枕って、よく考えたらほとんど進化してない道具じゃねぇのか?
いやさ、道具っていうものは大抵は時代とともに変化していくもんなんだ。けれど、枕は殷の紂王が妲己と乳繰り合っていた頃からほとんど変わってない。最近はテンピュール枕というものが普及し出したとは言え、この世の大半の人は未だに昔ながらの枕で眠っている。
昔と今とじゃライフスタイルが違うんだから、枕だって変わっていくはずだ。というわけで今回は、「次世代の主流になる枕」をいつも通りクラウドファンディングから探してみよう。
1.見た目さえ気にしなけりゃ最高の快眠『FaceCradle』
現代では「座った状態で寝る」という機会が格段に増えた。
それは結局、鉄道やら飛行機やらの交通手段が発達したからだ。新幹線の中で爆睡する、というのは誰しも経験があるだろう。だが、座席に腰掛けた体勢で寝るって結構難しい。下手すりゃ腰を悪くしちまう。腕だってしびれる。
それを回避する手段として、『FaceCradle』を使ってみるのはどうだろうか。
これは蹄鉄形、というよりも便座みたいな形の枕。そんなこと言うと開発者に怒られるかもしれないけど、本当に便座みたいなんだから仕方ねぇや。で、その便座……もといFaceCradleを首にはめたり、抱き締めたり、顔面を埋めたりして使う。
その様がちょっとアレで、正直公共の場で使うにはかなり勇気がいる。ただその分、座席の上で思いっきり爆睡できるほど気持ちいいとか。
価格は定価59ドル(約6500円)。クラウドファンディング『Kickstarter』では、150万オーストラリアドル(約1億3000万円)もの出資を集めることに成功した。
2.机に突っ伏し夢を見る『WOOLLIP』
このFaceCradleとは別のアプローチで、移動中の大爆睡を保証する製品もある。
それが『WOOLLIP』。使用者の前に机があることを仮定したものだ。
WOOLLIPを机に乗せ、その上に突っ伏す。顔面が当たる部分に穴が開いているから、窒息の心配はない。要は座って使う抱き枕といった感じだ。
いろんなパターンの寝方に対応しているから、移動中のストレスも軽減されるはず。おまけにこのWOOLLIPは空気で膨らませるタイプで、用が済んだら折り畳んでバッグに入れることができる。
それに、FaceCradleほど見た目に小っ恥ずかしい製品ではない。「周囲の視線に抵抗なく使える」って結構大事な要素だと思うんだ。
WOOLLIPはクラウドファンディング『Indiegogo』で資金を集めた製品で、現在は49ユーロ(約6400円)という値で販売されている。
3.日の出を演出のスマート枕『Sunrise Smart Pillow』
最後はスマート枕。今は猫も杓子もスマート化の時代。枕だってスマートになるんです。
『Sunrise Smart Pillow』は、左右に取り付けられたLED照明で日の出を演出する枕。どういうことかっつーと、人間は暗い中からいきなり電気をつけられると不快に感じる動物だ。だから起床時間が近づくごとにLED照明を少しずつ明るくさせて、ごく自然な起床を促そうということである。
この照明は、就寝前には読書灯として使うことも可能。さらに音楽スピーカーも内蔵されている。
価格はIndiegogo特別ディスカウントで129ドル(約1万4000円)。そのうちに定価の299ドル(約3万3000円)に戻ってしまいそうなので、欲しい人は今のうちに発注するべきかもしれない。
それにしても、枕ひとつでここまで発想を巡らすことができるっつーのは本当にすごい。
枕って、これからもいろいろと開拓されていくんじゃないかと思う。いや、本当に。スマート枕にしろ、近いうちにSunrise Smart Pillowを越えるものがクラウドファンディングに出てくるんじゃないか?
中には斜め上に進化したのもあって一瞬「?」と思っちまうが、発明というのはそんなもんだ。奇妙奇天烈なアイディアこそが、意外と大衆に受け入れられる。
【参考・動画】
FaceCradle Travel Pillow –Upgrade to Sleeping Class!-Kickstarter[リンク]
WOOLLIP[リンク]
Sunrise Smart Pillow: Future of Sleep Technology-Indiegogo[リンク]
Woollip Travel Pillow. How to sleep on a plane? Discover our innovative frontal pillow.-Vimeo[リンク]
How to wake up on time every day the right way –Sunrise Smart Pillow-YouTube[リンク]
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(執筆者: 澤田 真一) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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