生産ラインを撮影した写真 |
デジタルツインによるシミュレーション上のイメージ |
両社は今後、製造業に向け、ISIDが持つ構想設計※2領域におけるモデルベース・システムズエンジニアリング(以下、MBSE)※3の知見と、FA プロダクツが有する製造領域における設備・オペレーションの知見を融合し、デジタルツイン※4を活用した革新的な生産ラインの構築を支援するパッケージソリューションを、共同で開発・提供してまいります。
■提携の背景とねらい■
昨今のIoT の進展により、工場設備や製造ラインなどから精緻な稼働データが取得できるようになり、これをもとにコンピュータ上で極めて再現性の高いシミュレーションを可能とする、デジタルツインに大きな注目が寄せられています。
今般の提携のねらいは、両社の知見の融合により、製品設計の初期段階でデジタルツインによる精緻な生産シミュレーションを可能とし、さらにそれを現実の生産ラインとして構築するソリューションを提供することで、製品性能や生産効率の飛躍的な向上、すなわち“生産のブレークスルー”を実現することにあります。
製品設計の初期から生産工程を考慮して検討を進めることの有用性は、従前から認識されてきましたが、これまでは生産工程の精緻かつ網羅的な実績データを設計へフィードバックすることが難しく、実用に足る仕組みの構築が困難とされてきました。IoT の進展によりそれが可能となった現在、デジタルツインを活用した生産ラインの革新は、スマートファクトリーを実現する上で重要な役割を担っています。しかしながら、設計段階におけるシミュレーションやモデル開発の領域と、生産工程の工程設計・実装の領域は、それぞれ異なる専門分野として発展してきた経緯から、双方の知見を兼ね備えた技術者やベンダーがほぼ皆無であるのが現状です。
今般の提携を通じ、この二つの領域をそれぞれ強みとする両社が知見を持ち寄ることで、これまでなし得なかった、構想設計段階において実現性の高い生産シミュレーションから、それに基づく生産ラインの工程設計・実装までのソリューションを、一気通貫で提供することができます。これにより顧客企業は、大きな投資を行うことなくデジタル上に生産ラインを構築し、その実現性や投資対効果について確度の高い検討や試算を行った上で、最小限の投資とリスク、そして最短のスピードで、革新的な生産ラインを現実に作り上げることが可能となります。
■両社の役割と展望■
ISID は創業以来、製品開発のデジタル化を促進するリーディングカンパニーとして1,700 社超の製造業のお客様へのデジタルツールの導入を支援してまいりました。近年はMBSEを支える構想設計支援システムとして「iQUAVIS(アイクアビス)※5」を開発・提供しており、国内外で高く評価されています。2018 年にはMBSE 先進国であるドイツにて欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構と合弁会社を設立し、在欧製造業へ向けてMBSE 事業を展開しています。
本提携においてISID は、MBSE のアプローチを生産ライン設計にも適用し、製品設計と生産ライン設計をコンカレントに行う新たなプロセスを定義すると共に、このプロセスを実現するコンサルティングサービスおよびデジタルツールを提供する役割を担います。
FAプロダクツは製造現場における省人省力化・効率化をはかるロボットシステム・IoTシステムの現場導入の各種パッケージソリューションを展開しております。本提携により、ISIDの技術領域とFAプロダクツの持つ知見とを結び付けた「ソリューションの企画開発」、「お客様のスマートファクトリープロジェクトを一気通貫で提案・実装するプロデュース」の役割を担います。
これまで両社はFA プロダクツが2018 年に開設したSmart Factory Conductor LABO(以下、スマラボ)※6へのISID の参画などを通じ、両社の知見を組み合わせたソリューションの検討と実証を進めてまいりました。そしてこの度、両社の関係をより強固なものとし、“生産のブレークスルー”を実現するパッケージソリューションの開発を加速させるため、資本・業務提携に至りました。
両社は今後、国内外の市場に向けて製造工場のスマートファクトリー化を促進する各種パッケージソリューションを順次投入し、2023年度には両社あわせて150億円規模の事業へと拡大させる計画です。両社の知見を結集したソリューションの提供を通じ、デジタル活用により製造業革新を実現する「次世代ラインビルダー」を目指してまいります。
<資本提携の概要>
1.FA プロダクツの株式を第三者割当増資によりISID が取得
2.出資後のISID の持株比率は20%
