未来をつくる12の不可避な潮流とは?
1980年代初頭にインターネットが登場して以来、この30年で私たちの生活は劇的に変化しました。今やスマホの浸透によって、誰もが常にインターネットに接続していられるようになり、無数のコンテンツやサービスを手のひらの上で楽しむことができるようになりました。
しかしインターネットが私たちの生活にもたらす変化はまだ「始まりの始まり」に過ぎず、今後30年の間に、その形を大きく変えていくと言われています。
そうした変化を形作る「12の不可避な潮流」について記されているのが、今回紹介する『〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則』です。
12の潮流というのは、下記の通りです。
- 「BECOMING(なっていく)」
- 「COGNIFIYNG(認知化していく)」
- 「FLOWING(流れていく)」
- 「SCREENING(画面で見ていく)」
- 「ACCESSING(接続していく)」
- 「SHARING(共有していく)」
- 「FILTERING(選別していく)」
- 「REMIXING(リミックスしていく)」
- 「INTERACTING(相互作用していく)」
- 「TRACKING(追跡していく)」
- 「QUESTIONING(質問していく)」
- 「BEGINNING(始まっていく)」
これらがなぜ「避けられない」潮流と言えるかというと、テクノロジーの性質そのものに、「ある方向に向かうけれど他の方向には行かないという傾向(バイアス)」があるからです。
簡単にいうと、デジタルテクノロジーの移り変わりには「慣性」が働いているため、テクノロジー自体が、不可避的に向かう未来の方向を示してくれているということです。
ここでは5つの潮流をピックアップして、それがどのような潮流なのかについて簡単に紹介します。
1. BECOMING(なっていく)
「なっていく」という言葉は日本語では理解しづらいかもしれませんが、要は「終わることのないアップグレードの連続によって、完成品というものがなくなり、すべては「なっていく」プロセスの途中にある」という潮流です。
最近ではパソコン、スマホのOSやアプリも自動アップデートされるようになっていますが、その頻度はどんどん高まっており、性能は常に変化しています。
また周辺機器ともお互いに依存し合い、生きた生態系のようになっていくので、アップグレードを遅らせることは命取りとなり、さらにこの潮流を加速させていきます。
私たちの生活を劇的に変えたインターネットも「なっていく」ものであり、現在の形はまだ「始まりの始まり」に過ぎないと著者は言います。
もしわれわれがタイムマシンに乗って30年後に行って、現在を振り返ってみたとすると、2050年の市民の生活を支えているすばらしいプロダクトのほとんどは、2016年には出現していないことに気づくだろう。未来の人々はホリデックやウェアラブルなVRコンタクトレンズ、ダウンロードできるアバター、AIインターフェースなどをみながら、「あぁ、あの頃には、インターネット(その頃は何と呼んでいるのか知らないが)」なんて、まるでなかったんだね」と言うだろう。(P.39)
2. COGNIFIYNG(認知化していく)
これも日本語だと理解しづらい言葉ですが、要は人工知能(AI)によって、あらゆるモノや製品を「認知化(コグニファイ)」し、自ら学習しながらどんどん賢くなっていくことで、私たちの生活に劇的な変化をもたらすという潮流です。
現在あるどんなプロセスにでも、ほんのちょっと有用な知能を組み込んでやるだけで、まるで違うレベルの動きをするようになる。動きのないモノを認知化(コグニファイ)することで得られる利点は、われわれの生活に破壊的変革をもたらすだろう。(P.42)
これからは、電気のようにただつなぐだけで、AIの機能を利用できるようになります。
しかもこのAIは、独立型のスーパーコンピューターの中ではなく、インターネットの中で生まれていくため、ネットワーク化されたAIはあらゆるデバイスを介してその知能を共有して、さらに強化されていきます。
AIは、使うユーザーが増えれば増えるほど賢くなっていき、賢くなればなるほどより多くの人が使うようになっていくという「ネットワーク外部生」をもっているので、いつまでも改良され続けるという不思議な存在になっていきます。
こうしたAI(知能)を持ったロボットは、人間にはできない仕事や、人間よりも上手にできる仕事、そして人間が想像もしなかったような仕事をこなしていくようになります。
「あなたの将来の給料は、ロボットといかに強調して働けるかにかかっている」と著者は説きます。
3. FLOWING(流れていく)
「フローイング」とは、「固定化」から「流動化」への変化の潮流を指します。
今や多くの人がツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどに「流れる」投稿をチェックしたり、映画や音楽をストリーミングで楽しむようになりました。
これによって、時間の流れは1日単位からリアルタイムへと変化し、私たちは「いまこの瞬間に起きていること」を知りたいと望むようになり、「いま観たい、聴きたい、読みたい」と思ったコンテンツにすぐさまアクセスできることを望むようになりました。
リアルタイムで処理するには、すべては「流れて」いかなければなりません。リアルタイムに起きていないことは、存在しないも同然なので、企業は顧客に対してリアルタイムで価値を提供できるよう、最大限努力していく必要があります。
音楽CDがデジタルデータ化してストリーミングサービスになったように、硬くて固定的な物体(名詞)はサービス(動詞)に転化し、すべてのものが現在というストリーミングの中を流れていくようになります。
