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ロボットが縦横無尽に走る最先端の物流センター、日本オムニチャネル協会が物流現場の視察会を開催


日本オムニチャネル協会が開催した物流センター視察会では、SBSリコーロジスティクスの「物流センター横浜金沢」が紹介され、参加者は最新の自動化技術の活用法を学びました。同センターでは、ロボットでピッキング作業を自動化し、効率を向上させる「AutoStore」を導入しており、他の物流工程も自社開発のシステムで最適化しています。しかし、完全な自動化の難しさと、人的要素の不可欠性が議論され、他業界との連携が課題解決の鍵とされます。物流業界内外の知見を組み合わせ、新たなアプローチで「2024年問題」のような社会的課題に対応する必要があると指摘されています。

日本オムニチャネル協会は2024年11月13日、物流センターを視察する見学会を開催しました。物流の課題解決に取り組む「ロジスティクス分科会」の参加者約20名が、SBSリコーロジスティクスの「物流センター横浜金沢」を視察。物流業界の「2024年問題」が社会的な注目を集める中、ITや先端技術が物流の最前線でどう使われているのかを体験しました。

ロボット導入でピッキング作業を自動化

ロジスティクス分科会の参加者が視察したのは、SBSリコーロジスティクスの「物流センター横浜金沢」。同社では日本国内はもとより、海外にも倉庫や物流センターを展開。合計160もの物流拠点を国内外に構えます。

「物流センター横浜金沢」は、同社が関東エリアに展開する約5051拠点のうちの1つ。2021年10月に稼働を開始した物流センターです。東京湾に面する場所にあり、周辺には多くの企業が倉庫などを構える一画に位置します。

SBSリコーロジスティクス物流センター横浜金沢

徹底した自動化に取り組んでいるのが最大の特徴です。例えばピッキング作業には、AutoStoreが提供するピッキングシステム「AutoStore」を活用。格子状に整理、保管された商品の中から、発送や移動予定の商品をロボットが自動収集します。格子状に積み上げられたコンテナ上を複数のロボットが移動することで、同時に複数のピッキングが可能です。物流センターの担当者は、「人が1件ずつピッキング作業するよりも生産性は大幅に向上した」と効果を実感します。なお、同施設では「AutoStore」を2基導入。WMSや校内で利用するシステムを独自に開発するほか、するほか、商品搬送や、その他のピッキング梱包工程のマテリアルハンドリング(マテハン)設備との連携システムも独自開発することで、各工程のスループット(生産性・処理能力)の最大化も図っています。

倉庫内を縦横無尽に走る「AutoStore」

見学会の参加者はロボットの機敏な動きに見入るとともに、物流センター内の担当者に質問するなどして、システムの導入効果を確認していました。なおSBSリコーロジスティクスの別の物流拠点では、商品の棚を搬送したりピッキングしたりする「GTP」型ロボットを導入。今後も様々なロボットやマテハンの導入を物流特性にあわせて試行するとともに、現在も活用しているAIによる物量予測や在庫の最適配置を磨き、更なる物流効率の向上も視野に入れます。

物流業界の課題は他業界との共創が解決の切り札に

物流センター視察後は、見学会参加者と物流センター担当者による質疑応答を実施。「AutoStore」を導入するにいたった経緯やシステム連携、さらには外国人を物流センター要員として雇用する取り組みなどについての質問応答が飛び交いました。

「2024年問題」に起因する人手不足にも話が及びました。参加者の中には、「ロボットを駆使した自動化が進むものの、人が作業に関わるをざるを得ないシーンは少なくない。倉庫業務に人がまったく関わらない完全自動化は困難ではないか」と指摘する人もいました。これに対し、物流センターの担当者は「物流拠点では商品の入庫から発送までの一連の工程が商品ごとに異なりがちだ。商品の大きさや重さによっては指定の棚に保管できないなど、商品特性に応じた取り扱いが求められる。膨大な種類の商品を扱う物流拠点では、すべての作業を完全自動化する難度は高い。当社はロボットを徹底活用して省力化に取り組むものの、ロボットを導入しさえすればよいとは考えていない。安全性やサービスレベル、さらには確実性といった物流拠点が本来果たす役割を見失わないことを重視しながら物流特性と工程別にどこを自動化すべきなのか、またその自動化効果を最大化するために、どのような調整・メンテナンスをかけるか、どのように運用を効率化していくかに人による管理と知見を投入していく」との考えを示しました。

日本オムニチャネル協会ロジスティックス分科会で熱い議論がなされた

一方、「ロジスティクス分科会」のリーダーを務める小橋重信氏は、「ECの物流センターにおいて、ここまで徹底的に自動化を追求し、運用にも工夫を凝らしているセンターはなかなかない」と評価しました。それに加え、物流拠点が直面する課題を物流関係者だけで議論するのは望ましくないと指摘します。「『2024年問題』は物流業界の問題にとどまらない。ドライバー不足は社会インフラの根幹を脅かす重大な社会課題だ。物流業界の企業が手を組んで課題解決に取り組むだけでは不十分である。大切なのは他業界を巻き込んで議論を深めることだ。物流業界とは関係ない企業でも、『2024年問題』が少なからず影響するに違いない。こうした課題を、業界という垣根を越えて解決することが必要である」(小橋氏)と述べます。さらに、「他の業界の知見やアイデア、ノウハウをヒントに、これまでとは異なるアプローチで解決策を模索すべきだ。業界という制約を取り払うことが、イノベーションを創出する契機になる」(小橋氏)と強調しました。

SBSリコーロジスティクス
https://www.sbs-ricohlogistics.co.jp/

日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

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