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男性が「マンスプレイニング」を女性の立場から体験できる360°動画が制作される


マンスプレイニング(Mansplaining)」という英単語がある。この単語は、「男性(man)」と「説明する(explain)」から合成された新語で、男性が女性を見下して何かを解説することを意味する。この単語は、女性蔑視的な振る舞いを指摘し非難するときに使われる。もっとも、この単語で言われているように振る舞う男性は、そうした女性蔑視的な態度に気づいていないからこそ実行している。だが、そんな男性でも「マンスプレイニング」を身をもって体験する方法が考え出された。その方法とは、360°動画で体験するのだ。


マンスプレイニングを体験できる動画の画像


プレゼン中に講釈を垂れられたら…



「マンスプレイニング」の言葉のうえでの定義を知ったところで、この言葉が意味している状況を理解したことにはならない。言葉で聞くより、その言葉が指している状況を体験すれば、否が応でも理解できるだろう。「百聞は一見に如かず」なのだ。


上に引用した動画が、「マンスプレイニング」を再現したものだ。視聴者がVRヘッドセットを装着すると、ミーティングルームでプレゼンするところであることが分かる。そして、視聴者の視線がこれからプレゼンしようとする女性のものであることもすぐに分かる。


動画を再生して少しすると、女性=視聴者がプレゼンを始める。プレゼンが進むうちに、動画ではちょうど1分弱再生したところで、やや年配の男性がふいにプレゼンを遮り、解説を始める。プレゼンしていた女性は、完全に無視されたかたちだ。


この状況が「マンスプレイニング」である。他人が話している時に、無断で遮るのは性別に関係なくエチケット違反である。マンスプレイニングとは、こうしたエチケットを男性は女性に対して遵守しなくてよい、という偏見の一種なのだ。


250人の女性の体験から作られたシナリオ


男性が解雇をほのめかすマンスプレイニング動画の1コマ

男性が解雇をほのめかすマンスプレイニング動画の1コマ


以上の動画を制作したのは、VRコンテンツ・プロデューサーのYasmine Boudiaf女史だ。


同女史は、引用した動画のほかにも多数のマンスプレイニングを体験できる動画を制作している。そのなかには、オフィスにおいて男性が女性の意見の却下する時に、解雇をほのめかす、というものもある。


同女史によると、以上のようなマンスプレイニング動画のシナリオを作るときに、250人もの女性の実体験を参考にしたと言う。


もっとも、同女史は男性を非難するためにこうした動画を制作したのではない。むしろ、男性もマンスプレイニングについて一緒に考えてほしい、という意図があるのだ。同女史は、同動画に関して以下にようにコメントしている。


私が動画を制作した目的は、誰かを罰したいからではありません。


そうではなくて、私が動画で提起していることについて話し合い、女性の服装について話してはいけないといった画一的なジェンダー・ルールに従わないようにするためなのです。


他人の立場になることができるVR


マンスプレイニング動画における画期的なところは、男性が文字通り「女性の視線」から問題が起こっている状況を体験できるところにある。


「他人の立場になって考えてみる」ということが思いやりの第一歩だとすると、VRはまさに思いやりに気づくために最適なツールと言える。実際、VRによって「思いやり」のある行動をさせるという実験が多数行われている。


バーチャルな人種差別を受けて、その痛みを知る事例の解説画像


例えば、スタンフォード大学では人種差別を受けた時に感じる痛みを「実際に」体験するために、VRコンテンツ「Racism with Virtual Reality」(VRによるレイシズム=人種差別)が制作された。このVRコンテンツを使うと、ユーザーはまるで現実に人種差別を受けたかのような体験ができるのだ。


里親や保育士を訓練しているイギリスの企業Cornerstone Partnershipは、里親と保育士に子供の気持ちを理解してもらうために、子供の目線から様々な状況を体験できる360°動画を制作している。


以上の事例の多くは、一定の成果があったと報告している。


VRを活用した道徳教育は可能なのか


「他人の立場」になることができるVRが果たすべき役割とは何なのか。その答えのひとつとして、「VRを活用した道徳教育」というアイデアが考えられる。


道徳の教科書を読んだり、道徳に関する動画を視聴するより道徳にまつわる360°動画を体験したほうが、ヒトはずっと「道徳的」になれるのだろうか。この問いに対する答えはまだ整理されていないが、この問いについて考える時期はすでに来ているのではなかろうか。


ソース:Evening Standard


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