こんにちは。元ニコニコ動画運営のひろゆきです。
IT業界の中では話題になってる裁判ですけど、世間的にはまったく知られていないCOINHIVE事件高裁判決を解説してみます。
COINHIVE事件というのは、広告の代わりにCOINHIVEというビットコインのように仮想通貨をマイニングをするスクリプトをウェブサイトに置いてたら警察が来て「不正指令電磁的記録に関する罪」で逮捕されて、裁判をやってるという事件です。
元々は、コンピューターウイルスを作ったりした人を逮捕しようという法律だったのですね。
ウイルスというのは、パソコンの利用者が意図しない挙動をすることで、データを勝手にどこかに送ったり、データを消しちゃったり、遠隔でパソコンを操作できるようにしたりとかしちゃうわけです。
COINHIVE事件の場合は、そのサイトを閲覧している最中に、マイニングをすることでCPUパワーを使うよね、、ということで、データを消したり、勝手にデータを送信したり、パソコンが遠隔操作されたりすることはないわけです。
んで、CPUパワーを使うよね、、という実害に関して言うと、ニュースサイトをみてたら、動画の広告が勝手に再生されて、やたらにCPUパワーを使うよねってのと一緒だったりするので、COINHIVEがダメなら動画広告載せてるやつもウザいから逮捕してくれよ、、、って言われてたりします。
個人的には、新宿とか渋谷の混んでる道路をグルグル回って大音量で宣伝してるトラックのほうがよっぽど世の中に迷惑かけてると思うのですけど、逮捕されないですよね。。。
さて、地裁判決では無罪だったのですが、高裁では一転して有罪になったのですが、判決が上がってたので解説してみます。
高等裁判所の判断をざっくり説明すると、、、
1、サイトを見た人のパソコンの電力使って負荷をかけてますよね。
2、利益があがったとしても、サイトを閲覧した人に利益を分けたりしないですよね。
3、マイニングしてることの説明表記もないし、拒絶することも出来ないですよね。
したがって、サイト閲覧者に無断でパソコンを利用して利益を得ているので、ウイルス仕込んだのと同じです。
ってことになっています。
動画広告とかは、広告が出てるのは見ればわかるので、広告があることを説明してるということになるので、ウイルスとは違うという判断が出来そうです。
んで、ここで気になったのが、ニコニコ動画の時報なんですよね。。。
ニコニコ動画で夜中に突然時報が流れたってので驚いた人いますよね。。。
あれって、時報があること、時報が流れることの説明はしてなかったりします。んで、時報を避けることが出来るのは、有料会員だけなんですよね。。。
そして、時報を使ってイベントの告知とかをしているので、時報でお知らせをすることで、ニコニコ動画は利益を得ているけど、ユーザーには分配してないとか言えちゃったりするわけです。。。
つまり、高等裁判所の判断に従うと、ニコニコ動画はウイルス配布サイトってことになっちゃうんですよね。。。
んで、おいらが言いたいのは、「ニコニコ動画は違法で危険!」ってことではなくて、世の中に存在しないものを作るのがクリエイターや開発者なのですが、、最初に世に出すときは、どういうことが起きるのかは、閲覧者が知らないのは当たり前なのです。
それを「見る人が知らない機能を提供して、利益になるんだからウイルスだよ!」ってなことで逮捕されたりするんだったら、日本で新しい技術を作ろうとする人はますます減りますよね。。。
ヘリコプターのラジコンは日本が世界の中で大きなシェアを占めていたのに、ドローンを規制する流れになって、日本のメーカーは立ち遅れて、ドローン市場では日本のメーカーはほとんど活躍出来ていなくて、、、
検索エンジンが著作権法のおかげで違法になって、Gooとかinfoseekとか国産の検索エンジンがなくなっちゃって、、、
ビットコインなどの仮想通貨に繋がるp2pの自立ネットワークの先駆けであるWinnyは開発者が逮捕されて、亡くなっちゃうし、、、
ということで、COINHIVE事件のおかげでまた日本から技術者が生まれなくなるんですけど、ITの重要性がわからないので、ハンコ屋にIT大臣やらせるような国なんだからしょうがないですよね。。。それが民意ってことで。
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