇に紛れ、人の姿を借り…。この世界を影から動かす獣だ」と自認。彼の今夜の獲物は、踏切待ちをしている間に「そう…全部私が悪い…私がしっかりするべきよね…ごめんなさい…」と暗い顔で電話している女性。そこにAZが「おねーさん、死にたいって顔してるね…」と声をかけます。
「でもね、お姉さんみたいな人間…どこにでもいるよ」と言われて「あんた何?私の何を知って…」と怒る女性に対して、「どうせみんな死ぬ理由なんて似たり寄ったりでしょ」と続けるAZ。「君が消えても世界は何も変わらず回る!いつ死んでもいいんだよ!早いか遅いかそれだけの違いなんだ」と言い、「ほうら死にたくなってきた」と愉悦の表情を浮かべて、「そのまま電車に飛び込んじゃ…」と思いますが……。
「っさいわね!」とハンドバッグで殴られたAZ。その間に電車が通り過ぎ、女性が思いの丈をぶちまけるのを頬を抑えつつ聞きます。
全部気持ちを吐き出して息を荒げる女性と、ビクビク震えているAZ。「叩いてごめん。でもアンタも自業自得なんだからね」という女性は、「すっきりしちゃった。…そうよね、私がいなくても世界は変わらず回る。それってさ…」と続けて……。
「自分を決めつけたり、縛られなくていいってことだよね!」と笑顔になる女性。「なんか気が楽になったわ。あんがとね」とお礼を言われて「あ…とんでもないっす…」と答えるAZ。それに吹き出す声がして、「こがね丸!?いつから見て…」と振り返ると、「偽善者」呼ばわりしていたこがね丸。「いつからって…、街で見かけた時から」と言われて、「最初からじゃねーかッ!」となったところに、「あれ?こないだのお兄さんだよね」という声が。
前に惑わしたつもりのおじさんが「前に悩み聞いてくれたよね」と言い「は?」となるAZ。「小豆丸、お前また悩み聞いてやったのか~いい奴だな~」とこがね丸に茶化されて「その名前で呼ぶな!AZだ!」と抗議しますが、おじさんに「君に何もかも壊しちゃえって言われてさ、思い切って上司とぶつかったんだ。そうしたらお互い言いたいことをちゃんと言えるようになって…。よくよく話し合ってまた一から頑張ろうってことになったんだ。君のおかげだよ。ありがとう」と言われて茫然となります。
「お前なんだかんだでいつも人間を笑顔にしてくよな。さすが縁起のいい小豆ま」と言うこがね丸の足に噛みつき、二匹ともタヌキに戻って追いかけっこをはじめます。「これだから人間もこがね丸も嫌なんだよッ」と思う小豆丸とこがね丸のことを、街の人たちが目撃して「かわいい~」と思われているのでした。
奈川さんによると、「今回のお話は、メインキャラであるこがね丸とは逆のキャラクターを作ったらどうなるだろうと考えたのがきっかけでした。人間好きのこがね丸に対して、人間嫌いの小豆丸。長年生きたような落ち着きのあるこがね丸と、中二病な小豆丸……といった感じです。ただし読後感は嫌なものにしたくなかったので、最後は笑えるものにしようと思っていました」という今回の話。
AZ=小豆丸については、「こがね丸と人間が嫌いで、人間を陥れることに喜びを感じる大変嫌な奴です。けれど上手くいった試しがないので、ますます人間嫌いになっています。そして、人間が嫌いだ嫌いだと言いながら街に行くんですよね。無関心ではいられなくて、むしろ都会を好んでいます。カッコイイものに対しても憧れが強くて、そうなりきれない自分に対してコンプレックスも持ち合わせています。あと小豆丸という名前も縁起が良くて可愛らしいのでコンプレックスです」と教えてくれました。
「愛すべきポンコツ」「タヌキに悪い奴はいない」といった反応や、「ハラハラしたけど杞憂だった」という声が集まっていたことについては、「これまでとは違った冒頭だったので、物語がどうなってしまうのか不安に感じた方もおられたのですが、最後まで読んでみて小豆丸を気に入ってくださった方が多くて嬉しかったです。また小豆丸がちょっかいを出したお姉さんが清々しく立ち去るシーンで元気をもらったという方や、いっぱい笑ってくれた方もいてくださって、とても嬉しかったです」とコメントしてくれました。
新たなタヌキの登場で、今後の展開がさらに楽しみになったこのシリーズ。奈川さんによると「小豆丸はいずれまた登場させたいと思っています! たぬきの漫画は毎月1日と15日あたりの更新を目標に制作しています。進行具合によってはズレることもあるかと思いますが、楽しみにしていただけますと幸いです」とのことなので期待大です。
※画像はTwitterより
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