ニューノーマル時代の新たな働き方のツールとして、ビジネスチャットはすっかり浸透してきています。
一方で、導入後にそのビジネスチャットが原因で新たな課題が浮上することのないよう、しっかりデメリットを把握し、事前にデメリットを回避するためのルールを設けることが必要です。
本記事では、ビジネスチャット利用の4つのデメリットをはじめ、その対策についても解説します。
ビジネスチャットとは
ビジネスチャットとは、LINEやFacebookメッセンジャーのような個人向けチャットツールに比べ、セキュリティ面や機能面で、よりビジネス利用に特化したチャットツールです。
テレワーク(リモートワーク)が普及してきた昨今、メールや電話に代わるコミュニケーション手段として、ビジネスチャットを導入する企業が増えています。
ビジネスチャットの利用用途としては、社員間コミュニケーションと社外コミュニケーションの2つに分けられます。
社員間コミュニケーション
社員間コミュニケーションで使われる代表的な手段として「対面」「電話」「Web会議」「メール」そして「チャット」が挙げられます。
チャットはメールより短文かつカジュアルに利用でき、会話をするようにやり取りができるため、社員間コミュニケーションの活性化が期待できます。
社外コミュニケーションにも利用可能
ビジネスチャットによっては、そのツールを利用している人の中からメールアドレスでアカウントを検索し、直接チャット上でやり取りができるものも存在します。
メールでのやり取りにはさまざまなルールやマナーがありますが、チャットでのやり取りには、基本的に挨拶文や結びのひとことを書く必要がありません。
チャットでのやり取りならば、文章の作成時間や受信したメッセージの確認にかかる時間を短縮することができます。
ビジネスチャットのデメリット : 過度なチャットのやり取り
チャットには、メールよりも手軽にメッセージが送れるというメリットがあります。
そのため、業務に関係しないことや、自分で調べればわかることでもチャットで尋ねてしまい、過度なやり取りが発生する可能性があります。
メッセージの返信には、文章を作成する時間がかかりますし、それまで行っていた作業をいったん中断しなくてはならず、集中が途切れてしまい、作業効率が低下してしまう危険性があります。
社内ルールで休日/深夜などは連絡を禁止にするなどの統制
チャットは、業務用端末以外のパソコンやスマートフォンからでも手軽にメッセージが送れるため、休日や深夜など業務時間外のやり取りが増加してしまうことが問題となっています。業務時間外であっても今すぐ送るべき内容なのか、メッセージを送信する前に一度考えなくてはいけません。
メッセージの送信を後回しにしたら、送ることそのものや内容を忘れてしまいそう、という場合には、メッセージの送信時間を指定し、予約投稿ができるチャットツールもあります。
休日や深夜など業務時間外の連絡は禁止、というような社内ルールを事前に名言しておくことで、すべての人が気持ちよくチャットを利用できる環境を作ることができます。
業務に関係しない雑談グループを会社があらかじめ用意
チャット上での私的なやり取りがあまりにも多いのはよくないことですが、息抜きを許容しなければ、息苦しいと感じる人が生まれてしまいます。そうなってしまうと、業務上でのチャット利用は活性化されず、むしろチャット利用に対する愚痴やネガティブな感情が生まれてしまう可能性があります。
あらかじめ雑談用のグループを作り、息抜きの場を設けることで、ネガティブなチャット利用の増加を防ぐことができるでしょう。
ビジネスチャットのデメリット:対面のコミュニケーションが減少する
ビジネスチャットの利用が広まることで、対面でのコミュニケーションが減少する可能性があります。非対面でのコミュニケーションでは、相手の体調や精神面のコンディションがわかりづらくなったり、テキストだけのコミュニケーションだとニュアンスが伝わらず、冷たく感じてしまったりと、今までにはなかった課題が発生してしまうかもしれません。
ビデオ通話をうまく利用しデメリット解消
チャットツールによっては、チャットに加え、音声通話やビデオ通話が可能です。テキストでは伝えにくいことは、音声通話やビデオ通話で伝えるという選択肢があります。
チャットでのやり取りだけではなく、場合に応じて音声通話やビデオ通話を併用し、対面/非対面コミュニケーションのバランスを取っていくことが大切です。
