株式会社インフォマティクスは、2017年7月19日(水)~7月21日(金)に東京ビックサイトにて開催された、社会インフラを対象とした非破壊調査、腐食評価、余寿命評価について最新技術を紹介する「インフラ検査・維持管理展」に出展する際のブース設営に、自社で開発中のHololensを利用した建築支援ツール「GyroEye Holo」を使った公開デモンストレーションを行った。
同社は以前、鴻池組(こうのいけぐみ)が施工主を務める東京大学本郷キャンパスにて実証実験を行っており、現在も積極的に実用化に向け、検証を繰り返している。
前回はビル現場だったが、今回はブース設営という比較的小スペースでの活用について、その有効性の検証が行われた。
本記事では今回の公開デモンストレーションから見えてきたメリットや課題について、ご紹介したいと思う。
GyroEye Holoをご紹介
前回の記事でも、簡単に触れたが改めて説明すると「GyroEye Holo」は、Hololensを使った建築向け支援ツールで、現場にマーカーを配置し、Hololensで位置情報を取得したら設計図面等がホログラムとして実寸で現実世界に投影される。
利用方法としては、2次元図面(DXFやDWGデータ)を、GyroEyeコンバータを経由してCMSへアップロードし、アプリ経由でHololensにダウンロード。その後、実際の現場に移動し、Hololensを装着すると、実寸大の図面をその場にオーバーラップさせることができる。
詳しくは、以下よりご覧ください。
・Hololensで設計図面を実寸で現実世界に投影する「GyroEye Holo」が2017年夏頃、販売開始
公開デモンストレーションは、イベント開催前である7月17日(月)~7月18日(火)の2日間に渡って行われた。
初日は木工建込、2日目はサイン貼り、パネル貼りを行い、一連の設営に「GyroEye Holo」が使われた。
動画を見て貰えばわかるように、作業員はHololensを装着しながら、現実空間にオーバーラップされた図面情報を元に設営をおこなっており、基本的に本デモンストレーションでは、紙の図面は最終チェック程度でしか使っていなかった。
短期間で改善された精度面
今回の取材を通じて、筆者が最も有効性を感じたのは、その精度の高さ。
2日目の取材時、パネル貼りを行ってると、どうにも「GyroEye Holo」に表示される図面と現場のパネルに微妙なズレがあるという事が起こり、最初は「GyroEye Holo」側の表示に不具合があるのかと思ったが、実は現場の設営側に問題があった。
具体的には壁パネルの角度が本来22.5度ずつ傾斜がついていく予定が、微妙にズレている甘い設営になっていたのだ。
その差はほんの数度だが、そんな僅かなズレにも気付ける精度の高さに驚いたと共に、実導入へ着実に進んでいるのだなという確かな手応えを感じることができた。
図面と現場の相互作用
ただ、その反面課題もやはりあった。精度の高さが逆に問題になるパターンがあったのだ。
今回のような短期間でブースを設営する場合は、時間的に余裕がないにも関わらず、サービス紹介用に発注していたパネルサイズが図面と違った際、徹底して図面通りに作っていた現場担当者は混乱し、手が止まってしまった。
結局、今から図面の設計を一からやり直す訳にはいかず、現場側の判断で行うしかなかった。
設営可能な時間も決まっているため、現場側にしてみれば図面通りの対応はできないが、時間は押し迫っている。発注通りではないが、近しいものを作ろうと判断するしかなかったのだ。
図面も人の手で作っているため、ミスは付き物。あまり図面の正確さだけを頼りに進めるのも、逆に問題が起きやすい。
正確な図面情報と臨機応変な現場の判断。どちらも依存する関係でなく、相互に作用するような関係を構築するのが重要だと今回の取材を通じて感じた。
前回の実証実験で持ち上がった精度面の課題については、この短期間でかなり向上させることができたのではないだろうか?
ただ、同社は今後も更なる精度向上を図るため、実証実験を行っていく予定とのことだ。
少しづつ実用レベルに近づいてきている「GyroEye Holo」。ビル工事~ブース設営など建築現場での導入に向け、先陣を切って走っている。
まだまだ未開拓なテクノロジーだからこそ、今後も課題は出てくると思うが、走り抜いて欲しいと思う。
ちなみに、本プロダクトの価格帯やリリース日も決定した。
2017年9月に受注開始(出荷日は9月内を予定)し、価格はシステム一式で722,000円(税別 ※HoloLens含まず)
ご興味があったら、以下よりお問い合わせください。
本件の問い合わせはコチラから
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