渋谷区教育委員会は、グローバルなデジタル革命を踏まえ、子どもたちがこれからの時代を生き抜き世界で活躍するために、違いを尊重し協働し思いやりをもって関わるコミュニケーション能力や情報活用能力、問題発見・解決能力を育成することを目的にICT教育システムを導入しています。デジタル機器は鉛筆やノートと同様に、必要な時に自分の判断で活用する道具と位置づけられています。クラウドを活用した同時共同編集により意見を瞬時に共有したり、個別最適な学びを進める学習用ソフトや各種データの分析により個に応じた指導につなげることが想定されています。
渋谷区では児童・生徒用タブレット端末にMicrosoft「Surface Go 2」を採用し、薄型・軽量で持ち運びやすい端末を配布しています。LTE回線を利用できるため「いつでも、どこでも」学ぶことが可能で、充電用ACアダプタも併せて配布しています。導入する学習系ソフトとしては、Microsoft365を基盤に、AIドリル機能・協働学習機能・授業支援機能を統合した学習支援ソフト「ミライシード」、AI英会話「SA for Schools」等を導入しています。Teamsによる遠隔授業配信や同時双方向オンライン学習、OneNoteによる協働学習が可能で、学校や自宅の多様な場面で活用できます。さらに学校と保護者の連絡ツール(Home&School)を導入し、学校便りやアンケート等を直接保護者のスマートフォンに通知する仕組みも整えています。
教育データの活用としては、学習履歴や各種データを集約して可視化する“教育ダッシュボード”を運用しており、子どもたちの状況を多面的に把握し一人ひとりの興味・関心を読み取ることで課題の早期発見やきめ細かな指導につなげています。また全校で一部教科について学習者用デジタル教科書を導入しており、文字の拡大や書き込み、音声読み上げ、メモ付箋の追加などの機能を活用して学びの質の向上を図っています。
学校の学習環境については、全ての普通教室と職員室にWi‑Fiを整備し、タブレット端末用充電保管庫、電子黒板、授業配信用のWebカメラ、ICT支援員の配置など、教室から家庭まで含めたICT環境を整えています。これにより全ての児童・生徒がICT機器に触れる機会を持ち、個性や能力に応じた教育や情報モラルを含む情報活用能力の育成を図っています。児童・生徒用タブレット活用の実践例としては、Microsoft365の同時編集やアンケート機能で意見共有を容易にし、AIドリルやAI英会話で個々のペースに合わせた学習支援を行い、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド化や地域企業連携のプログラミング教育、VLPやメタバースを活用した居場所づくり等、多様な取り組みが紹介されています。

安心・安全への配慮としては、Webフィルタリングソフト「i-Filter」を導入し危険なサイトを遮断するとともに、学校でのネットリテラシー教育や家庭での指導をお願いしています。取り扱い上の注意として落下や水没による破損防止、等の周辺機器利用制限、原則としてアプリのダウンロード禁止などを徹底しています。故障・破損・紛失が発生した場合は総合サービスデスクへ連絡する旨が示されています。子どもたちへの利用指導として、端末の持ち運びや充電管理、個人情報の取り扱い等のルールを学校で指導しており、家庭でも同様のルール共有を求めています。
健康面では夜間モードの活用、就寝1時間前の使用停止、30分に1回は20秒以上画面から目を離す等の具体的な注意喚起がなされています。保護者向けには教育データの活用目的と管理、タブレットの取扱い注意、故意または重過失による破損時の費用負担の可能性、家庭でのデジタルシティズンシップ教育の推奨などが示され、問い合わせは教育ICT政策係(03-3463-2983)へ案内しています。全校で国語・算数/数学・外国語の学習者用デジタル教科書を導入し、一部校で理科・社会の試行導入も行っているとしています。渋谷区教育委員会は、デジタル機器を教育の道具として定着させ、個別最適な学びと協働的な学び、探究的な学びを実現していく考えを示しています。
詳しくは「渋谷区教育委員会」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松