ビジネス向けのドローン活用サービスを展開しているDroneBaseが、ドローンを通じて空中にARオブジェクトを配置できるアプリ、「AirCraft」のベータ版をリリースした。
AirCraftを使うことにより、ドローンパイロットはAR空間中に、自在に3Dブロックを配置することが可能となる。ブロックのカラーやテクスチャーは複数のパターンが用意されており、それぞれを組み合わせて多彩なオブジェクトを創作できるのだ。
たとえば空中に大きな城を建造することもできるし、いくつかドローンレース用のコースを設営する、などの使い方が考えられる。DroneBaseは、企業の宣伝活動や、ドローンを使ったレクリエーションといった使用用途でアプリが使われることを想定して開発したという。
これまでAR空間上でのドローイングなどの創作活動を可能にするアプリ・ソフトは多数リリースされてきている。しかし、AirCraftのように「空中での」創作を可能にするプラットフォームは珍しい。このような意味で、AirCraftは注目に値するアプリだといえるだろう。
AirCraftの概要
コントローラーにスマホを装着して使用
AirCraftはiOS 10.0に対応したスマートフォン用アプリだ。ドローンパイロットは、コントローラーにスマートフォンを装着するなどしてアプリを操作することになる。
現在、iPhone 6/6 Plus、iPhone 6s/6s Plus、iPhone SE、 iPhone 7/7 Plus、iPhone 8/8 Plus、iPhone Xで動作することが確認されている。また、もちろんiPad、iPad touchにも互換性がある。
現在App Storeから無料でダウンロード可能だ。
Android版も将来的にはリリースされる予定だという。
AirCraftの大きな特徴は、シンプルな形状のブロックを組み合わせるだけで、創作物をAR空間に配置できるという点だ。
カラー、テクスチャーはそれぞれ6色
ブロックのカラーは、ブルー、レッド、グリーン、イエロー、ブラック、ホワイトの6色。
また、ブロック表面に貼り付けられるテクスチャは、木目、土、水、石など6タイプ用意されている。
さらに、大きなオブジェクトを組み立てる時に重宝する、「3倍ブロック」と「5倍ブロック」も用意されている。一度に複数のブロックを配置できるので、素早くオブジェクトを完成させることが可能だ。
これらのブロックを、スマートフォン上で表示される2つのボタン(配置ボタンと削除ボタン)で設置しながらオブジェクトを組み立てていくのだ。
専門的なデザインの知識は不要で、誰でも簡単に、イメージ通りの3Dモデルを作りやすい。
また、単に自由度の高いが創作が可能というだけでなく、CADを使って3Dモデルをレンダリングするのと同じようなクオリティでデザインすることができるのも強みだ。企業のコマーシャルなど実践的なビジネス目的での使用にも問題なく耐えうる仕様となっている。
空中でのAR活用に先鞭をつけた
DroneBaseのCEOを務めているDan Burton氏は、次のようなコメントを残している。
「AirCraftは、あらゆる飛行スキルレベルのパイロット達に、ドローンを飛ばす、新たな理由を提供します」
「現段階でのAR体験と違い、AirCraftはパイロットに、飛行中、バーチャルオブジェクトを創り、またインタラクトすることを可能にします。私どもは、パイロットコミュニティーが何を創り上げるのか、このテクノロジーをどのように使うのか、そして、彼らは次にどのようなことを望むのか、それらを確かめることを、楽しみにしています」
Burton氏も述べているように、AirCraftは、これまでのARアプリが無視してきた「空中」という空間に目を向けた点が特徴的だ。さらに、それをドローンとARという、注目度の高いテクノロジー同士の組み合わせにより実現した点は中有木に値する。
また、ドローンは、娯楽目的で運用されるだけでなく。不動産テックを始め、様々なビジネス領域で活用され始めているガジェットだ。
AirCraftのように、ビジネス分野での使用を念頭に置いたアプリを開発すること自体は、突拍子もないことではない。それどころか、親和性が高いとすらいえる。
今後「空中」でのARテクノロジー活用が盛況をみせることになるのか、現時点ではまだ不透明だ。
しかし、AR分野が未開拓だった領域に先鞭をつけたという点は、少なくとも現時点で評価できるだろう。
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