「固定化」から「流動化」への変化は、音楽や映画、本、ゲーム、ニュース、ショッピング、交通、教育など、社会のほとんどすべての局面を変化させていきます。
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4. SCREENING(画面で見ていく)
「スクリーニング」とはスクリーンの現在進行形で、これからはどんな平らな表面にも、閲覧用のスクリーンが付くようになり、あらゆる情報を画面で見ていくようになる、ということです。
現在でも50億を超えるデジタル画面が世の中にあり、デジタルディスプレイの生産者は、毎年38億の新たなスクリーンを製造していると言われています。
このままスクリーンの数が増えれば、私たちの読み書きの量はさらに多くなり、また言葉だけではなく、イメージを読んだりすることができるようになります。
これは「読書(リーディング)」というよりはむしろ、「画面で読む(スクリーニング)」と呼ぶ方が正しいと著者は説きます。
デジタル化によって変化を余儀なくされるのが紙の本です。
いまでもKindleのように電子書籍をスクリーンで見ることはできますが、インクで印刷された文字を電子的なドットに変換してスクリーンで読めるようにすることのメリットは、自由に持ち運べて、いつでもスクリーンで読めるようになるというだけではないと指摘します。
本当にすごいのは次の段階で、本の中のそれぞれの言葉が相互にリンクされ、クラスター化され、引用され、抽出され、索引を付けられ、分析され、虫をくわえられ、かつてなかったほど深く文化に織り込まれていくことだ。電子本や電子テキストの作る新しい世界では、すべてのビットがお互いに情報を伝え、すべてのページが他のすべてのページを読んでいる。
この30年の間には、半透明のメガネが現実の上に情報のレイヤーを付加できるようになります。
スクリーンがこうした認知の世界とインタラクティブにやり取りするための道具となるため、私たちはさらに多くのスクリーンを、さらに頻繁に注視するようになります。
5. ACCESSING(接続していく)
音楽CDや映画のDVDを買う機会が減り、「Apple Music」「Spotify」といった音楽ストリーミングサービスや、「Netflix」「Hulu」のような定額動画配信サービスを利用する人が触れてきました。
物理的なモノのレンタルビジネスを成長させるには、貸し手はその商品を買い続けないといけませんが、形を持たない商品やサービスでは、そうした制約はありません。
個々の借り手の満足度を下げることなく、同じものを同じ時間に何人にでも貸すことができるので、利用コストは劇的に下がります。
同様の商品やサービスにリアルタイムでアクセスする権利を、所有するよりも安価に得られるとしたら、所有する必要などないことに気づくでしょう。
所有しないければ修理したり、清掃したり、収納したり、整理したり、保険をかけたり、アップグレードしたり、維持したりする手間もかからないのです。
アクセスする方が所有するよりも多くの意味で優れているので、この潮流が止まることはありません。
もう一つ、この潮流が不可避であることのポイントがあります。それは世の中がより多くのモノで溢れかえっていく一方で、それを使える1日の時間は変わらないままなので、一つのプロダクトあたりにかける時間はどんどん短くなる、という視点です。
つまりモノで溢れかえる現代生活の長期的トレンドとしては、ほとんどのプロダクトやサービスが短期利用になっていくということです。
短期しか使わないものを一つ一つ「所有」することの意味はどんどん薄れていくため、そうしたプロダクトやサービスは、レンタルやシェアの対象になっていきます。
良くも悪くもわれわれの生活は加速していき、唯一満足できる速さは「その場ですぐ」となる。電子の速度が未来の速度だ。そのスピードから意識的に抜ける選択肢はいつもあるだろうが、コミュニケーション・テクノロジーにはすべてをオンデマンドで動かそうとする力が働いている。そしてオンデマンドには、所有よりもアクセスへ向かう力が働いているのだ。
「所有権の購入」から「アクセス権の定額利用(サブスクリプション)」への転換のはすでに始まっていますが、この流れは不可避なものなのです。
まとめ
ここでは極めて簡易的に、一部のキーワードの意味について解説しましたが、12の潮流はすべて、それら単独で働く動詞ではなく、互いにかなり重なり合い、相互依存しながら互いを加速させていくものです。
本書の中では、それぞれの潮流がどのように関わり合い、私たちの生活の変化を加速させていくのか、そして具体的にどんなプロダクトやサービスが生まれていくのかについて書かれています。
一つでも自分の仕事やビジネスに関連するキーワードがあった方は、ぜひ一読しておくことをオススメします。
今まさに、これから私たちの生活に破壊的な変化をもたらす潮流が重なり合い始めた、スタート地点にいるのですから。
ライター:渡邊
カメラマン:こば犬
モデルプロフィール
・名前 :堀江聖夏(みな)
・生年月日 :1993.7.14
・出身 :東京都
・職業 :フリーアナウンサー
将来の夢 :太陽みたいなお天気アナウンサー
・Twitter :@0714_lovelys
・instagram :@horie_mina_official
ご協力いただいたお店
・店名 :「café 1886 at Bosch」
・住所 :東京都渋谷区渋谷3-6-7
・TEL :03-6427-3207
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(Morning 8:00 - 11:00)
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