Code Girls(コードガールズ)は、「プログラミングは、女の子の武器になる」をモットーにライフイズテック株式会社が運営する女子中学生・女子高校生のためのプログラミングやデザインなどのIT技術の学習・体験の場を提供するワークショップ。

Unity × Code Girls
今回は6月26日に開催されたUnityを用いた3Dアプリ開発「Unity × Code Girls」というワークショップの取材に伺いしました。
渋谷にあるイベント&コミュニティスペースdots.(ドッツ)にて執り行われ、応募総数70名から抽選で選ばれた40名の女子中高学生が参加していました。
参加者の最年少は中学1年生。参加のきっかけはYouTubeでゲーム実況をするチャンネル「死神の巣」でRPGツクールで簡単にゲームを作る動画を見て自分でもゲーム作りたくなったという方や、コードガールズを親が見つけて応募したという方など参加の理由はさまざま。
簡単なプログラムをしたことがある理系女子から全く未経験の文系女子、勉強がどれほど得意でない子など、参加者の属性もまちまちでした。
そして、これからプログラム開発をするとは思えない明るく楽しげな現場に違和感をいだきつつも、ワークショップは始まりました。
今回のタイムスケジュール
本ワークショップのイベントは以下の流れで進められました。
10:00 | オープニング |
---|---|
10:30 | 開発 |
12:00 | ランチ |
13:00 | アクティビティ |
14:30 | 開発 |
17:15 | 体験会&エンディング |
18:00 | 終了 |
アクティビティでは、社会人になってからUnityを使いVRゲームを作った先輩女子たちが、「プログラム初心者でもUnityを使えばカンタンにゲームが作れて楽しいんだよ」というメッセージを参加者に伝え、UnityやVRの開発へのとっつきやすさを強調していました。
開発内容は、午前の部がピタゴラスイッチ的なものを3D空間にオブジェクトを配置して作るという基礎的なもので、午後の部ではユニティちゃんが障害物を避けながら進んでいくゲーム「ユニティラン」を作成するというもの。
午前・午後ともに開発のやり方が書かれたプリントを見ながら独りで開発を進めていきます。
開発中は参加者をサポートをする「メンター」と呼ばれる指導者が5~6人に1人の割合でつき、フォローしていく。

メンターはちょっと年上のお兄さんやお姉さん
ただ、メンターの方にお伺いしたところ今回は全員がスムーズに開発を進めることができたようだ。
印象的だったのが、開発中は余計な私語なく集中して作業に取り組み、3D/VRゲームのデモ体験をするアクティビティではワイワイと元気いっぱいに楽しむ参加者の姿でした。
参加者が口を揃えて「楽しかった」と感想を述べた本ワークショップについて、ディレクターを担当する西村諭美氏にお話をお伺いしました。

ディレクター西村諭美
後から振り返って楽しかったと思えるワークショップに
━━プログラム開発とは思えない雰囲気のワークショップですね。
西村氏:そうですね。弊社では後から振り返ったときに「プログラムをして楽しかった」という思い出を残したいのでワークショップ全体を通して楽しかったと思える演出を心がけています。
━━具体的にはどういったことをされていますでしょうか?
西村氏:まず学ぶ場所ですが、明るい空間となるような「色」と憧れの世界となるような「非日常感」を演出しています。
色に関しては、コードガールズで着用するTシャツや会場の至るところを暖色を基調とし、とにかく明るい場作りを目指しています。
会場が大学の教室などで開催する場合は、カラフルなクロスを机に敷いたりもします。
学びの場はBGMを流し、カフェのような雰囲気でお洒落で非日常感を演出することで「プログラムをすることがカッコいい」という印象作りをしています。
次に「配置」にも気を配っています。開発する席は5~6人の小グループを複数配置していますが、できるだけ年齢が同じ子をグループになるようにしています。
また、どの席からも中央の壇上が見やすい座席配置となるようにしています。
最後は、プログラム開発が「苦痛だった、しんどかった」と感じないようにすることです。
サポートするメンターは、できるだけ難しい言葉を使わずに伝えるようにしていますし、休息を適宜挟んだり、間にアクティビティを入れたりして開発に長時間集中してすぎてしまわないようにしています。
━━開発プログラムに工夫していることはありますか?
西村氏:まずやってみる、という精神を大事にしつつ、開発中は2~3時間でゲームアプリとして動くものが作れる構成にしております。
単純に「Hello Warld!」と表示するだけのものですとつまらないので、「ゲームを作った」と思える内容にしています。
また、40人全員が同じゲームというわけではなく、色味やデザインを重視しています。
オブジェクトの大きさや色味などで個々にアレンジさせたり、午後の後半からはUnityのアセットストアで好みのアセットを配置させたりしています。
女の子の持つ感性を生かすプログラミングがモットーです。
あとは、あまりに根をつめすぎて振り返ったときに「つらかった」思い出になることは避けたいので、そうならないように休憩中は手作りのお菓子をみんなで食べたり、非日常感のなか楽しい雰囲気作りを心がけています。

