米国のリサーチ会社Kenneth Researchは、医療VR市場の予測評価を提供する調査レポートを2020年12月18日に発刊しました。
このレポートは2028年までの医療VR分野におけるグローバルな機会分析と業界予測についてまとめたものです。
医療VR市場の洞察
バーチャルリアリティ(VR)技術は、コンピューターでシミュレートされた環境であり、感覚的な体験を再現することで、医療分野業界に途方もない機会を提供してきました。
VRの医療分野における有効性
医療分野では、VR技術のアプリケーションは、精神医学、トレーニング、医療行為など分野にまで及びます。
・うつ病
・PTSD
・手術シミュレーション
・恐怖症治療
・ロボット手術
・スキルトレーニング
は、VR技術の使用が成功したことが証明されている最も一般的な状況です。
このほかにも、VRは脳の気を痛覚からそらし、身体的に不快な治療中の薬物の必要性を減らすことにより、痛みの治療に効果的であることが証明されています。
医療分野におけるVRの推進要因・阻害要因
医療VRの普及を促進する主な要因には、
・神経障害の発生率の上昇
・革新的な診断技術の需要の増加
・VR技術の利点に関する意識の高まり
が挙げられます。
さらに、市場の成長をさらに促進する要因は
・高度なコンピューター
・ラップトップ
・インターネット接続
・モバイルアプリケーション
などの情報技術の分野における最新技術の進歩です。
ただ、治療のためのVR技術の需要は医療分野で増加しているものの、この新技術は高価であるため、利用できるのは先進国を中心とした世界の限られた地域だけというのが現状です。
また、
・高価なハードウェア
・開業医の不十分なトレーニング
・患者集団の認識の欠如
は市場の成長を妨げるとされています。
北米が医療VR市場で最大のシェアを保持
レポートでは
Artificial Life Inc.
Aruba Networks
CAE healthcare
をはじめ医療VR市場をリードする19の企業について、主要戦略、財務状況などの詳細な情報も公開されました。
また、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋、ラテンアメリカ、中東、アフリカの五つの主要な地域ごとに詳細な分析も行われています。
特に北米は現時点で収益の面で医療VR市場で支配的なシェアを保持しており、予測期間中も支配的な地位を維持すると予想されています。
北米での医療VRの成長を促進する要因となるのが
民間・政府による開発資金の増加
高度な医療インフラ
がといった要素です。
米国ではすでにVRが医療専門家のトレーニングと育成に広く使用されており、うつ病や恐怖症の治療にも広く使用されています。
まとめ
医療VRに関する業界予測レポートが発表されました。
VRを使うことで心理療法や医療技術習得が低コストで効率的に行われるメリットがあります。
しかし、医療VRの導入自体にコストがかかることから先進国中心での導入にとどまるとされており、今後の課題となりそうです。
また、世界的に見ると北米が医療VR市場では突出しており、今後もその傾向は変わらないと予測されています。
こうした状況の中で今後日本が医療VR分野でどのようなポジションを占めていくのか、良い展開を期待したいですね。
ソース:Kenneth Researchのプレスリリース[PRTimes]
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