ビジネスチャットならではの文章術を身につける
テキストだけのコミュニケーションでは、自分の感情や意図を正確に伝えるのが難しく、相手に誤解を与えてしまう可能性があります。
文末を工夫したり、スタンプを利用したりと、自分の温度や感情を相手にわかりやすく伝えるためのひと工夫をしていくことが、円滑なチャットコミュニケーションにつながるでしょう。
ビジネスチャットのデメリット:教育、導入コスト
ビジネスチャットの導入には、教育コストや初期費用・使用料などの金銭的コストに加え、利用率向上のための働きかけを行う人的コストがかかります。
教育コスト
ビジネスチャットには、直感的に使用できるものが多数存在します。
プライベートで使っているチャットツールと同じように使用できるため、教育コストはほとんどかからないといえるでしょう。
楽しみながら使える環境を
ビジネスチャットを導入しても、社員に定着しなければ費用や手間が無駄になってしまいます。
雑談や部活、趣味など、社員が積極的に発言したくなるグループも作成することで、利用までのハードルを下げることも重要です。
社内ルール制定は事前準備を推奨
休日/深夜など業務時間外の利用を制限するルールは、必ず検討する必要があります。
また、自社の社風や文化によってはスタンプの利用を禁止したり、グループの作成を許可制にしたりと、禁止事項/推奨事項などを事前に策定することをおすすめします。
そこで、ビジネスチャットを導入する上で設定すべき社内ルールを3つご紹介いたします。
- 誰がどの機能を使用できるのか、明確に設定
- 業務時間外の利用を制限
- 文章は長文を避け、簡潔に
事前準備をしっかりと行うことで、導入後のスムーズな運用が可能になります。
ビジネスチャットのデメリット:情報量が多くなる
グループ数や受信メッセージ数が膨大になると、情報が流れやすくなります。
関係する業務の幅が広い中間管理職の方などには、この現象が起こりがちです。現場からの確認依頼など重要なメッセージを見逃してしまう可能性もあります。
ノート機能を活用
ノート機能とは、トークごとに作ることができる、情報共有のための掲示板のような機能です。
流したくない重要な情報や、あとから見返したい情報は、トークにメッセージとして送信するのではなくノート機能に記載し、ストックさせることが可能です。
タスク機能を活用
タスク機能が利用できるビジネスチャットもあります。
タスク機能では、担当者や参加メンバーを設定しタスクを作成・編集することができ、作成したタスクにコメントや資料を添付することも可能です。たとえば現場からの確認依頼をタスクにコメントとして残すことで、メッセージの見逃しを防ぐことができます。
また、自分だけのtodoリストとして活用することもできます。
ビジネスチャット導入前後の準備が重要
今回はビジネスチャット利用のデメリット、そしてその対策について解説してきました。
メリット・デメリットを理解した上で、自社ではどのような運用をしていくのか、具体的に検討することが大切です。
導入前にビジネスチャット利用に関するルールを制定し、導入後も利用状況や社員からの要望に合わせて柔軟に対応していくことが、ビジネスチャットの有効的な利用につながるでしょう。
ビジネスチャット利用に関する社内ルールを設けている事例
三井住友建設株式会社
国内外に拠点を持ち、高層マンションや橋梁などを手掛けている三井住友建設株式会社は、建設生産部門の組織をまたぐ水平横断的な連携と業務プロセスの変革をめざす取り組みの1つとして、ビジネスチャット・社内SNS「WowTalk(ワウトーク)」を導入しました。
下記の7つを基本ルールとして定め、自由なコミュニケーションとセキュリティ対策を兼備させているそうです。
- 業務に必要なコミュニケーションにのみ利用する
- 社外秘情報はもちろん、大切な情報と思われるものは投稿しない
- アップロードした写真等のファイル等は端末にダウンロードしない
- 利用する端末は、画面ロック等のセキュリティ対策を実施する
- 不用意に、全社宛てに一斉投稿を送信しない
- 時間外、休日利用は節度を持って必要最小限に
- 相手の投稿に敬意をはらい、言い争いや誹謗中傷などに利用しない
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