3.ISID から役員2 名および事業推進を担う社員数名をFA プロダクツに派遣
※1 スマートファクトリー:CAD/CAE/PLMなどのシステムに蓄積された設計情報や解析情報と、工場における工程作業時間、品質、在庫、リソースなどの実績情報を高度に連携させることで、自律的に生産を最適化する、次世代のものづくり環境を指す。
※2 構想設計:製品に求められる機能・性能を実現するために、実現方式、主要部品の構成・能力などを検討し、大まかな設計諸元を決めていくプロセス。CAD 等を使う詳細設計の前段階として実施される。
※3 MBSE:Model Based Systems Engineering の略。大規模で複雑なシステムや製品の開発において、機械工学、電子工学、情報工学など専門分野の異なるエンジニア同士が「モデル」を共通言語としてコミュニケーションをとりながら開発を進めていくための手法。近年のIoT の進展により、単体のシステムや製品の開発効率を高めるだけではなく、周辺システムとの連携を前提とするスマートコネクティッド製品を開発するための手法として認知が高まっている。
※4 デジタルツイン:デジタルデータを基に物理的な製品をサイバー空間上で仮想的に複製し、将来発生する事象をデジタルの仮想世界で予測することが可能な先進的なシミュレーション技術。
※5 iQUAVIS:ISID グループが開発した構想設計支援システム。自動車や精密機器などの複雑なシステム製品の構想設計段階において、設計のすり合わせが必要な箇所を特定し、最適な設計手順を導くことができる日本初のソリューション。自動車をはじめとする大手製造業約100 社に採用され、特に近年はMBSE を支援するツールとしての活用が拡大中。
※6 Smart Factory Conductor LABO:FA プロダクツが株式会社オフィス エフエイ・コム(代表取締役:飯野英城、本社:栃木県小山市)、ロボコム株式会社(代表取締役:天野眞也、本社:東京都港区)とともに、「世界最新のリアルなロボット×IoTソリューションの体感」と「SIerの育成」を目的に2018年5月に開設した展示施設。(詳細はこちら:http://smartfactorylabo.com/)
【出資、事業に関するお問い合わせ先】
株式会社電通国際情報サービス 製造ソリューション事業部 水谷
TEL: 03-6713-8071 E-mail: g-smafac@group.isid.co.jp
【本リリースに関するお問い合わせ先】
株式会社電通国際情報サービス コーポレートコミュニケーション部 李、多鹿
TEL: 03-6713-6100 E-Mail: g-pr@isid.co.jp
<ご参考資料>
関連プレスリリース
-ISID、製造業のデジタルエンタープライズ実現を支援する「DER 推進室」を設置
~スマートファクトリー分野に本格参入、IoT 時代のものづくり革新を支援~(2016 年6 月22 日)
https://www.isid.co.jp/news/release/2016/0622.html
<電通国際情報サービス(ISID) 会社概要>
社名 : 株式会社電通国際情報サービス(略称:ISID)
代表者 : 代表取締役社長 名和 亮一
本社 : 東京都港区港南2-17-1
URL : https://www.isid.co.jp/
設立 : 1975 年
資本金 : 81 億8,050 万円
連結従業員 : 2,783 名(2018 年12 月末現在)
連結売上高 : 91,024 百万円(2018 年12 月期)
事業内容 : ISID は、社会や企業のデジタルトランスフォーメーションを、確かな技術力と創造力で支えるテクノロジー企業です。金融業務や製品開発の領域で創業以来培ってきた知見に加え、人事・会計など企業活動の根幹を支えるシステム構築の実績、電通グループのマーケティングノウハウ、そしてIoT やロボティクス、AI など先端技術の社会実装に向けたオープンイノベーションへの取り組みにより、社会と企業の課題解決に貢献する、価値あるソリューションを生み出し続けています。
<株式会社FA プロダクツ 会社概要>
社名 : 株式会社FA プロダクツ
代表者 : 代表取締役会長 天野 眞也、代表取締役社長 貴田 義和
設立 : 2011 年
所在地 : 東京都港区新橋5 丁目35 番10 号 新橋アネックス2 階
事業概要 : 「スマートファクトリー構築支援サービス」「スマートエネルギー導入支援サービス」の企画・開発・提供
URL : https://fa-products.jp/
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