特製のカップケーキなどお菓子もオシャレ
━━ワークショップ後の印象をかなり意識されていますが、なぜでしょうか?
西村氏:私たちの役目はプログラミングを始める「入り口」として、ワークショップ後にどれだけ多くの参加者たちがプログラムを続けていけるかを重視しています。
今回参加した子たちにもう一度ワークショップにきてほしいというのではなく、自らがプログラムしたものが3Dとなって動いた体験をきっかけに、もっと別なものを作りたいと思ってそこから自主学習していってもらいたいと思っています。
そういったモチベーションにするためには、やはり入りで苦い思い出を作ると続かないので、とにかく「自分の作ったものが動いて、楽しかった」経験を持ち帰ってもらえるようにしています。
━━なるほどですね。こちらのワークショップの基礎設計はどなたが考案されたのでしょうか?
西村氏:こちらは創業メンバーでCOOの小森がやっております。
また代表の水野は元教師で、共同創業者の小森はワークショップデザイナーの顔を持つ、ワークショップ作りのプロ。
「エンターテイメント×教育」をキーにしたアイデアマンです。
それをベースに、イベントチームやカリキュラムチームが今回のワークショップでは「どんなことを伝えたいか?」を決めて細部を構成していきます。
━━メンターの方はどのように育成されていますか?
西村:コミュニケーション、ファシリテーション、プログラムの3つをベースに計100時間の研修を行っております。
参加者に接する際も、上から目線ではなくお兄ちゃん、お姉ちゃんくらいの温度感で接するようにしてメンターに相談しやすい環境づくりをしています。
メンターは大学院生など20代のスタッフが多いです。
━━ワークショップの開催ペースを教えてください。
西村氏:「Code Girls」は、2015年から月に1回ペースでやっています。
━━ワークショップの参加費用について教えてください。
西村氏:「Code Girls」の参加者は無料です。会場やメンター・その他の経費はスポンサー様にご協力いただいております。
━━今後の展開をお聞かせください。
西村氏:はい、今後も女性のプログラミングをする上での入り口として、
「決められた時間でアプリが簡単作れる」→「じゃあ自分でもアプリを作ってみよう」となるサイクルを作っていきます。
次回は「広島県 × Code Girls」を7月10日に控えており、こちらは広島県とコラボして地方創生で将来起業する子たちを育てたいと思っております。
━━ありがとうございました。
その後の自主学習につながるきっかけとしてコードガールズは女性エンジニアの輩出に貢献
コードガールズの運営を行っているライフイズテックは、2011年から男女関係なくプログラミングの体験会を実施し、他のIT系のイベントに比べて女性参加者の比率がが多いことでも知られていました。
2014年には世界中でコンピューターサイエンスやICT教育の普及に貢献している組織に贈られる賞「Google RISE Awards」を受賞するなど、世界的に見ても女性エンジニアの育成に貢献している企業です。
親に申し込まれ「Unity × Code Girls」に参加した女性も「コードガールズだから参加しやすかった」と参加者からの評判も高い。
女性にプログラムを楽しいと思ってもらい、その後の自主的な創作活動を促していく取り組みは今後も拡大していくことだろう。
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