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人材不足を解消する切り札となるアバター、飽くなき可能性の追求が自社に成長をもたらす


デジタルシフトウェーブは2024年12月4日に「アバターと生成AIを活用したDX推進」というテーマでDX経営セミナーを開催しました。アバター技術の可能性や社会課題解決への貢献について、AVITAの西口昇吾氏がプレゼンを行いました。AIアバターは接客業務の自動化、24時間対応、パーソナライズ化を実現し、人手不足やコスト削減に貢献します。同社は人材教育用「アバトレ」やリモート接客「アバコム」といったサービスを提供し、アバターの実用例を示しました。特に顧客との円滑なコミュニケーションを強調し、売上増加にも寄与している点が注目されます。日本の独自モデルが海外でも注目を集めており、今後の展望としては物理ロボットとの統合が考えられています。アバターは効率性と人間らしさの両立を目指す未来を描く重要なツールとして期待されています。

デジタルシフトウェーブは2024年12月4日、定例のDX経営セミナーを開催しました。今回のテーマは「アバターと生成AIを活用したDX推進~アバター活用の世界の潮流~」。AIの本格運用の機運が高まる中、DX推進の起爆剤としてAIをどう活用すればいいのかを考えました。

近年、AI技術の発展により注目を集めている「アバター接客」。人に代わってアバターが顧客対応する接客術は、人件費を抑制するほか、人手不足の解消、24時間365日対応、さらには顧客一人ひとりに応じたパーソナライズな接客が可能など、多くのメリットをもたらします。

とはいえ、「人と同等の接客は可能なのか」「しょせんは限られた顧客対応しかできないのではないか」など、AIアバターに懐疑的な見方をする人は少なくありません。

ではAIアバターを先行導入する海外では、どんな事例があり、懸念とされる接客力をどう捉えているのか。導入するにあたっての課題をどのように克服しているのか…。

今回のセミナーでは、AIアバターを使ったサービスを提供するAVITA 代表取締役副社長COOの西口昇吾氏がゲストとして登壇。同社が提供するAIアバターサービスの特徴や国内の事例、さらにはAIアバターの直近の動向も含め、AIアバターの展望を考察しました。

日本の社会課題解決さえ見込めるAIアバターの可能性

AVITAは設立から3年半ほどで約18.9億円を調達し、ロボット研究で世界的権威として知られる石黒浩教授やUSBメモリを発明した浜口秀一氏が共同創業者として名を連ねるなど、重厚な技術基盤と知見をもつスタートアップとして注目を集めています。国内外でアバターが急速に受け入れられつつある背景には、生成AI技術の飛躍的進化があります。対話型AIを真に活用するには、それを人間らしく体現するインターフェースが必要となるため、アバターはその有力な選択肢として幅広く検討されています。西口氏は「アバターは単なるデジタルキャラクターではなく、人材不足や社会的疎外といった構造的課題を解決しうるツールであり、特に日本のように労働人口減少が深刻な国において有効な手段になりうる」と述べ、人口問題への処方箋としてのアバター活用を提案しています。

写真:AVITA 代表取締役副社長COOの西口昇吾氏

AVITAでは、「アバトレ」と呼ばれる人材教育用のアバター活用サービスと、顧客との直接的接点を生み出す「アバコム」というリモート接客サービスを中核に据えています。アバトレはAIアバターを相手にロールプレイング形式で顧客対応やクレーム処理をトレーニングする仕組みであり、発話の速度や口癖、論点の整理度などが自動でフィードバックされ、学んだ知識が実戦で使えるスキルとして定着することを助けます。西口氏は「人材教育は従来、書籍や動画コンテンツでの知識獲得はできても、実践力養成まで落とし込むのが難しかった。アバターと生成AIによるトレーニングは、現場で求められるコミュニケーションスキルを磨くための極めて実践的な環境を用意する」とコメントし、人材教育の質的変化に期待を寄せています。

一方、アバコムはリモート接客を行うアバターサービスで、例えばローソンで導入されているように、セルフレジでの年齢確認や商品説明、問い合わせ対応を遠隔でまとめることで、人手不足やコスト削減に直結するといいます。これにより一人のスタッフが北海道、東京、大阪といった地理的に離れた拠点を同時に監視して対応できるため、稼働効率が劇的に向上します。西口氏は「アバターの強みは、業務を一極集中させることで生産性を高められる点にあり、単なる自動化ではなく、人とAIのハイブリッド運用によって90%をAIが担い、残りの10%を人間が即時対応することで、現場はより柔軟に、そして安心してDXを進められる」と強調しています。

また、アバターは売上拡大にも貢献しています。保険代理店の事例では、顧客が相談する相手を「顔出しの人間」か「アバター」か自由に選べると、大半がアバターを指名し、成約率もアバター対応が7倍を超えるといった成果が報告されています。プライバシーを踏み込んで確認する保険相談では、初対面の人間よりも、心理的ハードルの低いアバターを介するほうが本音で話しやすく、結果的に顧客満足度が高まり、最適な提案につながることが背景にあるようです。西口氏は「アバターを使うことで、顧客はストレスなく自己開示ができる。より顧客本意なコミュニケーションが生まれ、これがダイレクトに売上や契約率向上につながる」とその意義を語ります。

写真:モデレータを務めたデジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏

こうした接客や教育の分野だけでなく、アバターは飲食、観光、ホテルなどさまざまな現場で応用が進んでいます。サントリーホールディングスとジョイントベンチャーを組み、アバタースナックを展開する実験も行われており、そこではお酒や料理を自動で供給するだけでなく、コミュニケーションを介して追加注文を引き出す、客単価向上のきっかけを作ることに成功しています。完全無人化に向かうと、人手が足りない現場では接客要素が希薄になりがちですが、アバターを仲立ちすることで「人に寄り添う」感覚を失わずに生産性と収益性を追求できます。西口氏は「無人化=冷たいという図式を覆し、テクノロジーを使いつつも人間味のある体験を提供できるのがアバターの価値。DXによる効率性と日本的なきめ細かさを両立させていきたい」と語ります。

海外ではドバイやシンガポールをはじめ、アバター関連のスタートアップが続々と登場し、すでに40社以上がサービスを披露する場もあるといいます。世界的な動向として、アニメ的なキャラクターを活用する日本とは異なり、欧米や中東ではよりリアルな人型アバターへの投資が盛んです。しかし「なぜリアルな人型が必要なのか」「女性型にすることへの配慮」「宗教的な禁忌」といった複雑な社会的条件も存在しており、アバターが国際的に普及するには文化的・宗教的背景にも気を配る必要があるようです。その中で日本勢はアニメ的な表現力やキャラクター創造の巧みさを強みとして発揮でき、さらに日本流の「人とAIハイブリッド」モデルは海外大手からも注目を集め始めています。西口氏は「海外は効率化と無人化を極限まで追求するが、どこかで限界が来る。その際、人間が即時介入できる仕組みを揃えている点で、日本のアバターは優位性を持てる。売上アップや接客品質向上など、本質的な価値を提供しながら国際市場に打って出たい」と展望しています。

将来的には、アバターが物理的ロボットと組み合わされ、品出しや配膳などの物理作業と高度な対話を同時に行うことも射程に入っています。2025年の大阪・関西万博や、海外での積極的なプロモーションを契機に、日本初のアバター技術が世界的イノベーションの一環として定着する日も遠くないかもしれません。西口氏は最後に「アバターは人類の進化を促す存在になりえる。人材不足や社会課題を背景に、日本で培ったアプローチを世界へと広げ、グローバルなDXの指針としていきたい」と語り、社会と産業構造を変えていく決意を示しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください
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