CEDEC 2016のセッション、「VR体験を”自分ごと”と感じさせる導入演出、およびナラティブなVRコンテンツへの発展の考察」の様子を紹介する。
30分程のショートセッションだったが、とても内容の濃いセッションであった。
講師は面白法人カヤックVR部クリエイター 原 真人 氏
VRゲームは導入部がすごく重要
VRゲームを制作していくうえで、没入感は常に重要だがユーザーにVRで見た出来事が「自分自身におきたこと」となるべく錯覚してもらうためにはゲーム開始時の演出方法が重要である。
面白法人カヤックが手掛けるVRコンテンツも装着前→装着中→装着後(VR導入)→到着後(VR本編)という流れの中で導入から本編にかけてシンプルからゴージャスへといったような演出がなされいる。
これによりユーザーは強い没入感を得てゲームをスタートするのだ。
面白法人カヤックが過去に手掛けた、タグチ工業「ガジラVR」でもそのような導入演出なされている。
静かなはじまりでシンプルな正常運転から始まったと思った途端、警報音が鳴り響き事態が悪化していく演出は2Dの映像ですら引き込ま
れるものがある。
これをVR空間で体験したら確かに強い没入感を得られるだろう。
ゲームにおけるナラティブ性
ナラティブとはあまり聞き慣れない言葉かもしれないがゲームデザインにおける重要な要素で、「風ノ旅ビト」「ドラゴンクエスト」に代表されるストーリ性の高いものがよく例に挙げられる。
原氏はゲームにおけるナラティブ性について。
ゲームのストーリーをゲームのプレイをとおして実感できること、
プレイを通してというところが重要で、
ストーリーがゲームのデザインやメカニクスにうまく落とし込まれている必要がある。
と提唱している
VRゲームにおけるナラティブ
VRゲームと非VRゲームの最も大きな違いは
・ゲームプレイが主観的な体感そのものになる
・リアルではない感覚のものはユーザー側が(無意識に)拒否し感情移入しづらい
というところがあげられる。
この画像のように非VRではゲーム内の一キャラクターにすぎなかったようなものに、自らが入りこんでいき主観的な体感をするものとなる。
そのためVRは今までのゲームにおけるナラティブ性とは相容れないものがある。
VRゲームにおけるナラティブ性の調査に「ジョビンのたんじょうび」という簡易的なテストゲームでユーザーの没入感に対するアンケート行った。
このゲームでは主に視覚情報とキャラクターの語りなどを要所ごとに変更し、どういった演出が「VRのナラティブ性に貢献するか」を調査。
今回の調査の結果では、ゲーム内の視覚情報よりも、キャラクターの語りのほうが重要な傾向があることがわかった。
この調査結果から原氏は「とっかかりはつかめたが課題は多い」と言う。
キャラクターの語りや舞台セットによってユーザーは「架空のシチュエーション」にある程度乗っかってくれているので、ナラティブなVRゲーム体験もできる可能性がある。
がしかし、「風ノ旅ビト」「ドラゴンクエスト」のような作品をVRゲームでも作るにはハードルが高いとのこと。
まとめ
現在のVRにおけるゲームデザインにロールモデルのようなものはない。
VR普及率が上昇しユーザーが増えれれば、製作者側もフィードバックを重ねられる。
今後没入感も強くストーリー性の高いゲームも生まれることを期待する。
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