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軍事分野で進むARの活用、米陸軍がARを用いた訓練システムを発表



VR/ARは様々な分野での活用が期待されているが、軍事分野においてもVR/ARはメリットをもたらす技術として開発が進められている。


VR/ARを兵士の訓練システムに取り入れることで、従来は実際の車両や弾薬を用いて行なっていた訓練を、バーチャル空間の中で再現することが可能になる。また、それによって従来の訓練にかかっていた時間やコストを削減できるというメリットもある。


概要


ARを用いた訓練システムを展示


10月9日から11日にかけてワシントンにて開催された米国陸軍のAnnual Meeting and Expositionにて、陸軍の兵士用に開発された次世代の装備の数々が展示された。


展示された装備の中にはAR技術を採用したものが新型訓練システムが登場した。本システムのデモとして展示されたダミーライフルはARに対応したセンサーを装備しており、照準ポイントなどの様々な情報がARによってホログラム表示されるというものだ。


また、イベントでは実寸大のヘリコプターがホログラム表示され、参加者に向かってミサイルを発射するというデモも展示された。まるでゲームのような技術であるが、これらは米国陸軍が兵士の訓練で活用するために開発したものだ。


ARによって兵士の訓練方法が変わる


今回展示されたARを用いた訓練システムは、すでに実際の兵士によるテストが行われており、評価は往々にして前向きなものだったという。


米国陸軍のResearch LaboratoryのチーフエンジニアであるPat Garrity氏は、AR技術を兵士の訓練に取り入れることによって、「兵士の訓練を室内、室外、日中、夜間に関わらず、様々な環境で行うことができる」と語っている。


従来、兵士の訓練には実際の訓練施設や車両、弾薬など、物理的コストが膨大に要するものだった。しかしARを取り入れることによって、これまで兵士の訓練にかかっていたコストを削減できるという。


軍事分野にARを用いるメリットとは


民間技術を転用することでコスト削減が可能に


これまで、兵士が携行する装備はほぼすべてが軍によって独自開発されたものであったため、研究開発には膨大な費用を投じる必要があった。しかし、VR/AR技術という民間技術を転用することで、研究開発にかかるコストを削減できるというメリットがある。


現在市場に流通しているUnreal Engineなどのゲームエンジンや、各種センサー、ハードウェアを転用した装備の開発が進んでいる。米軍ではオンラインゲームを装備の開発に使用したり、マイクロソフトのARヘッドセット「HoloLens」を搭載したARヘルメットをウクライナ軍が開発している。


兵士が携行する装備を軽量化


また、AR技術を採用した装備は軽量化が進むことで、兵士が携行する装備の重量を軽減できるというメリットもある。兵士は行動中にボディーアーマーなどの重量のある装備を全身に装着しているため、携行するデバイスはできるだけ軽量であることが求められる。


装備していることをほとんど実感しないような軽量・高性能なデバイス開発が求められている。Garrity氏によると、このようなシステムは今後、地上で活動する兵士だけでなく、航空機のパイロットや車両の操縦手など、様々な領域において活用が進んでいくとのことだ。AR技術の普及は、軍事分野にも大きなメリットと変革をもたらしそうだ。


2020年ごろから実用化


Annual Meeting and Expositionにて展示されたAR訓練システムは現在開発中で、2020年ごろからの実用化を目指しているとのことだ。


もちろん、実際の現場での戦闘と、バーチャル空間での戦闘シミュレーションとでは、兵士にかかる負担や緊張感などにおいて差が出るだろう。しかしゲームやARを用いて、実際の現場で行う情報伝達や動き方などを低コストで学べるというメリットは重要といえる。


軍事分野におけるVR/ARの活用例


VR/ARを取り入れた訓練システム「STE」



米国陸軍は、本記事で紹介したAR訓練システム以外にも、VR/ARを用いた訓練プログラムの開発を進めている。そのうちの一つが、ARを含めたバーチャル技術を取り入れた訓練システム「STE(Synthetic Training Enviroment)」だ。


STEとはゲーミングやAR、クラウドでのデータのやりとりなどの最新技術を活用して、できるだけ実際の環境に近い状況をバーチャルに再現して、兵士の訓練に取り入れるものだ。


STEはおもに都市部での戦闘訓練に用いられ、複数の部隊による共同作戦などの複雑な状況をバーチャルでシミュレートすることができる。


実際に兵士や車両、航空機を動員する訓練は膨大なコストがかかるが、バーチャル空間で訓練を行うことによって、少ない資金で訓練を行うことが可能になる。かつ実際のスケールでリアルタイムに訓練を行うことができる。


AR艦砲射撃支援システム「GunnAR」



アメリカ海軍の兵器開発を担当する部署であるMR戦闘域活用ラボ( Battlespace Exploitation of Mixed Reality Lab:略してBEMR)は、ARヘルメットを活用した艦砲射撃支援システム「GunnAR」を開発し、同システムのテスト時の動画を公開している。


「GunnAR」では射撃連絡員がタブレット端末で入力した艦砲射撃指令が、射撃手が装備しているARヘルメットに表示される。ARヘルメットには、射撃指令から算出された射撃対象に対する照準も表示される。


従来の艦砲射撃では、射撃連絡員からの指令が砲兵に無線で伝えられていた。しかしこの方法では、指令が射撃音によってかき消されることがあった。射撃指令を視覚的に伝達できる同システムは、従来の指令系統における欠点を解決するものだ。


同システムの開発には、工事現場で実用化されているDAQRIのスマートヘルメットを流用した。こうした民生品の流用によって、同システムの開発コストは大幅に削減することができたのだ。


参考:艦砲射撃を支援するARシステム「GunnAR」を使った演習動画が公開される


参照元:Military Uses AR To Substitute For Live Fire Exercises


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