テクノブラッドは2017年5月29日(月)から、ネットカフェを対象とした世界初の施設設置型VRコンテンツプラットフォーム『VIRTUAL GATE』のサービスを開始した。
またこれに合わせて、『VIRTUAL GATE』にVRコンテンツを提供するメーカーらのデモ会を含むローンチイベントが開催された。以下ではその様子をご紹介していこう。
「VIRTUAL GATE」とは?
「VIRTUAL GATE」を通じ、ユーザーはたくさんのハイクオリティなVRコンテンツにアクセス可能となる。加えて、優れた視線追跡機能を備えたHMD『FOVE』を使用することで、ユーザーは動きの制限されるネットカフェの個室の中でもコンテンツを快適に楽しめる。
2017年5月29日時点で『VIRTUAL GATE』には国内外のVRコンテンツメーカーが提供する動画、ゲーム、アプリ合わせて250本以上がラインアップされている。
また『VIRTUAL GATE』 は2017年春夏のテーマとして「”会いたい”は”会える”に変わる!」を掲げている。このため現在は、グラビアアイドルやアニメキャラクターなどに「会える」ことをコンセプトとしたファンコンテンツや、未知の風景や体験をユーザーに提供するコンテンツの特集に力を入れているのだという。
『VIRTUAL GATE』 の導入店舗数はネットカフェ店舗数112店舗。将来的には2017年度中に5500店舗、最終的には11800店舗にまで規模を拡大することを予定している。
各メーカーのコンテンツ紹介
ここからは「VIRTUAL GATE」にVRコンテンツを提供するメーカーとその製品を、 イベントに登壇した順に紹介していこう。
シーエスレポーターズ
「Re:ゼロから始める異世界生活」や「KING OF PRISM」など大人気アニメを元としたVRコンテンツなどを手掛ける会社。「Re:ゼロVRで異世界生活」では原作世界に入り込み、ヒロインのエミリアやレムとのコミュニケーションを楽しめる。作中の名シーン「膝枕」を追体験できるモードが搭載されているなど、ファン必見の内容だ。
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エイタロウソフト/サイバード
「マジカルデイズVR」、「イケメン戦国◆時をかける恋VR」などの女性向けVRゲームを展開する。従来「女性はVRより2D立ち絵のキャラクターの方が好むのではないか」と認識されていた。しかし同社が調査した結果、女性向けVRコンテンツは十分な潜在需要を有していることが明らかになったという。同市場の開拓に期待を寄せている様子が伺えた。
MyDearest
「VR×エンタメで「共感」を最大化すること」をコンセプトに、VRライトノベル『Innocent Forest』を開発。VRを通じた読書体験と、物語の見せ場で挿入されるアニメーションの組み合わせがユーザーに斬新な読書体験を提供する。『VIRTUAL GATE』には7月中旬から対応予定。
360Channel
400本以上の360°VR動画の見放題サービスを提供する。オリジナルコンテンツの『4人目のダチョウ倶楽部』ほか、『SPACE DRIFTER 宇宙遊泳』、『ANA機体工場見学』、『SASUKE 2017 VR特別映像』、『グラドル デリバリー箱』などユニークなテーマの動画が現在配信中。
FANTASTICA
グラビアアイドルとのリアルなコミュニケーションが楽しめる3DグラビアVR『FANTASTICA』を開発。「なんともない空間にグラドルが入ってきた」というユーザーの感覚を重視し、たとえばサウンド面ではバイノーラル録音を採用し臨場感を高めるなどの工夫をしたという。イベントでは出演したグラビアアイドルの4人が登壇し、VR作品に対するそれぞれの期待や意気込みを語った。
AOI Pro.
