「高校で習った数学、社会に出てから何に使えるの?」──そんな疑問に明快な答えを示す調査結果が注目を集めています。実務で役立つ数学分野として意外なトップに輝いたのは“あの分野”。一方で、ある重要な概念については認知率の低さが浮き彫りとなりました。学びと仕事の“ギャップ”が、あらためて問われています。
「確率・統計」がトップに。現場の実感が反映
学研グループのスキルアップ研究所が2025年2月に実施した全国調査(対象:20代~60代、回答数300名)によりますと、「高校数学で実務に最も役立つ分野」として最も多くの支持を集めたのは「確率・統計」(34.9%)でした。
市場分析やリスク評価、売上予測といった場面で、データに基づく意思決定を行う企業が増えていることから、この分野の重要性が現場で強く実感されていることが分かります。特に「データの分析」や「統計的な推測」は、ビジネスパーソンにとっての“共通言語”となりつつあるようです。
一方で、「共分散」という専門的な概念について「実務で使っている」と自覚している人は10.3%にとどまりました。しかし、「Aを選ぶ人はBも選びやすい」といった相関関係や因果関係といった視点まで含めて捉えた場合には、35.7%の人が「活用している」と回答しており、日常業務の中にすでに自然と取り込まれている様子もうかがえます。
また、「数学が苦手でも、ExcelやPythonなどのツールを活用すれば対応できる」と答えた人も35.7%と最多となり、ツールの進化によりリスキリングの“心理的ハードル”が下がっていることも見て取れます。
今回の調査からは、実務で求められる数学スキルと、学校教育で教わる内容との間に、言葉の壁や表現の違いといった“ギャップ”が存在していることが明らかになりました。今後の教育現場では、こうした概念と実践をつなぐ「橋渡し役」としての視点が、ますます重要になっていくと考えられます。
詳しくは「学研グループ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部海道