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東海国立大学機構と富士通、生成AIを用いた診療データの活用により治験候補患者の選定に貢献


東海国立大学機構と富士通は、日本のドラッグ・ロス解消を目指し、生成AIを活用した診療データの構造化を通じて治験候補患者を効率的に選定する実証実験を行いました。この実験では、名古屋大学と岐阜大学の病院が保有する1800人の診療データを基に、過去の治験で42人の候補者を抽出し、そのうち実際に適格だったのは27人でした。これにより選定時間を1/3に短縮でき、対象疾患や施設の拡大とともに、治験での活用が今後の課題です。

東京, 2025年5月23日 - (JCN Newswire) - 名古屋大学と岐阜大学を運営する国立大学法人東海国立大学機構(注1)(以下、東海国立大学機構)と富士通株式会社(以下、富士通)(注2)は、日本の社会課題であるドラッグ・ロスの解消を目指し、診療データを用いた治験候補患者選定の実証実験を実施し、臨床研究における有用性を確認しました。

本実証実験では、名古屋大学医学部附属病院(注3)および岐阜大学医学部附属病院(注4)が保有する約1,800名の診療データと、生成AIを活用することで、診療データにおける非構造化データの構造化を約90%の精度で実現しました。そして、構造化したデータをもとに、過去に実施済の3つの治験において治験候補患者のスクリーニングを実施したところ合計42名が抽出され、そのうち実際の適格患者は27名含まれていることを確認しました。診療データには医師による所見の記述など、そのままでは管理や分析に使うことが難しい非構造化データが多く含まれているため、治験候補患者の選定には医師が個々に診療データを確認しなければならず、治験の長期化が課題でした。本実証実験の結果により、治験候補患者の選定にかかる時間を3分の1程度まで削減し、医療従事者の迅速な意思決定を支援するとともに、患者が最適な治験へ参加する機会の向上が期待できます。今後、両者は本取り組みの対象疾患や実施施設を拡大し精度向上に取り組むとともに、実際の治験での活用を推進していきます。また、本実証実験の結果は、Paradigm Health, Inc.(注5)の世界最先端の治験プラットフォームと連携し、医療機関や製薬企業などと共に治験領域で医療データを活用した新たなエコシステムを構築することでドラッグ・ロス解消に貢献します。

実証実験のイメージ実証実験のイメージ

実証実験の概要

1. 実証期間

2024年9月25日から2025年3月31日まで

2. 対象データ

名古屋大学医学部附属病院および岐阜大学医学部附属病院が保有する2019年4月1日から2024年3月31日までの期間における乳腺外科の約1,800名の診療データ

3. 実施内容と成果

本実証実験は、以下の通り2段階で実施しました。

1段階目:診療データの非構造化データから生成AIによる被験者選定の対象となる項目の抽出

乳がんに関連する治験で必要なデータ項目一覧を作成し、構造化データと非構造化データに分類しました。医師記録や各種検査結果レポートなどの非構造化データに対しては、患者の病期・病態、病理・腫瘍評価といった項目を中心に、生成AIを用いて構造化を行い、約90%の再現率を実現しました。

2段階目:構造化データを活用した治験候補患者のスクリーニング

1段階目で構造化した全患者の診療データを治験リポジトリ(データベース)に集約し、過去に実施された乳がんに関する治験プロジェクト3件を対象に検証を行いました。各治験の適格基準・除外基準に基づき、この治験リポジトリをスクリーニングした結果、合計42名の治験候補患者が抽出され、そのうち実際の適格患者は27名でした。

なお、データ分析のプラットフォームは、富士通の医療分野におけるデータ利活用のためのクラウド型プラットフォーム「Healthy Living Platform」を活用し、高度なセキュリティを担保した環境で実施しました。

4. 各者の役割

東海国立大学機構:医療的な視点から治験候補患者選定における重要な知見の提供
 研究代表者 : 名古屋大学医学部附属病院 病院教授(実証実験当時)水野 正明
 研究協力者 : 名古屋大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学 特任教授 増田 慎三
   岐阜大学医学部附属病院 乳腺外科 教授 二村 学
   名古屋大学医学部附属病院 電子カルテ管理室 室長 松下 正
   岐阜大学医学部附属病院 医療情報部部長 森 龍太郎
富士通:診療データの構造化モデルおよび治験候補患者選定AIモデルの構築、セキュアな分析環境の提供

 

今後について

東海国立大学機構は、業務効率の向上と高品質な診療データを取り扱う臨床研究環境の活用により、東海地区への国際共同治験の積極的な誘致や患者さんへのより質の高い医療提供を目指します。

富士通は、本実証実験の結果をもとに「Healthy Living Platform」を拡張し、生成AIサービス「Fujitsu Kozuchi Generative AI」を用いて医療データの構造化・利活用を促進する機能を2025年5月30日に提供開始します。本機能は、今後、企業向けLLM(大規模言語モデル)「Takane」とも連携し、臨床研究におけるデータ分析の高度化、患者選定の効率化を支援します。今後も富士通は、社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のもと、日本の臨床研究全体のパフォーマンス向上、日本の医療全体の発展に貢献します。

URL https://pr.fujitsu.com/jp/news/2025/05/23-01.html 


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