「とっておきの場所で素敵な人と「会える」コンテンツ」をテーマに、FOVE用の実写コンテンツ『VR Private Tour』を展開。イベントでは筑波大学などと提携し開発した歩行体験VR『WONDERFUL WORLD』や、香るVRデバイス『VAQSO』を発表した。視覚以外の感覚情報からも、より豊かなVR経験を構築しようとする同社の姿勢が明確に感じとれた。
THIRTEEN FLOOR
360°コンテンツの開発を手掛けるほか、現在バンコクに同社のオリジナルコンテンツや4DXを体験できるテーマパークを建設中であり、多方面に事業展開をおこなう会社。イベントでは同社の新作コンテンツへの収録協力を依頼した日韓のプロレーサーも招待され、VR撮影に臨んだ際の体験談などを語った。
Mixed Realms Pte Ltd
映画『マトリックス』や『GHOST IN THE SHELL』に見られるアクションと、「忍者」という要素を組み合わせて作り上げられたVRアクションゲーム『SAIRENT』を昨年12月にローンチ 。同作のレビューやプレイ動画がSNSを通じて拡散し大反響を呼んだ。「スーパーヒーローになった気分だ!」という56歳プレイヤーの感想は、ゲームの操作性が優れていることを示している。
SKONEC
『Mortal Blitz for PSVR』などのコンシューマーVRから、『Mortal Blitz Walking Attraction』などユーザーが現実世界で動きつつプレイするタイプのロケーションVRも開発している。また建築、教育、ショッピングなど産業各分野とVRの融合を目指すコンバージェンスVRという事業構想も掲げる。ゲームの提供に留まらず、VRのビジネスへの応用可能性を幅広く模索中のようだ。
サードウェーブデジノス
今回、イベントに参加した中で唯一のパソコンメーカー。Virtual Gate向けのゲーミングPC『GALLERIA VG推奨モデル』の提供を発表した。グラフィックカードにはGeForceGTX10シリーズを採用し、VRコンテンツに適した処理能力を確保している。またHDMIとUSB端子がフロントパネルに配置されており、VRデバイスを容易に接続できるよう配慮した設計がなされた特別製モデルとなっている。
ネットカフェへの展開は大きなビジネスチャンス
『VIRTUAL GATE』の特長は、自前のVR機器を揃えていない人にもVR関連コンテンツへ 「気軽に」アクセスする機会を提供する点にある。現在VR普及の障壁となっている要因の一つが高価格なVR機器購入に対する「コスト高感」だ。
だが『VIRTUAL GATE』はこの問題を解決し、VRコンテンツの社会的浸透をリードしうる。なぜならユーザーは『VIRTUAL GATE』を導入したネットカフェに来店するだけで、ハイクオリティなVRコンテンツを気軽に体験できるようになるからだ。
このため、メーカーは『VIRTUAL GATE』をビジネス上有力なプラットフォームになることを期待している。発表からは全体的にそういった期待感が伺えた。
体験会レビュー
イベントでは『VIRTUAL GATE』コンテンツの体験会もおこなわれた。もちろん記者も参加してきたので、その内容を報告しよう。
『Project Falcon』のレビュー
体験したのは、HMD『FOVE』を手掛けたFOVE社が開発した FPSシューティングゲーム『Project Falcon』。 プレイヤーはロボットのコクピットに乗り込み、 ガトリング砲とミサイルを場面に応じて使い分け、次々と出現する敵ロボットを撃破しながらステージを進んでいく。
敵へのロックオンはプレイヤーが視線を向けておこなう。 首を動かさずに敵を「視るだけ」というゲームスタイルによって、プレイヤーは体を十分動かすスペースのないネットカフェでプレイに集中することができる。
視線を向けた場所に銃弾を撃ち込めるというゲームスタイルは直感的で理解しやすい。そのため全くのFPSゲーム初心者の記者でも十分な爽快感を得ることが出来た。
その反面、途中で画面遷移が分かりにくい箇所があったり、またステージが全体に暗いことから敵機体の出現場所が目視しにくいと感じる場面もあった。とはいえ全体的にはプレイヤーが十分ゲームに没入して楽しめる仕上がりになっていたと言えるだろう。
『FOVE』の使用感
『FOVE』 は『VIRTUAL GATE』に使用されるHMDだ。そこで今回は『FOVE』の使用感についてもレビューをおこないたい。
まず装着感。『FOVE』はマジックテープを使ってサイズを調整できる。ユーザーの頭に適度にフィットさせられるので、圧迫感などは感じず、プレイに集中することが出来た。
『FOVE』ではゲーム開始前に各プレイヤーに合わせ、視線追跡の設定をおこなう必要がある。記者はこの設定が上手くいかずまごついてしまったのだが、最終的にはゲームに支障のない程度に設定できた。
ただやはり、首を動かさず目線だけでプレイする、というスタイルに慣れるには若干の時間を必要とする。といってもわずか10分間という体験時間の間で、記者も大分慣れることが出来たので、この点はあまり気にしなくていいかも知れない。
ただ、やはり視力の悪い筆者にとって一番辛かったのは、『FOVE』装着時には眼鏡を外さなければプレイが出来ないということだった。実は先に述べた敵機の視認しづらさも、これに起因するところが大きい。ネットカフェでVRゲームをプレイする時は、コンタクトにして行った方がいいのだろうか……。
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