2025年11月、ローソンとKDDI、auエネルギーホールディングス、エナリスの4社が群馬県内32店舗を対象に、太陽光と蓄電池を組み合わせた店舗間電力融通の実証を開始します。本実証はコンビニ業界で初めて複数の再エネ設備を店舗間で最適融通する取り組みであり、通信・予測・遠隔制御を軸としたエネルギーDXの先行モデルとなることを目指します。
実証が目指すチェーン単位のエネルギー最適化

群馬県内の32店舗を統合制御の対象とし、26店舗に蓄電池、うち2店舗にソーラーカーポート等の太陽光設備を導入して、発電・蓄電した再エネを店舗間で最適融通する仕組みを検証します。KDDIは通信基盤を提供し、エナリスは発電予測とDERMSによる統合制御を担い、ローソンが設置・保守・運用を行います。実証の核は、分散した創エネ/蓄エネ資源をチェーン単位で見える化し最適配分することで、店舗単独では達成しにくい自己供給率向上と系統への負荷軽減を同時に目指す点です。
技術面では、エナリスの発電量予測とDERMSにより短中期の充放電スケジュールを作成し、KDDIの安定した通信でリアルタイム制御を行います。蓄電池は需給調整や容量市場への供出を視野に入れた運用も検討され、これによりピークシフトや急変動緩和が期待されます。運用上のポイントとしてはサイバーセキュリティ対策、故障時の責任分界、データ管理ルール、収益配分の設計が挙げられます。これらは実証を通じて具体的な運用ガイドラインに落とし込む必要があります。
期待効果はチェーン全体でのCO2排出削減、地域の電力需給安定化、そして災害時における店舗の事業継続性向上です。停電時に蓄電池から照明やレジへ電力を供給することで、コンビニが地域のライフラインとしての役割を果たすことが可能になります。課題は制度面の整備、非常用電源の法的扱い、収益化スキームの確立であり、自治体連携や補助制度の活用も普及拡大の重要要素となります。
本実証はコンビニ業界におけるエネルギーDXの実践であり、技術・通信・運用ルールを組み合わせてチェーン単位の脱炭素と安定化を目指す先行モデルです。実証で得られるデータと運用知見を基に段階的な拡大と標準化を図れば、地域単位の小規模電源ネットワーク構築や業界横断の普及に繋がる可能性があります。
詳しくは「KDDI株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權