海外メディアUploadVRは、2017年3月21日の記事において、視覚障がい者がVIVE対応ゲームを開発したことを紹介した。
オーストラリア在住のHayden Else(トップ画像参照)は、コンテンツ制作会社NOVA Entertainmentに務めているのだが、片目が全く見えず、もう一方の目も極度の弱視だ。同氏がまわりを確認するには、手をさしのべて、モノに直接触れたり、モノを目に対して近い位置に持ってきたりしている。
そんな同氏が、ある日、Google Cardboardを体験したところ、すっかり「ハマって」しまった。確かに、Google Cardboardを使えば、VR空間のモノはすべて「目の近くに」あるから、同氏にとっては見やすかったのだろう。
VR体験に魅了された同氏は、Google Cardboardでは飽き足らず、さらにVIVEを購入したのだった。そして、ついには7ヶ月の歳月をかけて、VIVE対応ゲーム「Mech Skeleton」を開発したのだ(下の動画参照)。
VRゲームを開発するまでにVR体験にのめり込んだ理由を、同氏は以下のように語っている。
私がVRを愛してやまない理由のひとつには、VR体験が触覚的な体験でもあるからです。
私は、通常のディスプレイ・ゲームでは、画面がよく見えません。しかし、VRゲームならば、見たいモノに手探りで近づいていけばいいのです。
VRゲームの世界は、普段私がリアルな世界で行っているように探索できるのです。
以上の発言は、専用コントローラーとポジショナル・トラッキングを実現しているVIVEの存在なしでは、ありえないものだろう。
そうは言っても、VRゲーム開発に際しては、やはり視覚に障がいのある同氏ならではの苦労があったという。
例えば、ゲームシーンのライティング設定は、同氏が感じる明るさで設定してしまうと視覚が健常なヒトには明る過ぎる、ということがあった。
そのほかには、多くのVRゲームでは視覚的に表現されるインターフェースの要素を、音声によるガイドや効果音に置き換えた。
以上のように視覚に障がいのあるヒトが、VRゲームにのめり込みゲームを開発するまでに至った最大の理由は、VRゲームがディスプレイ・ゲームに比べてリアルな世界を忠実に再現しているからと言える。VRゲームに比べたら、ディスプレイ・ゲームは視覚偏重な体験なのだ。
VRテクノロジーには、まだ知られていない可能性が眠っているようだ。そんな可能性を発掘するためには、色々な立場のヒトにVRテクノロジーを体験してもらう必要があるのではなかろうか。
なお、「Mech Skeleton」は近日中にSteamよりリリースされる、とのこと。
視覚障がい者であるHayden ElseがVIVE対応ゲーム「Mech Skeleton」を開発したことを紹介したUploadVRの記事
https://uploadvr.com/blind-man-creates-htc-vive-game/
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