京都市は、株式会社グラファーが提供する自動音声案内サービス「Graffer Call」を導入し、電話応対業務の効率化を図るという取り組みを始めました。この新しいサービスは、AI技術を活用して市民からの問い合わせを迅速かつ正確に処理し、職員の負担を軽減することを目指しています。
このプロジェクトの背景には、京都市が2050年までに「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会」を実現するという基本方針があります。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために、市民が役所に出向かなくても手続きができる環境を整え、業務の効率化を目指郡市のデジタル改革が進められています。特に、行政サービスのデジタル化は急務であり、AI技術を用いた仕組みの導入が重要です。
2021年には「KYOTO CITY OPEN LABO」という公民連携プラットフォームが設立され、民間企業からの新たな提案を募集しました。この試みの一環として採用されたのが「Graffer Call」です。これにより、京都市は民間の技術を取り入れることで、より効率的な市民サービスの提供を図ります。
「Graffer Call」は、AIとプッシュダイヤルを用いたサービスで、従来の電話応対を大幅に効率化します。具体的には、簡単な操作で市民が必要とする情報を取得できる仕組みを提供し、24時間365日、オフピーク時でもサービスを利用可能にします。これにより、市民は必要な情報にいつでもアクセスできるようになるため、利便性が大きく向上します。
さらに、問い合わせ内容に応じて、関連するウェブサイトのURLをショートメッセージ(SMS)で送信することができ、シームレスに情報を取得できるという利点もあります。この新しいシステムにより、無駄な電話の受け応えを減少させ、職員がより専門的な業務に集中できる環境が整います。
京都市の「Graffer Call」の導入により、特に注目されるのは、職員の業務効率の向上と市民満足度のアップです。自動音声応答機能により、職員は簡易な問い合わせ対応から解放され、本来行うべき重要な業務に専念することができます。
また、市民の声に耳を傾けることで、自らが必要とする情報やサービスがどのようなものであるかをデータとして収集し、更なるサービス向上に役立てることが期待されています。これにより、市民からの信頼を得る仕組みが整いつつあるのです。
「Graffer Call」は、2024年11月から実施される予定であり、それ以降の運用においても継続的に評価と改善が行われます。自動音声案内システムがどのように機能し、どの部分を改善すべきかを常にモニタリングすることで、最適なサービス提供が実現されていくことでしょう。
この取組みは、京都市が描く「新たな社会Society5.0」へ向けた第一歩とも言えます。京都の歴史や文化、そして人々の生活を底上げするためには、技術だけでなく、市民の参加と意識も重要であることを認識し、誰一人取り残さない取り組みが今後も続けられていくことを期待したいと思います。
執筆:海道理彩