US版Windowsブログ記事で、Windows MRヘッドセットからSteamにアクセス可能であることが報じられた。
開発者は本日から、ユーザは今年末からアクセス可能
以前に本メディアでは、Windows MRヘッドセットはSteamVRに対応することを報じた。この「SteamVRに対応する」ことが意味するのは、世界最大のゲーム・プラットフォームであるSteamにアップされているVRゲームに対して、Windows MRヘッドセットからアクセスしてプレイできることだ。
2017年10月17日にAcerをはじめとしたメーカー4社から同ヘッドセットがリリースされることを報じた2017年10月3日付のUS版Windowsブログ記事では、SteamVR対応に関する以下のような最新情報が掲載された。
先月(つまり2017年9月)、Windows MRヘッドセットを使ってもSteamVRコンテンツを実行できるように、Microsoft社は(Steamを運営する)Valve社と協力することにしました。
開発者には本日(2017年10月4日)よりWindows Mixed Reality SteamVRプレビューについてのアクセス権が提供され、Windows MRヘッドセットからSteamVRコンテンツを実行することができます。コンシューマは、SteamVRプレビューのアクセス権を今年末に取得することができます。
説明に言われている「Windows Mixed Reality SteamVRプレビュー」とは、Windows MRヘッドセットからSteamVRコンテンツを実行する機能、というように理解して問題はないだろう。
「OpenVRを使っている」Valve社が明言
以上のようなWindows MRヘッドセットとSteamVRの関係に関して、海外メディアUpload VRはValve社の声明を報じた。その声明とは以下の通り。
Microsoft社は、SteamVRが自動的にWindows MRヘッドセットを認識できるように(MRヘッドセットに)OpenVRドライバーを実装しています。
このことはコンシューマから見れば、Windows MRヘッドセットを使って「確実に」SteamVRタイトルをプレイできることを意味しています。
また、開発者の側から見れば、以前に開発したSteam上にあるVIVEあるいはOculus Riftコンテンツを、Windows MRヘッドセットおよび/あるいはWindows MRヘッドセットの専用コントローラーに移植できることを意味しています。
このValve社の声明により、VIVEあるいはOculusコンテンツをWindows MRヘッドセット対応コンテンツに移植することが保証されたと見なしてよいだろう。
もっとも、こうした移植が保証されたからと言って、移植に伴う開発が容易であるわけではない。というのも、移植の障害となるようなVIVE・Oculus RiftとWindows MRヘッドセットの決定的な仕様上の違いが存在するからである。それは、トラッキング方式の違いである。
VIVE・Oculus Rfitは、VRヘッドセット本体とはべつに複数台のトラッキングセンサーを設置する必要がある。このトラッキング方式はOutside-inと呼ばれる。対して、Windows MR ヘッドセットは、ヘッドセット本体にトラッキングセンサーが内蔵されている。この方式はInside-outと言われる。
以上のようなトラッキング方式の違いから生じる移植する際の問題は、今後VIVE・Oculus RiftコンテンツをWindows MRヘッドセット対応コンテンツに移植するノウハウが蓄積されることによって解決されるだろう。裏を返せば、移植コンテンツが近々に一挙にリリースされることは、移植ノウハウが蓄積されていない現状では考えにくい。
OpenVRを使っているならば、Reviveも使える?
Valve社の声明で言及されている「OpenVRドライバーを実装」していることは、実は重要な意味をもつ。OpenVRを実装していることにより、Windows MRヘッドセットがReviveを使うことができるかも知れないのだ。
ちなみに「Revive」とは、「Robo Recall」「Lone Echo」のような魅力的なOculus独占コンテンツをVIVEでプレイできるようにする非公式ツールである。
以前に本メディアでは、Reviveの開発者Jules Blok氏にWindows MRヘッドセットにReviveが使えるかどうか尋ねたインタビュー記事を掲載した。同氏は以下のように答えている。
Reviveは、(SteamにアクセスするAPIである)OpenVRドライバーを採用しているVRヘッドセットであれば、何であれ使うことができます。そして、Reviveがうまく動作するかどうかは、OpenVRをどの程度うまく実装しているかによって左右されます。
もしWindows MRヘッドセットがOpenVRドライバーを使っているならば、Reviveを使うことも簡単でしょう。
反対にWindows VRヘッドセットがOpenVRを使っていないのであれば、Oculus SDKにアクセスすることが難しくなり、Reviveを介してOculus独占コンテンツをWindows MRヘッドセット対応コンテンツに変換することも難しくなります。
同氏によれば、Windows MRヘッドセットがOpenVRを実装しているのであればReviveを使える可能性が高い、ということである。そして、すでに引用したValve社の声明により同ヘッドセットにはOpenVRが実装されていることが判明しているので、同ヘッドセットでReviveを使えるのではないか、と結論づけられる。
とはいうものも、本当にReviveが使えるかどうかは、同ヘッドセットが実際にリリースされてから試してみないことには断言できない。
ともあれ、理論上は同一のVRコンテンツをVIVE・Oculus、そしてWindows MRヘッドセットでクロスプラットフォーム展開することは可能なようだ。この事実は、VR市場の成長にとって非常に希望の持てることであろう。
参照元サイト:Windows Blog
https://blogs.windows.com/windowsexperience/2017/10/03/the-era-of-windows-mixed-reality-begins-october-17/#oKyzQe27bz7Popdz.97
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