海外メディアVRFocusは、2017年3月6日の記事において、国連が開催したプレイアブル・カンファレンスについて報じた。
同メディアによると、2017年3月3日、ドイツのボンにおいて国連主催の第1回プレイアブル・カンファレンスが開催された。
プレイアブル・カンファレンスとは何か?
国連が取り組んでいる問題のひとつに、「世界の持続的な成長」を可能とする枠組み作りがある。
環境問題やグローバル化した世界経済の調停といった重大な論点を内包しているこの問題は、各国の首脳を集めてトップダウン的に解決しようとしても限界がある。
持続的な成長が可能な世界の建設には、世界のヒトビトの意識や生活に直接訴える方法こそ求められるのである。
こうした問題意識に対して、国連はゲーム技術を活用することを検討する会合を開くことを決めたのだ。その会合が「第1回プレイアブル・カンファレンス」なのである。
農業をアシストするARアプリ
同カンファレンスでは、アプリ開発会社Huxley率いるRyan Hooksが開発したARアプリ「hands-free gardening」が紹介された。
同アプリは、AIとARテクノロジーを活用してビニールハウス内で栽培している植物を管理できるものだ。具体的には、ビニールハウス内の植物にスマホをかざすと、植物を画像認識してその種類と、その植物の水分状況等をユーザーに対してAR表示するのだ。
Hooks氏によると、同アプリを活用すれば、栽培に要する水量が95%節約できる、とのこと。
水が貴重な資源である地域の農業においては、同アプリは継続的な植物の育成に多いに役立つことは間違いない。
世界政治をシミュレートする「2030 Hive Mind」
同カンファレンスでは「2030 Hive Mind」というゲームアプリも紹介された。
同ゲームは、国連が作成した2030年までに世界的な問題を解決するための行動表「2030 Agenda」をもとにして、2030年までに世界的な政治的・経済的な問題を解決することを目指すシミュレーション・ゲームである。
同ゲームは、カンファレンスの参加者が実際にプレイし、世界的な政治的・経済的な問題を解決する困難さをリアルに体験してもらった、とのこと。
こうしたプレイアブル・カンファレンスが開催された意義とは、国連がゲーム・テクノロジー、さらにはVR・ARをシリアスな問題の解決手段のひとつとして、「真剣に」検討していることが明らかになったことではなかろうか。
VR・ARは「何かを経験する/経験させる」手段としては、現時点で最も強力なものである。このちからが、シリアスな問題の解決に使われるのは歓迎すべきことであるだろう。
国連が開催したプレイアブル・カンファレンスについて報じたVRFocusの記事
https://www.vrfocus.com/2017/03/united-nations-conference-enhanced-by-ar-and-gaming-technology/
上記記事の参照元となった国連のニュース記事
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=56287#.WL4Qw4XN6Xn
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