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パラレルキャリアの実際と向いている人の特徴とは?~ブレンディッド 井口氏~


新しい働き方として注目されている「パラレルキャリア」という言葉をご存知だろうか?ひとつの企業で定年まで勤めあげる、といった従来の仕事観とは180度異なる概念だ。パラレルキャリアとは、ふたつ以上の組織に所属する働き方のこと。パラレルキャリアを理解するためにうってつけの人物がいる。スタートアップやベンチャー企業とフリーランスのコラボレーションを生み出すプラットフォームを作り、自身もパラレルキャリアを実践しているブレンディッド株式会社代表取締役の井口雄太氏だ。


フリーランス人材活用サービスを生み出した経緯


interview


-井口さんのキャリアを教えてください


これまではITベンチャー企業でCFOを3年ほど、最後の1年はCMOをやっていました。100人以下の小さな会社だったのでCFOはCIO的なこともやる必要があったのでシステムの方も詳しかったりします。いわゆるCxO(シーエックスオー)として、複数の職域での経験を積んだことが自分の強みかなと思います。「CxO」とは最近キャリアを語るときに使われるようになってきた概念です。経営課題を解決する”x”職域の責任者がCxOの仕事だと言われています。独立しようとは思っていましたが、やはり収入も落ちてしまうので若いうちにということで独立を決意しました。


-なぜ今の事業にいきついたのでしょうか?


独立してフリーランスとして働いていたとき、いくつかのフリーランスのコミュニティに行きましたが、そこにいるのはエンジニアとデザイナーばかりでした。「そこに加えてディレクションできる人がフリーランスになれば、三人のチームでいろいろなことが実現できるのに」と感じ、今の会社を立ち上げるに至りました。


パラレルキャリアという働き方とは


-パラレルキャリアとは何でしょうか?


昔から言われている副業は「本業に加えるプラスアルファ」というイメージですよね。でもそれなら、本業でもっと給料が上がるように頑張る方がいいんじゃないかって思うんです。それに対して、パラレルキャリアとは「ふたつ以上の組織に対して帰属意識を持つ働き方」と定義しています。つまり、二社以上の会社に対してコミットメントし、成長責任を負うような働き方を指しています。


-パラレルキャリアについて原体験のようなものはありますか?


前職で40歳前後の経験豊富な方をパートタイムで何名か採用させていただいたことがあって。彼女たちが業務をこなすだけでなく、どんどん業務を整理し、仕組み化していくのを目にしたのです。そこで、フルタイム勤務ということよりも自分の職域に最後まで責任を持つ姿勢が大事であるということを学びました。しかも、それってすごく再現性があるなと思って。さすがに主婦が複数社で働くことは難しいとは思います。「でもそのくらい仕事にコミットできる人はエネルギーが有り余っているので、複数社で働いてもかまわないのではないか」と着想したわけです。


井口さんは実際にどのような業務をやっているのでしょうか?


僕はCFOや総務的な仕事を請け負っているので、契約書のチェックや資金繰りの相談に乗ったり、少なくとも週に一回は出社して実務を行う、というような動き方をしています。管理系の人材を一人雇うと月に30万円以上のコストがかかると思いますが、たとえば経理として採用すると経理の経験しかないことが多いはずです。


-普通はそうですね


数十人の会社だと経理担当に1か月来てもらっても仕事が余ってしまい、結局社内の雑用をやっている、という状況が少なからずあると思います。その場合、経理以外の分野については手つかずのままです。僕は発注元の経営者から好評をいただいていると感じているのですが、それは複数分野にける知識と帰属意識を持っているからだと思います。


不安だからこそパラレルキャリアを選ぶ


interview1


-ふたつ以上の組織に身を置くパラレルキャリアですが、不安はないのでしょうか?


この質問はよくされるのですが、僕自身は不安はすごくあるんですよ。むしろ、不安だからやっているとも言えます。少し想像してみていただきたいのですが、今20歳の方であれば、年金などの社会的な保証が確約されない時代を後100年生きることになります。22歳で就職した会社に体が動くかぎり所属し続けることはないと思います。


-たしかに、難しいと思います


だとすると、複数の企業で働くことを「リスクヘッジ」として解釈できます。ひとつの企業で働くこと悪くないけれど、たしかにリスクが高い。だからリスク分散のためにポートフォリオを持とう、という発想です。これは自分で着想したつもりだったのですが、多くの方がすでに提唱していて「ポートフォリオワーカー」という言葉も生まれ始めているようです。


-なるほど、ポートフォリオ的に考えるとすごく合理的ですよね


実際は合理的すぎて嫌な人もいると思います。人間の脳は、変化することがとても苦手なはずなので。「なぜ二社で働かなきゃいけないんだ」って(笑)。二社で働くことは、普通に考えると身の回りでおこる変化の総量が二倍になりますからね。


あと、すごくわがままな表現をすると、自分のやりたい仕事だけを選べない場合が多いじゃないですか。若いときは何でもチャレンジする方がいいですが、タスクのうち下流のものはいずれロボットがやるようになっちゃいますよね。だから社会人経験を積むにつれて、自分で仕事を選ぶマインドを持つことが大事だと思っています。仕事を選んでいき、専門性を磨くことにこだわった結果として複数の会社で働く、という感じです。


困ることは休みがないこと


-パラレルキャリアを実践してみてギャップや意外だったことはありましたか?


休みがないことです(笑)。もともと風邪を引かない方なので問題なかったですが、フリーランスには有給休暇はないので体調管理がとても重要です。


-自分の空いているリソースを業務にあてるわけですもんね(笑)


フリーランスは時給や日当での契約になることも多いと思いますが、たとえば三社で働いていると、長期休暇をとって旅行に行くために、三回も上司に頭を下げないといけなくなります。パラレルキャリア実践初期は特に、信頼関係を作っていくことがとても重要なので、「休まない」「遅刻しない」といった当たり前のことが大事だと思います。旅行好きの方は独立される前に思い切って行っておくことをオススメします。


独立した直後は、どのようにお仕事を獲得していったのでしょうか? 


当初は仕事をすぐ取れるかどうか不安がありましたが、複数の社長さんに仕事を発注していただくことができました。いずれも長くお付き合いのある方々でした。やはり固定で収入の目処が立ったことは安心材料のひとつとなりました。


有り余るエネルギーこそパラレルキャリアに必要


interview2


-どういう人がパラレルキャリアに向いていますか?


供給量が足りていない技能を持っている方だと仕事が見つけやすいと思います。エンジニアは慢性的に不足していますが、他にも最近ではIPOの活況により、ベンチャー企業でのCFOや管理部門のスタッフが足りてなかったりします。経営者の心理としては、普通に社員として採用するのが難しいからフリーランスでも良いか、となるようです。


また、複数社で働くとなると納期が被るなどで多少ムチャしなくちゃいけないことがあるので、エネルギーがある人じゃないとダメだと思います。


もう基本的に仕事が大好きで、エネルギーが有り余っているくらいでないと難しいと思うのですが、そんな人はあんまりいないと思うので、このハードルは高いとは思います。


(取材/執筆 田嶋)


ブレンディッド株式会社代表取締役/井口雄太氏



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元Cloudpaymentの管理部長。現skillsession株式会社 CEO。現在自身会社の経営をしつつ、他社の経営企画部の手伝いをしながら 1社にとどまらないパラレルキャリアを実践している。



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