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LucydがARグラスのプロトタイプ開発に向けて11億円規模の資金調達ラウンド開始を発表


ARグラスで情報を表示

ARグラスを使えばユーザだけに見えるように情報を表示できる


ARはスマートフォンアプリのポケモンGOで一躍有名になった技術だ。最近ではAppleのiPhoneが新しいプラットフォームARKitによって本格的なARに対応するなど、スマートフォンと結びつけて語られることが多い。


しかし、複数の大企業がこの技術を利用した専用のARデバイスの開発に取り組んでもいる。AmazonやFacebook、あるいはAppleがそうだ。こうした企業は、スマートフォンのアプリだけでなく専用のARデバイスが利用されるようになると考えているらしい。


だが、これらの企業が開発しているとされるARグラスの中で製品として形が発表されているものはまだ存在しない。ときにはデザインの案だとされる画像が出て来ることもあるが、多くは企業が過去に提出した書類に掲載されたものや信憑性の低いものだ。


そんな中で、Lucydは「ARグラスを製造するための資金」として11億円規模の資金調達ラウンドの開始を発表した。


スマートフォンのARアプリとAR専用デバイス


ポケモンGO

ARの知名度を上げたポケモンGO


ポケモンGO


AR技術そのものがテクノロジーに興味を持つ人だけでなく一般の人に広く知られるようになったきっかけは、昨年の夏に起きたスマートフォン用ARアプリポケモンGOの大ブームだ。この流行によって初めてARを知った、ARアプリを使ったというユーザも多いだろう。


ポケモンGOは特別なARプラットフォームを用いて構築されたゲームではなく、スマートフォンのGPSやカメラ機能を利用しているだけのシンプルなゲームアプリだ。そのためARアプリとしての機能には乏しいが、ハイエンドモデルに限らず多くのスマートフォンで利用できるという特徴もある。


多くのAR機能を謳うスマートフォン用アプリでは、ポケモンGOと同じく特別なプラットフォームを使用していない。


スマートフォン用ARプラットフォーム


しかし、単にカメラの映像に画像を重ねるだけのARアプリにできることは少ない。そこで、スマートフォンで利用可能なARプラットフォームが開発された。


早い時期に提供がスタートしたのはGoogleの開発したGoogle Tangoだ。専用のセンサーを使用するために対応するスマートフォンが非常に少ないという欠点はあるが、精度の高い計測が可能なARプラットフォームだ。


Tangoよりは遅れ、最近になって一般ユーザへの提供が開始されたのがAppleのARKitだ。このARプラットフォームの最大の強みは、対応端末の多さである。Google Tangoと異なり専用のセンサーを搭載したモデルでなくてもiPhoneでARが利用できるため、既に世界中にARKit対応端末が存在する。


GoogleもARKitの対抗馬となるARCoreの開発を進めているようだが、こちらはまだリリースされていない。


AR専用デバイス


AR技術を搭載したスマートグラスとして最も知名度が高いデバイスは、おそらくGoogleのGoogle Glassだろう。Google Glassは盗撮の懸念があることから指摘されたプライバシーの問題や性能に対して高すぎる価格、大きすぎる本体などで一度は止まってしまったプロジェクトだが、企業向けのデバイスとして再始動している。


他の企業でメガネ型デバイスの開発が噂されているのはAmazonだ。同社は読書用端末のKindleやマルチメディア用途に適したFireタブレット、テレビに接続するFire TVといったハードウェアを開発している。日本向けには販売していないが、音声アシスタントAlexaを搭載するスピーカー、Amazon Echoもある。


どうやらメガネ型のデバイスにもAlexaが搭載され、どこでもアシスタントの機能を利用できるものになるようだ。今年中に発売されるという情報もあるため、ARグラスの分野に早い段階で足がかりを持つことになるかもしれない。


ARグラスとスマートフォン用ARアプリとの違いとしては、いつでも使えることがポイントになりそうだ。メガネ型ならばかけたままでも生活できるため、スマートフォン用のARアプリとはまた違う利用法が生まれることになるだろう。


AR専用デバイスの開発


Amazonの特許書類に含まれていた図

Amazonの特許書類に含まれていたスマートグラスとみられる図


こうしたARグラスも期待されているデバイスではあるが、残念ながらまだ個人用の本格的なARグラスを発表している企業はない。VRヘッドセットと比べて価格が高くなってしまうこともあり、既存のARデバイスはエンタープライズ向けのものや技術デモ的なものばかりとなっている。


早期開発?


Lucydが発表した資金調達の目的は、ARグラスのプロトタイプを開発することだ。金額は1,000万ドル(11億円)と大きく、本格的に実用化を考えて開発に取り組むとみられる。


まだ他の企業もARグラスを開発できていないため、順調に進めばライバルに先駆けてAR専用デバイスの市場で大きな存在感を持つことになるかもしれない。


Lucydは、セントラルフロリダ大学からTekcapitalが購入した13件の光学技術に関わる特許をARグラスとして実用化することを目指している。資金調達の開始は10月17日を予定しており、その後のロードマップはまだ発表されていない。


 


参照元サイト名:City A.M.


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