Googleの実験的な技術開発を主導し、Google的イノベーションの象徴とも言われた「Google Labs(グーグルラボ)」は2011年7月20日に活動を終了しました。
それから10年経った今年、Googleに新しく「Google Labs」と呼ばれる社内チームが登場していることが報じられました。
新しいGoogle Labsは以前のような消費者向けの実験的製品開発ではなく、VR/ARをはじめとする社内のプロジェクトを一つの部署にまとめたものとなります。
GoogleのVR/ARを担った人物がリーダーに就任
新しくなったGoogle Labsを率いるのはベテラン副社長のClay Bavor氏です。
Bavor氏はAR / VRチームを率いて、2016年にAndroidベースのDaydream VRプラットフォームの立ち上げを指揮したことで知られています。
大きな期待を受けて開始されたDaydreamプロジェクトでしたが、
スロットインスマートフォンの取り組みに対する期待外れの反応
6DoF DaydreamヘッドセットであるLenovo Mirage Soloの市場パフォーマンスの低さ
が原因で2019年に終了してしまいました。
Bavor氏のチームはまた、スマートフォンベースのARを数百万のAndroidデバイスに提供する拡張ソフトウェア開発キットであるAR Coreの開発をサポートしました。
新しいGoogle Labsチームは同社のVR/ARプロジェクトを担当することになるようです。
「魔法の窓」Starlineの開発もLabsが手掛けるか
Bavor氏が最近手掛けているのプロジェクトがGoogleのProject Starlineです。
このプロジェクトもVR/AR開発と同じくBavor氏の新チームが主導することになると見られています。
これは、同社が一種の「魔法の窓」として構想している実験的なライトフィールドディスプレイシステムです。
ヘッドセットまたは特別なグラスを装着する必要なく、遠く離れたユーザーがビデオ会議アプリが提供できるよりも自然な方法で話すことができます。
新Google LabsにはArea120も含まれる
もう一つ注目されているのが新Google LabsにArea120が含まれているという情報です。
起業家精神旺盛な人材をGoogleに定着させる方法として構想されたこの部署は、
Threadit(職場用ショート動画プラットフォーム)
Stack(書類デジタル化アプリ)
Ad Lingo(A.I.を活用した会話型広告プラットフォーム)
といったプロジェクトを手掛けてきたことで知られています。
しかし、以前のArea120では全ての意思決定にGoogleのCEOであるSundar Pichai氏のサインが必要であるにもかかわらず、Pichai氏への報告系統が3層に分かれているなど組織が複雑化していることが問題視されてきました。
今回の組織再編によってArea120はGoogle Labの下にまとめられ、大幅にスリム化することになります。
また、Area120でこれまで進められてきたプロジェクトはLabsの他の主要なプロジェクトと並ぶことになり、これまで以上に認知度や注目度が上がると考えられています。
まとめ
Googleが注目すべき組織再編を行い、Google Labsと呼ばれるチームが復活しました。
この再編は社内では「会社全体で新しい将来を見据えた投資分野の開始と成長に焦点を合わせている」ものとされているようです。
Labsを率いるBavor氏は数々の先進的アイデアを製品化した実績があり、将来性が高いプロジェクトを率いるには最適な人物といえます。
また、終了してしまったGoogleのVRプロジェクトDaydreamも新しい視点・アイデアを持ったスタッフがLabsに加わることによって息を吹き返すことも期待できるのではないでしょうか。
Googleから今後どのような先進的な製品が登場するか楽しみですね。
参考:Google’s New ‘Labs’ Team Brings AR/VR, Project Starline &Area 120 Under a Single Roof[Road to VR]
Copyright ©2021 VR Inside All Rights Reserved.