海外メディアVRScoutは、2017年1月11日の記事において、Venture Reality Fundが発表した2016Q4のAR業界マップを紹介した。
同メディアは、VR/AR企業を対象として投資を行っている投資会社Venture Reality Fundが昨年12月に発表した2016年第4四半期時点でのAR業界マップを紹介した。
同メディアは、同投資会社の関係者にAR業界マップに関するインタビューも行っている。本記事では、そのインタビューの内容を参考にしながら、以下にAR業界マップを解説する。
同業界マップは、マップ下方から上方に向かってインフラ・レイヤー、ツール/プラットフォーム・レイヤー、アプリ・レイヤーとグループ化されている。このレイヤー間の位置づけは、下方のレイヤーが上方のレイヤーの基盤となっていることを意味する。つまり、まずインフラ・レイヤーの企業がARデバイスを供給し、次いでツール/プラットフォーム・レイヤーにいる企業がARアプリを開発する環境を整備し、最後にアプリ・レイヤーに属する企業が実際にARアプリを開発・販売する、という業界構造を図解しているのだ。
上記3レイヤーの全てに名を連ねているMicrosoftとMagic Leapは、AR業界のキープレイヤーということが分かる。
発展途上のインフラ・レイヤー
インフラ・レイヤーに名を連ねている企業の特徴は、一言で言えばARデバイスメーカーである。Hololensを開発するMicrosoft、謎多いARデバイスを開発中のMagic Leapはもちろんのこと、空間認識機能を有するTangoテクノロジーを提供するGoogleの名も見られる。
AR業界はVR業界のようなメジャーなARデバイスがまだ普及していないので、(同レイヤーの右側に位置する)ARデバイスに部品を供給するコンポーネント・グループに属する企業の活動は本格化していない。
3Dキャプチャー技術を不可欠とするツール/プラットフォーム・レイヤー
ARアプリの開発環境を提供するのが、ツール/プラットフォーム・レイヤーの企業である。このレイヤーには、VR業界でも開発環境として利用されているUnity、Unreal Engineの名前がある。
同レイヤーにおけるARとVRの最大の違いは、ARには3Dキャプチャー技術を提供する企業のグループ(同レイヤー右側)が存在することにある。というのも、ARテクノロジーは、リアルな世界にバーチャルな情報あるいはオブジェクトをオーバーレイ表示することを基本としているため、リアルな世界の様子を3Dデータ化する3Dキャプチャー技術が不可欠なのだ。
3Dキャプチャー技術を提供する企業としては、3Dモデリングツールを開発する老舗AUTODESK、撮影後にピントを設定できる「ライトフィールド・カメラ」を開発するLytroが名を連ねている。
コンシューマー向けコンテンツが期待されるアプリ・レイヤー
アプリ・レイヤーに属する企業は、実際にARアプリを開発し販売する。Hololensアプリも開発しているMicrosoftは、当然このレイヤーにも名前がある。
Hololensが開発版およびエンタープライズ版に限って販売されているため、AR業界はビジネスユースから発展すると思われがちだが、コンシューマー向けARアプリの存在も忘れてはならない。そんなARアプリを開発・販売する企業は、「GAMES」と「CONSUMER」のグループに属している(同レイヤー左側)。
「GAMES」のグループには、「ポケモンGO」を開発・販売したナイアンティックのロゴがあり、「CONSUMER」グループには写真をAR加工するアプリを提供しているSnapchatの黄色いロゴを見つけられる。
以上のAR業界マップが2017年末にどのような変化を見せるかは、予断を許さない。だがしかし、AR業界の市場規模は、今年に大きく膨張することは間違いないだろう。
Venture Reality Fund公式サイト
http://www.thevrfund.com/
Venture Reality Fundが発表した2016Q4のAR業界マップを紹介したVRScoutの記事
http://vrscout.com/news/augmented-reality-landscape-tipatat-chennavasin/
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