人気のあるゲームタイトルは、複数のハードウェアに対応する移植が行われることがよくある。ゲームセンターで人気だった作品が後に家庭用ゲーム機に移植されたり、スマートフォンアプリが要素の追加や画質の向上を受けてPC用に販売されたりする形が多いだろうか。
最近では、最初からマルチプラットフォーム対応で発売される作品もある。かつてはハードの制約で移植時に内容が削られることも多かったが、近年はPCやゲーム専用機の性能が向上したことで異なるプラットフォーム向けに開発された作品もほぼ完全に移植できるようになっている。
また、同じメーカーの据え置き機と携帯機でセーブデータを共有できるタイトルもある。この場合は処理能力に差があるので全く同じとは行かないが、プレイスタイルの多様化に応えるものだ。
VRでのマルチプラットフォーム対応
VRにおいても、マルチプラットフォームに対応するタイトルはある。それぞれの特徴はあるが、Oculus Touchが登場したことでHTC ViveとOculus Riftの両方でハンドトラッキングコントロラーを利用する作品をリリースすることができるようになった。
PSVRはPCベースの二つに比べるとややトラッキング精度が低い面があるものの、PSVRまで含めた三つのヘッドセットに対応する作品も多い。だが、ここまでの三つのヘッドセットとモバイルVRヘッドセットの間にある溝は深い。
モバイルVRは安価で手軽だが、その分性能で劣る。高性能なパソコンで動作させるPCベースのヘッドセットや、家庭用ゲーム機ながら価格以上の処理能力を持つPS4に比べると、最新のスマートフォンでもグラフィックの処理能力は低い。スマートフォンの画面を使うため、解像度も低い。
こうした差があるために、スタンドアロン型のVRヘッドセットとモバイルVRヘッドセットの両方に対応したVRゲームを作るのは難しくなっている。前者に合わせて作ればモバイルの限界を超えてしまうし、後者に合わせて作れば物足りないものになるだろう。
そのため、VRタイトルの移植はモバイルからスタンドアロンへ、という形になりがちだ。スマートフォンアプリからPC/コンソール版が作られるのと同じ形である。しかし、中にはその逆を行くタイトルもある。
Oculus Rift用タイトル『Dead and Buried』と『Ultrawings』のGear VRバージョンは既に開発が進められている。いずれもOculus Rift用の本格的なタイトルであり、Oculus Touchでの操作に対応している。
Oculus RiftからGear VRへ
これらのタイトルがOculus Touchでの操作に最適化されていることは、特筆すべき点だ。本来はRiftのトラッキングとTouchのハンドトラッキングを利用したゲームであるにもかかわらず、そのどちらも持たないGear VRに移植されようとしている。
この条件での移植が可能ならば、他にもGear VRバージョンを作成できるRift用(Touch対応を含む)タイトルは無数にあるはずだ。ただし、設計時に使えた入力方式が使えないことによる制約は大きい。開発チームはその代替となる手段を新しく用意するか、ゲーム内容そのものを大きく変更する必要があるだろう。
こうした状況では、4月に発売されるGear VR用のコントローラーが役に立つかもしれない。Touchほどの高精度なトラッキングは期待できないが、それでもモーションコントローラーは銃やその他のオブジェクトをVR空間で扱いやすくしてくれる。
トラッキング能力の差によって操作を変更しなければならない場面もあるが、そこは開発チームの工夫によって対応できるはずだ。まだ開発の初期段階ではあるが、Dead and BuriedとUltrawingsのGear VR版デモでは、それぞれのRift版とは異なる操作方法が用意されていた。
製品版では、Gear VRバージョンのDead and Buriedでもオンライン対戦が可能になるという。入力方式はハード面の制約が大きいが、ゲーム内容はRift版に近いものを期待できそうだ。
二つのタイトルはいずれも開発中であり、リリース日や価格は明らかにされていない。
RiftとGear VRで同じタイトルをプレイできるようになれば、VRの可能性はさらに広がる。セーブデータの共有ができれば家でじっくりプレイするときはRift、短時間遊ぶときはGear VRというスタイルが可能になる。プラットフォームに関係なくマルチプレイが可能ならば非常に人口の多いタイトルになるだろう。
ハードウェアの進歩に合わせて、よりユーザを楽しませてくれる作品が出てきそうだ。
参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/oculus-touch-games-dead-buried-ultrawings-getting-gear-vr-ports/
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.