『ハイテンション』や『ヒルズ・ハブ・アイズ』といったホラー映画を監督し、近年では『ホーンズ 容疑者と告白の角』『ルイの9番目の人生』といったジャンルミックスな傑作を手掛けたアレクサンドル・アジャ監督。ハリケーンによる浸水のさなか、ワニの群れに襲われる恐怖を描く最新作『クロール―凶暴領域―』(10/11公開)で、手に汗握るホラー映画に回帰した。
そんなアレクサンドル・アジャ監督のオフィシャルインタビューが到着。“ホラー映画が自分のDNA”という熱いコメントや、アジャ監督をして“超ヤバい”と言わしめる、パワフルな主人公を演じたカヤ・スコデラリオの裏話も必読だ。
鑑賞前に観客がすべき心づもりも語ってくれているので、映画を観る前にぜひどうぞ。
アレクサンドル・アジャ監督インタビュー
――この作品との出会いについてお聞かせください。
アレクサンドル・アジャ監督(以下、アジャ監督):すごく怖い映画が作れそうなストーリーを探していました。『ヒルズ・ハブ・アイズ』みたいな、強烈な緊迫感があるものをやりたくて。『ピラニア3D』のようなコメディも作りましたが、本当に観客を震え上がらせる、映画館の座席で凍り付かせてしまうような、没入感のある作品です。脚本や本を色々読んでいるときに、『クロール ―凶暴領域―』の脚本が送られてきたんです。脚本の売り込み文句(ログライン)に、“カテゴリー5のハリケーンの中、フロリダの冠水した地域、ワニがうようよ泳ぐ状況で、若い女性が父親を助けなければならない”とあって。僕が求めていたものとぴったりでした。何かが降りてきて、「これは僕が作る」とすんなり思ったんです。サバイバル要素と、恐怖の組み合わせがちょうどよかった。
――撮影はいかがでしたか?
アジャ監督:毎日ウェットスーツを着て、強風と雨の中ずっと水に浸かっているという、本当に難しくて大変な撮影でした。俳優たちも同じでしたから、本当に厳しかったです。作品の内容がサバイバルなんだけど、僕ら作り手もサバイバルでした。水に浸かって撮影するという状況は前の作品で経験があったはずなんですが、どれほど大変か忘れていました。「ああ、暖かくて快適な自宅でこのシーンを書いた自分は何を考えていたんだ……」って。でも結局はすごく楽しいから、また戻るだろうなと思います。
「息子にヤバいママを見せたいし」
――それでは、撮影準備も大変だったのでしょうか?
アジャ監督:どんな映画も入念な準備が必要です。映画製作にはお金がかかりますから、やり直す時間は与えられません。何をするか完璧に押さえておかないと。僕は脚本を徹底的に練ります。脚本が何をおいても一番重要で、あとはストーリーボードとショット(カット)リストですね。全シーン、撮るカットのリストを作ります。自分がどう撮るのかは完璧に準備しておきたいですが、それからは俳優との協力作業です。ブロックごとに、彼らがその場をどう支配するか。特に、腹這いになるスペースや浸水したところでのシーンは、誰がどこでどう動いてどう反応しあうかが、“そのシーンが説得力を持つかどうか”を左右します。
――俳優の撮影環境もとても過酷だったのですね。
アジャ監督:彼らがどう言おうと分かっていたはずです。脚本に書いてありますから(笑)。いえ、カヤ(・スコデラリオ)とバリー(・ペッパー)なしに映画は作り得ませんでした。二人とも、素晴らしく頼もしかったです。「カヤ、何が来るか分かるよね、本当にやる?」と聞いても、彼女は「ええ、大丈夫。息子にヤバいママを見せたいし」と。超ヤバかったです。
すごく楽しい、手に汗握る恐怖映画です
――観客はどんな準備をして、この映画を見るべきでしょうか?
アジャ監督:豪雨ですから、雨具は完全防備で来たほうが良いですね(笑)。いえ、すごく楽しい、手に汗握る恐怖映画です。『アベンジャーズ』や『スター・ウォーズ』ら超大作が軒並み公開される市場で、『クロール ―凶暴領域―』のような作品が人気があるのは、没頭できるからです。あなたも暴風雨にさらされる。あなたも、あの地下室にいる。あなたも、水位がどんどん上がっていく中、必死で屋根を目指すんです。時間は刻一刻となくなっていき、ワニも慣れてきて攻撃は激しくなります。怖い思いをする、でも生き残れるかも知れない、楽しいんです。
――監督にとっては、久しぶりのホラー映画ですがいかがでしたか?
アジャ監督:れっきとした直球のホラー映画に戻れてよかったです。僕のDNAなんだと実感しました。扉の陰から飛び出して人を驚かすみたいで、この作品を作るのは、すごく楽しかったです。ワクワクするんです。
『クロール―凶暴領域―』
10月11日(金)日本上陸
(C) 2019 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
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