VR開発企業であるMVRが、同社が開発するヘッドセット「MVR Ascend」のクラウドファンディングを行なっている。
「MVR Ascend」はワイヤレスのスタンドアロン型ヘッドセットであり、従来の2DゲームをVR空間でプレイすることを可能にする。
「MVR Ascend」について
2DゲームをVRでプレイ
「MVR Ascend」はヘッドトラッキング機能を備え、ゲームパッド型のコントローラーによって操作するスタンドアロン型ヘッドセット。
しかしMVRが開発しているのはヘッドセットのみではなく、真の狙いはMVRのヘッドセットと同社が開発したシステムを用いて、従来の2DゲームをVR空間でプレイできるようにすることだ。
同社が開発した「Ascend」システムでは、たとえばPS4、XBoxやPCゲームのタイトルをVRに適応させ、VRゲームとしてプレイできるという。
2Dゲームのプレイ環境がどの程度VRに適応できるのか疑問ではあるが、2Dの高画質ゲームを、VR空間内で簡易にプレイできるのであれば、新しいゲームの楽しみ方が増えるという点で面白いかもしれない。
二極化したVR市場の穴埋めになるか
同社の戦略は、現行のVR市場に二つの方向からアプローチするものだ。
一つ目は、ゲーマーが同社のヘッドセットを用いて2DゲームをVRでプレイできる環境を構築することであり、二つ目は、ゲーム開発者に2Dゲームを手軽にVRゲームに変換する方法を提供することだ。
MVRのスポークスマンによると、現行のVR市場は二極化が進んでおり、MVRの製品やサービスは両極の中間部分を満たすものだという。
VRゲームにキラーコンテンツをもたらすには
VRゲームにAAAタイトルと呼べるキラーコンテンツをもたらすために、既存の2DゲームのAAAタイトルをVRでプレイできるようにする、というのが同社の戦略だ。
MVRが取得した特許には有名ゲームタイトルが名を連ねており、たとえば「グランドセフトオート」や「コールオブデューティ・ブラックオプス3」や「ミラーズエッジ」など、そしてこれらがプレイできるヘッドセットのプロトタイプが既に完成しているという。
同社は現在クラウドファンディングを行なっており、50,000ポンド(約724万円)を目標金額としており、Crowdcubeで支援することができる。
次世代HMDはワイヤレス、スタンドアロンへ
現行のハイエンドHMDはハイスペックなゲーミングPCが必要で、デバイスをPCに接続するためコードがからまったり動ける範囲が限られるが、現在ワイヤレスのスタンドアロン型ヘッドセットの開発が進んでおり、これによってハイエンドVRコンテンツをPCレスでプレイ可能になり、動ける範囲にも制約がない。
しかし、現在のハイエンドHMD主要メーカーであるOculus、HTC、Sonyの動きを見る限り、これら3社の製品に大規模なアップデートが加えられる予定は当分の間ないようだ。
Oculus、HTC、Sonyの動き
Oculusは、少なくとも今後2年間は現行のOculus Riftの販売を継続する予定であり、次世代機種の発表は2019年を予定しているとのこと。
またHTCは、「VRHMDは1~3年の周期で世代交代する」とした上で、本当に新しいものを提供できるようになるまでは性急なバージョンアップしないとのことで、この意向を察する限りHTC Viveにも当面の間、大規模なアップデートはないようだ。
PlayStation VRを発売するSonyもハードウェアのアップデートに関する情報を出しておらず、Oculus創業者のパルマー・ラッキー氏も「2018年半ばまでVRハードウェアに大きな動きはない」と語っている。
参考:Oculus創業者が語る「2018年半ばまでVRハードウェアに大きな動きはない」
しかし、現在数多くのスタートアップ企業からワイヤレスのスタンドアロンHMDが発表されている。
「EXCHIMP AI1」
Kickstarterでクラウドファンディングをしている「EXCHIMP AI1」はオールインワンのワイヤレスHMD。
これは5.5インチのQHD(2560×1440)解像度のディスプレイを内蔵しており、ほとんどのハイエンドVRヘッドセットを超える解像度だ。(HTC Viveは1080×1200)
デバイスの一部をリモコンに内臓しており、これによってヘッドセットの軽量化や発熱の防止にも役立つ。
本体重量も389gと軽量化されている。(HTC Viveは468g)
製品として販売されるEXCHIMP AI1は399ユーロ(5万円)になる予定で、クラウドファンディングのサポーターには値引き制度もある。
「Pico Neo CV」
「Pico Neo CV」は位置トラッキングが可能なワイヤレス/スタンドアロンHMDで、上下左右、前後の移動をトラッキング可能。
クアルコムのSnapdragon 820プロセッサを搭載しており、90Hzのリフレッシュシートによる高精細な映像を映し出すことができる。
4GBのRAMと32GBのストレージを備え、バッテリーの駆動時間は2時間以上。
2017年中の発売が予定されている。
参照元:VRFocus
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.