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ノルウェー「グリーン首都 オスロ」の思ひで…(おさんぽわんこの旅の思ひで -ヨーロッパ編-)



今回はおさんぽわんこさんのブログ『おさんぽわんこの旅の思ひで -ヨーロッパ編-』からご寄稿いただきました。


ノルウェー「グリーン首都 オスロ」の思ひで…(おさんぽわんこの旅の思ひで -ヨーロッパ編-)


観光の時間です.

今日はノルウェーの「オスロ(Oslo)」でお散歩です.



電気自動車の普及促進や公共交通機関の改善,サイクリングロードの整備などを行うオスロは欧州グリーン首都賞を受賞しました.


欧州グリーン首都賞


「European Green Capital Award」『European Commission』

http://ec.europa.eu/environment/europeangreencapital/index_en.htm


EU加盟国と加盟候補国,およびアイスランド,リヒテンシュタイン,ノルウェー,スイスの(人口10万人以上の)都市から,高い環境目標を達成した都市が表彰されます(歴代グリーン首都:http://eumag.jp/issues/c0613/).

毎年1都市が選ばれ,受賞した都市は1年間「グリーン都市」を名乗ることができます.2019年,その栄誉を受けたのがノルウェーの首都オスロです.


グーリン都市 オスロ


ノルウェーの首都,オスロ.オスロフィヨルドの奥に位置するこの街には約66万人が暮らしています.気候変動への取り組みに積極的で,2020年までに1990年比で50%の排出削減を掲げており,さらに2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現することを目標としています.


 

欧州グリーン首都賞を受賞したオスロ.

地球環境のために,環境改善や生活水準を向上させる取り組み事例を世界に紹介します.


オスロで温暖化ガスの主要排出源となっているのがその60%を占める輸送関連です.

そのためにゼロエミッションの輸送機関を奨励したり,市内の道路における有料区間導入や料金引き上げを行ったりしました.それだけではなく,公共交通機関の利用料引き下げを合わせて行うことで,車の交通量を減少させました.

人口増加にもかかわらず2008年以降はtoll barrierを通過する車が減少しています.2005年から2015年にかけて公共交通機関の利用は21%から32%に増加し,車所有率は45%から34%へと減少しました.渋滞も緩和され温室効果ガスの排出が抑えられるのです.また通行料から得た収益は公共交通機関の改善だけではなく自転車や徒歩での移動を快適にするためにも投資されています.


 

【2018年オスロのお散歩】

市庁舎前の通りには自転車専用レーンとレンタルバイクを止める柵がありました.



もちろん,オスロ市内の他の場所でも自転車専用レーンが設置されています.



ムンク美術館の近くです.自転車用の道路標識もあります.



沢山の人が利用する公共交通機関も環境に優しいものでなくてはなりません.

オスロとアーケスフース地域(Akershus region)には,公共交通機関を2020年までに再生可能エネルギーによる低公害またはゼロエミッションにするという目標(Fossil Free 2020 project)があります.

バス運営会社Ruterは2012年から水素燃料電池バス(fuel cell bus)のテスト走行を始めています.オスロを走るバスは2025年までに60%が電化される予定だそうです.



Ruter『Fossil Free 2020』より


 


バイオエネルギーは重要な再生可能エネルギー源とされており,街の下水はシティーバスやトラックの燃料として使われています.


2017年以降,街中の乗用車駐車スペース(street parking spots)が700ヵ所ほど削減され,歩行者専用の道や幅広い歩道などとして有効活用されています.



市庁舎前は歩行者がくつろげるスペースでした.以前は車が占領していた場所を自転車スタンドや文化活動の場として利用しているのです.今後も調整を行いながら車の交通規制を導入されていくそうです.

車の数が減少したことで大気汚染の数値も低下したオスロは環境だけではなく人にも優しい町なのです.フィヨルドの近くにあるオスロは,道路だではなく水路を活用するなど環境に配慮した生活を送れる街になりつつあります.


