東京大学大学院の研究者が開発したAIシステムGAILが、教員によるグループ学習の支援を実現しています。このシステムは、AIによる分析で児童生徒の会話内容を把握し、個別最適な指導を可能にします。
新しい学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められ、その中心にグループワークがあります。しかし、教員一人では同時に複数のグループの議論を把握することは非常に難しく、介入のタイミングを見極めるのも容易ではありません。そこに登場するのが、GAILシステムです。
このシステムはGoogle Cloud Platformを活用しており、まず児童生徒の会話音声をテキスト化し、その後、重要なキーワードを抽出します。教員は、各グループの会話内容をリアルタイムで確認できるため、どのグループに介入すべきかを判断するための情報を得ることができます。この機能により、教員は個々のグループの状況を的確に把握し、適切なタイミングでの介入が可能になります。
実証授業では、教員がGAILを用いてグループワークを観察し、必要に応じて介入を行いました。特に興味深い点は、小学校の教員が特に発話の少ないグループに注目し、中学校の教員はその質に注目したことです。このように、システムを使用することで、教員が新たな視点から児童生徒の発言を評価することが可能になりました。さらに、GAILの使用により、教育現場での機会の幅が広がることが期待されています。
また、AIを取り入れた教育は児童生徒の学習データを自動的に蓄積することができ、教員は普段の授業を通して、より詳細な情報を得ることができます。これにより、児童生徒一人一人の成長を見守るための指導ができると同時に、授業の振り返りや改善に向けた貴重な素材となります。
AIが教員の目や耳を「拡張」し、児童生徒の学びをより多面的に捉えられるようになることで、指導や振り返りのバリエーションが豊かになります。教員の役割はもちろん重要であり、AIはそのサポート役として機能することで、教育の質を向上させることが期待されています。
今後、教育におけるAIの活用が進むことで、学習現場はさらに進化していくことでしょう。この新たな取り組みが、より良い教育環境を提供し、児童生徒の成長を促進する一助となることが期待されます。
【関連リンク】
https://services.google.com/fh/files/misc/gfe-cs-tokyo-uni-baten-es.pdf
執筆:DXマガジン編集部