ハイエンドVRヘッドセットの導入にはネックが多い。
一つ目はケーブルが多くてセットアップが大変であること。
PSVRのケーブルの多さなど、セットアップ時の「コードとの格闘戦」は、デスクトップPCセットアップ時のそれに負けずとも劣らないほど。
二つ目はヘッドセットに付属するケーブルをPCに接続するため、ヘッドセットをつけたまま動ける範囲が限られてしまうことだ。
この状況を改善すべく次世代VRとして期待されているのが、ワイヤレスのスタンドアロン型ヘッドセットだ。
PCもスマホも必要なく、ヘッドセット単体でアプリを走らせることが出来、ワイヤレスなので行動範囲が制約されない。
中国のスタートアップ企業、Picoが発表した新型ヘッドセット、Pico Goblinはワイヤレスのスタンドアロン型ヘッドセットだ。
6月にロサンゼルスにて開催されるE3(Electronic Entertainment Expo 2017)にて詳細が公表される。
ワイヤレスでハイエンドのスペック
潤沢なVR体験ができるかどうかはグラフィックの解像度に頼るところが多い。
解像度が低いと没入感に乏しく、VR酔いを引き起こしやすくなる。
しかしGoblinでは、リフレッシュシート70Hzのディスプレイによる2.5Kの解像度を実現する。
Oculus RiftとHTC Viveのそれが2K前後であることを考えると十分なスペックだ。
搭載するプロセッサはクアルコムのSnapdragon 820、これは米国仕様のSamsung Galaxy S7、HTC 10、OnePlus 3、LG G5などに使われているものと同じだ。
容量に関しては、3GBのRAMと16GBのストレージを備えているが、外付けのマイクロSDカードによって128GBまで増設することができる。
バッテリー駆動時間は、コンテンツ再生やゲームをノンストップで行った状態で約3時間持続する。
Bluetooth 4.2をサポートしており、ヘッドフォンやオーディオ接続の際に使用する。
トラッキングに関しては、前後左右上下のトラッキングが可能な3自由度方向トラッキングが実装されており、対応コントローラーが付属する。
6月13日から15日にかけてロサンゼルスのコンベンションセンターで開催されるE3にて発表される予定だ。
Picoが見出すスタンドアロンVRの可能性
Picoは中国と青島に拠点を置くスタートアップ企業で、2012年に創業された。
エンドツーエンドのビジネスモデルを採用し、VRハードウェアとソフトウェアの開発を専門としている。
そしてVRヘッドセットに関してはスタンドアロン型ヘッドセットの開発に特化しており、同社のデザイン担当兼副社長であるEnnin Huangは次のように語っている。
ソーシャルVRの進化やトラッキング機能を活用したゲームなど、VR空間の中で動き回るコンテンツは今後増えていくだろう。
スタンドアロン型ヘッドセットは、こうしたソフトウェアの進化に対応するかのように登場した。
現行のケーブル付属のハイエンドヘッドセットを導入する際、それに対応するハイスペックPCも必要になる。
セットアップにかかる手間、ケーブルによる行動範囲の制約、そしてPC導入なども含めた導入コストの高さ、これらハイエンドVRの普及に際してネックになる要素を解決できる技術として、今後もスタンドアロン型ヘッドセットの進化に注目すべきだろう。
フラッグシップモデル、Pico Neo CVもE3で登場
Pico Goblinと併せて、Pico Neo CVもE3で展示される。
PicoのPico Neo CV発表。ワイヤレスでポジショナルトラッキングを備えたオールインワンヘッドセット
これは同社が開発するスタンドアロン型ヘッドセットのフラッグシップモデルだ。
Goblinと同じクアルコムのSnapdragon 820プロセッサを搭載し、リフレッシュシート90Hzのディスプレイによる、解像度1.5Kを実現する。
前後左右上下の動きがトラッキング可能で、Hi-Fiスピーカーを内蔵する。
4GBのRAMと32GBのROMが搭載されており、2時間以上のバッテリー持続時間を有し、専用コントローラーが付属する。
商用モデルは2017年中の発売が予定されている。
参照元:VRFocus
参照元:Pico
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.