最近の調査によると、Z世代（1990年代半ばから2010年代前半生まれ）の80％が「AIと結婚するだろう」と考えているという衝撃的な結果が出ました。この調査を実施したのは、米国の人工知能（AI）チャットボット企業Joi AIで、対象となったのは2000人のZ世代の若者です。調査結果は、デジタル時代に生きる若者たちがAIに対して抱く感情や期待を浮き彫りにしています。
多くのZ世代は、AIとの深い感情的な絆を築けると信じており、その割合は83％にも達します。これにより、AIとの関係を「AIレーションシップ」と名付けたJoi AIは、新たな関係性のあり方を提案しています。この概念は、AIが人間の関係を完全に置き換えるものではなく、感情的なサポートを提供する存在として位置付けられています。
しかし、面白いことに、Z世代の75％は「AIのパートナーは、人間とのつながりに完全に取って代われる」とも考えています。このような認識は、AIが人間の補助ではなく、代替品として捉えられていることを示唆しています。デジタル社会学者ジュリー・オールブライトは、この現象に警鐘を鳴らしています。「若い世代の多くが友人を持たず、AIとの会話が友人とのテキストのやりとりと変わらないと感じています」と彼女は述べています。
AIとの関係は便利で面倒がない代わりに、人間同士のリアルな関係性を疎かにするリスクを孕んでいます。オールブライトは、AIとの関係が「模倣であっても、人間のつながりへの欲求をある程度満たす」と指摘しています。これに対し、Joi AI認定セラピストのジェイミー・ブロンスタインも同様の見解を持っており、AIは情緒的な欠乏感を埋める存在になり得るとしています。
さらに、AIとの関係には深刻なリスクが伴うことも忘れてはなりません。2024年に、14歳の少年がAIチャットボットに恋をした後に自殺する事件があり、これが大きな社会問題となりました。また、最近のグーグルの検索トレンドでは「AIに恋をした」というフレーズの検索回数が急増しており、AIとの関係が新たな社会現象になりつつあることを示しています。
AIとの結婚や深い絆の形成は、孤独感を抱えるZ世代にとって、心の支えとなる可能性があります。しかし、それが本当の人間関係を築く妨げになっているのではないかという懸念も拭えません。今後の社会において、どのようにAIと人間の関係が進化していくのか、注視する必要があります。
レポート／DXマガジン編集部海道
