ドン・キホーテ渋谷本店は、売上の約70%をインバウンド(訪日外国人旅行者)からの収益が占めており、外国人顧客が商品を容易に探せる仕組みが求められていました。この要望に応えるため、同店は来店者が求める商品の陳列場所を画像を通じて検索できるAIサービスを導入しました。このサービスは、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)グループと、データ関連事業を手掛けるブレインパッドの共同開発によるものです。
新たに提供される「店舗内商品AI検索サービス」は、来店客がスマートフォンに保存した商品画像をアップロードすることで、その商品の陳列位置を提示します。これにより、顧客は商品を探すために店内を歩き回る手間が省け、買い物の利便性が向上します。特にインバウンド客にとっては、言語の壁を超えた快適なショッピング体験を提供することが期待されています。
ドン・キホーテ渋谷本店では、約130万点の商品を取り扱っていますが、以前は商品の陳列場所を示すデータベースが存在しませんでした。新サービスに際して、商品棚のIDとSKU(Stock Keeping Unit)を関連付ける棚割りデータベースを構築し、画像解析技術によって商品の位置を特定できるようにしました。このシステムは、異なる棚に置かれた商品を正しい棚に戻す作業にも役立ち、経験の浅い店舗スタッフでも迅速に正しい位置を特定できるようになります。
Google CloudのGeminiやVertex AIの画像認識技術を活用し、検知精度の高いシステムが構築されました。多様な画像がアップロードされても、商品の識別が正確に行えるよう設計されています。これにより、顧客はよりスムーズにショッピングを楽しむことができ、店舗スタッフの負担も軽減されます。結果として、全体の顧客満足度も向上します。特定の商品だけを写した画像をアップロードした場合、検索結果の上位5件には該当商品が100%存在するという高い認識精度を実現しています。この精度向上により、利用者の利便性がさらに高まります。今後は、AIエージェントによるアノテーション作業を導入し、多言語対応にも力を入れていく計画です。この取り組みにより、さらに多くの顧客に対応できる仕組みが整い、国際的な顧客体験が向上することが期待されています。
詳しくは「株式会社movブレインパッド」の公式サイトまで。
レポート/DXマガジン編集部小松