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遠隔地にいる作業員のリモートワークを支援するARアプリ「Remote AR」が登場



エンタープライズ向けのARサービス・ソフトウェア開発を行うScope ARは、アップルのARプラットフォームであるARKit上で動作する業務支援ツールを開発、提供する。


これは遠隔地にいる作業員の現場作業をサポートするもので、同社は本サービスの概要を示すデモ動画を作成、公開している。


概要


モバイルARによる遠隔コミュニケーション


デモ動画では、現場の作業員がモバイルARを用いて、車や機械などにメモや注釈などをAR表示する様子が確認できる。



この「Remote AR」アプリを用いることによって、遠隔地にいる現場作業員に素早く、的確な指示を出すことが可能になる。


たとえば、遠隔地にいる熟練のエキスパートの作業員が、現場にいる経験の浅い作業員に指示を出す場合、従来は電話やメッセージでのやり取りを通じて行なっていたが、これらの手段では伝えられる情報量が少なく、そのため情報が誤って伝わってしまったり、もしくは現場で直接指導するよりも情報伝達に時間がかかっていた。


しかし、ARによって情報を直接表示することができれば、短時間で的確に情報を伝えることが可能になる。


時間的、経済的にもコスト削減が可能に


「Remote AR」を用いることによって、たとえば組み立てのプロセスを伝える際にも、矢印やメモをAR表示しながら教えることができれば、現場にいる作業員は直感的に内容を把握することができる。


指導員が直接現地に赴く必要がないので、時間的、経済的にもコスト削減が可能になる。


Scope ARによると、「Remote AR」は現在すでにいくつかの企業に採用されており、たとえばキャタピラーやロッキード・マーチンなどの大手メーカーも本アプリの顧客リストに含まれているとのことだ。


導入が容易なモバイルAR


モバイルARを用いるメリットの一つに、導入が容易であることが挙げられる。


マイクロソフトのARヘッドセット「HoloLens」や、先日グーグルがエンタープライズ向けにリニューアルした「グーグルグラス」などの装着型デバイスは、モバイルARに比べて機能性は高いが、導入コストが高いという問題がある。


しかし、モバイルARであれば市販のスマートフォン/タブレットでAR機能を使用できるので、導入コストを下げることができる。


Scope ARのCEOであるScott Montgomerie氏は、「Remote AR」がもたらすメリットについて以下のように述べている。


我が社の技術を通して、現在市場に流通しているiPhoneやiPadを用いて、現場での作業にARを取り入れることが可能になります。これによって作業員は従来よりも素早く、正確に作業を行うことが可能になり、かつ時間的、経済的なコスト削減も可能になります。

ARKitで動作


「Remote AR」はアップルのARプラットフォームであるARKitで動作するアプリで、ARKitは今秋にリリースを予定しているiOS 11に正式に対応する。


普及率の高いiPhone/iPadが高性能なARアプリのプラットフォームになることによって、モバイルARの普及が加速することが予測される。


ARが製造業にもたらすメリット


リモートアシスタント



ARを現場での作業に取り入れることによって得られるメリットの一つが、リモートアシスタントだ。


本稿で紹介した「Remote AR」のように、遠隔地で作業する人間に、ARを通して素早く、的確に指示やアドバイスを与えることができる。


指示内容をビジュアル化して現実世界に投影することで、指示内容を直感的に理解することができるため、作業工程の簡略化や、正確な内容の把握が可能になる。


バーチャルマニュアル



また、作業を行う際に必要なマニュアルをビジュアル化して、自分がいま行なっている作業をアシストするデータをAR表示してくれる「バーチャルマニュアル」としても、ARは大きな効果の発揮が期待されている。


バージニア州に拠点を置くUpskillとSkylightという企業が、ゼネラル・エレクトリック社にて現場作業にARグラスを取り入れる実験を行なったところ、大きな効果が得られたという。



ARグラスを現場作業に用いる場合、取り付け作業で34%、倉庫内のピッキング作業で46%、作業時間が短縮した
という報告がされている。


3Dモデル共有



車やバイク、建築の完成図は、2Dの図面や映像で正確に把握することは難しいが、VRやARを用いて実物大のモデルをARで共有すれば、より正確な理解とともに、データのやり取りが簡単になる。


「AR CAD Cloud」はHoloLensに対応したソフトウェアで、ユーザーはクラウドを介してCADデータをシェアリングすることが可能で、車やバイク、工作機械などのデータを実物大でAR表示することができる。


実物と同じ形状、サイズの3Dモデルをジェスチャー操作で動かしたり、モデルに顔を近づければ内部構造を表示することも可能で、製品の正確な姿を完成前に閲覧することが可能だ。


リテール/店舗



ARによって、店舗での商品探しをスムーズにしたり、もしくは遠隔地から商品を実物大で表示することによって、たとえば服であれば違うサイズの服を買ってしまう、といったリスクを避けることができる。


ARアプリを用いた服の試着システムの例として、先日ARKitを用いた試着アプリのデモ動画が公開された。


アパレルショップ店内で本アプリを起動して、スマホカメラで店内を撮影する。そして自分の着たい服がディスプレイ表示されてこれをタップすると、その服を着用したモデルがAR表示される。


このモデルは静止画像ではなく歩いているので、その服を着て歩いたときのイメージを、より正確に思い描くことを可能にするものだ。


参照元:Upload VR Scope AR Demonstrates Remote Collaboration System With Apple’s ARKit


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