VR自体も新しい技術なのだが、その中でも流行は存在する。
最初期にはVRヘッドセット自体が珍しいものだった。次にハンドトラッキングコントローラーが広まり、最近話題になることが増えているのはハプティックフィードバックデバイスやワイヤレスVRだろうか。
また、外部にPCやスマートフォンを必要としない独立型のヘッドセットを発表するメーカーも増えている。
オールインワンのヘッドセット
ヘッドセットには、映像の処理にPCやゲーム機を使うものやスマートフォンがそのままディスプレイになるものが存在する。
こうしたデバイスを使うことで、高性能なゲーミングPCを所有するゲーマーや最新のスマートフォンに機種変更したばかりのユーザはVR専用の高価なデバイスを購入することを避けられるかもしれない。
しかし、そうでなければ結局はVRのために高価なパソコンやスマートフォンを購入することになってしまう。
オールインワンに対するイメージ
そうした外部機器に頼らず、内蔵のディスプレイやプロセッサによってVR体験をもたらしてくれるのが独立型のヘッドセットだ。
ただ、初期にこうしたスタンドアロン・オールインワンVRデバイスを開発していたのは無名なスタートアップ企業ばかりだった。開発資金をクラウドファンディングに頼っていることも多く、大手メーカーのような安心感は無い。
だが、現在はGoogleやOculusがオールインワンのヘッドセット開発に取り組むようになっている。2017年の後半から2018年にかけて、単体で利用できるVRヘッドセットが複数出てくるはずだ。
独立型を選ぶ理由
既にモバイルVRやハイエンドVRのヘッドセットを販売しているメーカーまでスタンドアロンのVRヘッドセットを開発しているのは、各ヘッドセットのいいとこ取りをした存在だからだ。
モバイルVRはワイヤレスで扱いやすいが、解像度やコンテンツのボリューム、トラッキング性能でハイエンドVRに及ばない。
ハイエンドVRは映像の品質やリッチなコンテンツが魅力だが、PCとヘッドセットを繋ぐケーブルが邪魔になる。ワイヤレス化するためのアダプタも開発されているが、PCが必要なことは変わらないのでやや扱いは複雑だ。
オールインワンのVRヘッドセットはそれぞれの欠点を克服している。スマートフォンと違ってVRの処理に特化したデバイスなので体験の質が高く、単体で動作するのでケーブルや複雑な設定も不要だ。
価格面でもメリットがある。
モバイルVRデバイスは安価だが、数万円のハイエンドスマートフォンがなければ使えない。ハイエンドVRデバイスはそれ自体も5万円以上する上に、高価なゲーミングPCが必要だ。
独立型VRデバイスであれば、本体の購入コストだけで利用できる。
VR専用のデバイスであることも強みになるかもしれない。
最新型のスマートフォンやゲーミングPCを必要としないユーザの場合、VRのためだけに高価な機器を購入することになってしまう。逆に普段からスマートフォンを使うユーザであれば、VRのために電池を使ってしまうのが気になるかもしれない。
だが、VR専用デバイスならばそうした無駄は避けられる。
各メーカーの動き
Google(HTC/Lenovo)
多くのスマートフォンで利用できるCardboardやリモコンでの操作が可能なDaydreamといったモバイル向けのVRプラットフォームを開発してきたGoogleだが、Daydreamに対応した独立型VRヘッドセットの開発が進められているという。
Daydreamに対応するヘッドセットを開発しているのはHTCとLenovoだ。
両社が開発するDaydreamヘッドセットはいずれも、GoogleのWorldSense技術によってインサイドアウトのトラッキングが可能だ。スマートフォンを使うDaydream Viewとは異なり、外部にセンサーを設置することなく三次元空間におけるヘッドセットの位置を認識できる。
HTCと言えばハイエンドVRデバイスのHTC Viveもあるが、新しいVive Daydreamヘッドセットがこの製品と競合することはないようだ。Vive DaydreamヘッドセットはDaydreamプラットフォームのみに対応し、SteamVRとの互換性はないとされている。
また、操作に使うのもワンドコントローラーではなくDaydream Viewのリモコンに近いコントローラーのようだ。
Facebook Oculus
Facebookは昨年、Oculus Riftのワイヤレス版と言えるデバイス(コードネームSanta Cruz)を公開している。それだけでなく、来年には200ドル程度の安価なスタンドアロン型VRヘッドセットを発売するという情報もある。
このPacificと呼ばれるVRヘッドセットはポジショナルトラッキング非対応だが、人気のモバイルVRヘッドセットであるGear VRよりも高性能と宣伝されている。
Oculusは10月にOculus Connect 4を開催するため、そこでPacificの続報やその他の新しいハードウェアに関する情報が発表されそうだ。
独立型ヘッドセットのイメージ
2017年の後半から来年にかけて発売される独立型VRヘッドセットをイメージする参考になりそうなのが、昨年Qualcommの発表したリファレンスデザインVR820だ。
VR820は片目1440×1440の解像度を持つAMOLEDディスプレイを搭載し、Qualcommの820モバイルプロセッサによって18ミリ秒という低いレイテンシを実現している。
各メーカーの開発する独立型ヘッドセットについてはまだ情報が少ない。Oculus Riftのセールなども行われているが、スタンドアロンのVRヘッドセットに魅力を感じるならしばらくは待ってみるというのも良い方法だ。
年末にかけてWindows Mixed RealityヘッドセットやHTCのDaydreamヘッドセットが発売され、Oculus Connectもある。2017年の後半も魅力的なVRデバイスが多数登場しそうだ。
参照元サイト名:Wareable
URL:https://www.wareable.com/vr/standalone-vr-headsets-explained-5543
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