 


電気自動車の首都オスロ


車の交通量を減らす取り組みを行うオスロですが,電気自動車普及政策は街が率先して行っています.ゼロエミッション輸送を促進するオスロは「世界の電気自動車の首都」となっています.

2016年におけるEVの売り上げとEVのシェアをみると…



ICCT(https://www.theicct.org/)より


2016年の新車販売における約30%が電気自動車やプラグインハイブリッドとなっています.オスロを走る電気自動車の台数もどんどん増えています.



The city of Oslo『The Electric Vehicle Capital of the World』より


 

オスロではテスラの電気自動車をたくさん見かけました.さらにオスロの空港にはテスラの乗用車が展示されていました.



《わん》「カッコいい車だね♪」

ノルウェーはEVの輸入世界1位(2017年)です.お客さんが多いということですね.


排ガスゼロ車(zero-emission car)に乗る人を増やすために,地域的にまた国としても取り組みが行われています.

例えば自動車購入税や25%のVATの免除,フリーパーキング(無料の駐車場),有料道路やフェリー利用の無料化,バスレーンの使用許可などです.これらのインセンティブプログラムは,早いもので1990年から施行されており,今後も市場の発展に合わせて改訂されていく予定です.

これらの制度を背景にノルウェー議会は「2025年までに販売される全ての新車を電気や水素をいったゼロエミッション車か低排出のプラグインハイブリッド車にする」という野心的な目標を立てました.



データはEuropean Alternative Fuels Observatoryより


 

2017年のノルウェーにおける電気自動車のシェアは39.2%です(電気自動車とプラグインハイブリッドの合計).


電気自動車の首都と言われるほどEVの割合が高い街オスロは,タクシーなどの商用車両における電気自動車化も推進しています.ゼロエミッションの大型車両は,有料区間の料金が無料になります(ユーロVIに適応した車両でも10.9ユーロ課せられています).


EVを推進するのに重要なことは『安く買える,使い勝手がよくランニングコストも安い』ということだそうです.EV普及に弾みをつけるためにオスロは充電ポイントの整備もしっかりと行いました.オスロには約2000ヵ所の充電ポイントが設置されています.EVの普及は充電施設やサービス,バックオフィスシステムやアプリの開発など新しいビジネスが生まれるきっかけとなっているようです.


 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ… 


 


ノルウェー



スカンジナビア半島の西に位置し,スウェーデン,フィンランド,ロシアと国境を接している.西側は長い海岸線となっており多数のフィヨルドがみられる.本土の北に位置するスヴァールバル諸島(Svalbard)もノルウェー領.南北に細長い国土は,北半分くらいが北極圏で,夏と冬で昼夜の長さが大きく異なる.フィヨルドと独特の地形を見せる山々,手つかずの自然,オーロラなど大自然の魅力に惹きつけられた人々が訪れる国.

EU加盟国ではないがEEA(欧州経済領域)に参加しているため,EUの単一市場にアクセスできEU加盟国と自由な交易を行うことができる.シェンゲン協定国でもあるため,エリア内の自由な往来も可能.主産業は石油,天然ガスでイギリスやドイツへ輸出している.天然資源からの収入は政府系ファンド「ノルウェー政府年金基金グローバル」に積み立てられており,外国企業に投資されている.GDPに占める割合は小さいが水産業も盛んで,養殖サーモンは日本にもたくさん輸出されている.



【参考ホームページ・参照文献】

川野祐司(2018)「ヨーロッパ経済とユーロ 補訂版」文眞堂.

二宮書店編集部(2018)「データブック オブ・ザ・ワールド 2018年版」二宮書店.


 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html


Visit Norway:https://www.visitnorway.com/


City of Oslo:https://www.oslo.kommune.no/startpage/

Norsk elbilforening:https://elbil.no/english/


City of Oslo「The Electric Vehicle Capital of the World」

ICCT(2017)「Electric vehicle capitals of the world: What markets are leading the transition to electric?」


 


執筆: この記事はおさんぽわんこさんのブログ『おさんぽわんこの旅の思ひで -ヨーロッパ編-』からご寄稿いただきました。


寄稿いただいた記事は2018年11月02日時点のものです。


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