小柳建設株式会社と日本マイクロソフト株式会社は、Windows 10 を搭載した自己完結型ホログラフィック コンピューター「Microsoft HoloLens」を活用したプロジェクト「Holostruction」の推進において連携する事を発表した。
ホロストラクション(Holostruction)、商標登録および特許は、現在申請中との事。
小柳建設は、日本マイクロソフトと連携する事で、建設業における計画・工事・検査の効率化、および、アフターメンテナンスのトレーサビリティを可視化する、コンセプトモデルを開発したとしており、今後、継続的に開発を行っていき、将来的な実用化に向けて取り組んでいくとしている。
業務生産性とトレーサビリティの向上を目指して、HoloLensが活用されるのは、建設事業者として国内で初となる試み。
建設業界は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、2027年開業予定のリニアモーターカーなどによる、需要の高まりと、高齢化に伴う労働力人口の減少から、技能労働者不足が年々深刻化しており、2025年には47~93万人の技能労働者が不足すると、「国土交通省中央建設業審議会」のとりまとめで報告されている。
担い手の確保・育成に加えて、生産性の向上が最優先課題となっている、また、政府主導による「ICTの全面的な活用、コンクリート工の規格の標準化、施工時期の平準化」が推進されるなど、建設事業者にとって、様々な課題や新しい規格などへの迅速な対応が求められているのである。
日本マイクロソフトが2017年1月から、国内の法人と開発者向けに提供開始ている、HoloLensは、目の前の現実世界の中に、3Dの仮想物体である、ホログラフィックを重ねて表示させることで、現実世界と仮想世界を複合させて、それぞれの長所を活かした「Mixed Reality」(複合現実)を実現するデバイスとなっている。
VRデバイスとは異なり、現実世界が見えている状態のまま、ホログラフィックが見えて操作でき、音声やビデオを使って遠隔地の人と、同じ複合現実の世界を共有し、オンライン会議などの活用もできる事も踏まえて、小柳建設では、国内での発売前から、HoloLensを活用することで、建設事業者の様々な課題の解消や軽減を実現できるものと考えていた、マイクロソフトがグローバルで提供する HoloLens の開発プログラムを、米国、マイクロソフト コーポレーションと締結することで、マイクロソフト コーポレーション、および、日本マイクロソフトのコンサルティングサービスと連携してコンセプトモデルを開発してきたと発表されている。
HoloLens活用:小柳建設のコンセプトモデル概要
HoloLensを活用し、以下の3つのコンセプトモデルの開発を進められている。
業務トレーサビリティ向上を推進
建設事業者として、事業や業務の透明性を確保するために、様々なデータのデジタル化が必要となる、今回のコンセプトモデルでは、全ての業務トレーサビリティを確保する仕組みを開発したとしている。
計画、工事、検査、アフターメンテナンスの全てを表現するツールとしての活用と、政府が推進するi-Constructionを後押しできることを目指していると公表されている。
BIM / CIMデータの活用試行
建設現場における工事の検査において、検査員の不足や負担が課題となっている現実があり、建設事業者として、BIM/CIMデータを活用した、直感的な新しい検査基準の検討、検査文書の作成負担を軽減する試行策に取り組まれている。
今回のコンセプトモデルでは、設計図を3Dで可視化しつつ、検査に必要なデータや文書も一緒に格納し、必要な時にすぐ表示できる仕組みを開発している。
BIM(Building Information Modeling)/ CIM(Construction Information Modeling)とは、「設計から工事、メンテナンスに至るまで建造物ライフサイクル全体のモデルに蓄積された3Dデータなどのすべての情報を活用する仕組みをいう」
新しいコミュニケーションアイデアの試行
建設業務には、数多くの会社や人が介在するのに加えて、建設現場の中には物理的に行き来が難しい、場所や危険な場所もあるが、HoloLensを活用することで、そうした物理的な場所にとらわれずに現場の状況を確認したり、遠隔地の人と視界を共有したりできることから、小柳建設では、工事の安全やコミュニケーションの迅速化にも貢献できると考えているという。
今回のコンセプトモデルでは、3DグラフィックでHoloLensに映し出される図面や現場視界を共有する機能、実物大の1/1スケールで実際にその場にいるかのような体験、建設重機や作業員の配置を計画段階からシミュレーションする機能も開発されている。
小柳建設の取り組み初回動画
参照元:ニュースリリース
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