海外メディアMitTechnologyReviewは、ARプロジェクター「Desktopgraphy」を紹介した。
ランプをつけるように使えるARプロジェクター
同メディアは、アメリカ・カーネギーメロン大学の大学院生Robert Xiao氏が開発したARプロジェクター「Desktopgraphy」のデモ動画を紹介した。
同プロジェクターは、一般家庭に設置されている照明をつけるソケットに専用プロジェクターを取り付けて使う。そのプロジェクターは、取り付けられたソケット下方にあるデスクあるいはテーブルに対して、画像を投影する。プロジェクターには深度センサーが内蔵されていて、画像を指で触れるとプロジェクターが指に反応して、相互作用できるような仕組みとなっている(以下の動画を参照)。
同プロジェクターは、スマホやタブレットの画面をプロジェクターで投影するような機能を実行する、とも言えよう。さらに動画を見るとわかるように、投影された画面の大きさを指を使って変えられるあたりは、スマホおよびタブレットの画面表示機能を超えている。
投影している画面に対してコップ等のリアルなオブジェクトを置くと、同プロジェクターがそのオブジェクトを検知して、投影中の画像をオブジェクトが遮らない場所に動かすことも実現している。
Robert Xiao氏は、同プロジェクターを開発した動機について以下のように話している。
Desktopgraphyを開発することで、スクリーンやデバイスを使ったインタラクションを打破しようと思ったのです。
そうしたインタラクションは、リアリティや現実世界からユーザーを切り離してしまうように感じていました。
…今までのスクリーンやデバイスといったモノをリアルな環境に溶け込ませたかったのです。
以上のような動機から開発された同プロジェクターを使えば、ユーザーは何も装着しなくてもAR的なインタラクションが体験できる。まさに環境に溶け込んだARデバイスである。プロジェクターを取り付ける設備として既存の照明のソケットを使えることも、将来の実用化において大きなメリットとなるだろう。
なお同氏によれば、今後5年をめどに同プロジェクターを実用化する予定、とのこと。
「プロジェクターAR」の展開
プロジェクターとARテクノロジーは、実のところ、非常に相性がよく本メディアでも「Desktopgraphy」によく似たARシステムを紹介してきた。
HoloLamp
HoloLampは、卓上における比較的小さなプロジェクターを使って、卓上にARオブジェクトを表示するARシステムだ。卓上に投影されるものは、Desktopgraphyのように平面的な画像というよりは、むしろHoloLensで表示するような立体感のあるARオブジェクトのように見える。もっとも、ARオブジェクトとのインタラクションについては、以下に引用するデモ動画からは、その仕組みが判然としない。
LightForm
LightFormは、特定のオブジェクトあるいは平面にプロジェクターで画像を表示することによって、AR体験を可能とするデバイスである。投影先が平面だけでなく、立体的なオブジェクトも含まれる点が、Desktopgraphyより優れているところと言えるかも知れない(以下のデモ動画参照)。
MK Player360
MK Player360は、360°動画を室内に投影するという「プロジェクターVR」という珍しい仕組みを実現している。
同プロジェクターに関しては、リアル店舗の内装やモデルルームのVR展示といった応用例が考えられる。
「プロジェクターAR・VR」というシステムは、使える場所が限定されるがユーザーがデバイスを装着しなくてもAR・VR体験できるという大きなメリットがある。こうしたメリットがあるため、現在のデスクトップPCはHoloLensやVRヘッドセットではなくARプロジェクターに代替される可能性もあるだろう。
ARプロジェクター「Desktopgraphy」を紹介したMitTechnologyReviewの記事
https://www.technologyreview.com/s/608198/augmented-reality-on-your-desk-all-you-need-is-a-lightbulb-socket/
「Desktopgraphy」プロジェクトを率いるRobert Xiao氏が作成したプロジェクト紹介ページ
https://www.robertxiao.ca/research/desktopography/
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