犬が臭いものを好む理由と犬が好きなニオイ

犬は臭いものが好きだと思っているかもしれませんが、犬は「臭いから好き」なわけではありません。犬の好きなニオイが、たまたま人には「臭い」ものが多いだけなのです。では、犬はどのようなニオイが好きなのでしょうか。犬が好む、または惹きつけられるニオイについて考えてみましょう。
体から発せられる有機物のニオイ
大まかに説明すると、炭素を含む化合物の総称が有機物です。具体的には、タンパク質、脂肪などで、動物の体からは多くの有機物のニオイが発せられています。
私たちが「犬は臭いもの好き」だと感じる主な原因は、糞便、体液(血液、汗、唾液など)、分泌物(皮脂など)に強く反応するからでしょう。これらには多くの有機物が含まれ、それらのニオイが、犬にはその個体に関する多くの情報源となっています。
特に犬や人の肛門や陰部周辺には、ニオイの元となる分泌物を出す腺が多いため、犬は積極的に股間のニオイを嗅ごうとするのです。
食べ物のニオイ
肉食性雑食動物の犬には、タンパク質と脂肪は貴重な栄養源です。そのため、犬は良質なタンパク質や脂肪が豊富な食べ物のニオイが好きです。もちろん、普段食べ慣れた味を連想させるニオイも好むでしょう。
人には「カレーのニオイ」でも、犬はそこに含まれるさまざまな食材のニオイを嗅ぎ分けられると言われています。たとえ初めての食べ物でも、特定の食材のニオイに強く反応することもあるかもしれません。
飼い主さんのニオイ
犬は、人が発する有機物のニオイから、その人固有の情報を読み取れます。そのため、自分をかわいがってくれる飼い主さんのニオイをしっかりと認識し、ニオイを嗅ぐだけでも安心感を得られると考えられています。
また帰宅後の飼い主さんからは、外出先のニオイ、食べたもののニオイ、会った人や犬のニオイなどがついています。出迎えながら執拗に飼い主さんのニオイを嗅ぐのは、「どこで何をしてきたのか」を探っているのだと考えられます。
楽しい思い出と結びついているニオイ
嗅覚は、視床を介さず、情動や記憶と関連している脳の領域(大脳辺縁系)と直結しています。そのためニオイは記憶と結びつきやすく、犬は過去に経験した楽しい思い出と結びついているニオイも好みます。
ご家族と楽しく過ごした時に嗅いだニオイや子犬の頃から嗅ぎ慣れたニオイの他、シャンプーされるのが好きな犬はシャンプーのニオイそのものなどを好むこともあります。
犬がニオイを執拗に嗅ぐ理由

次に、犬がなぜニオイを執拗に嗅ぐのかという理由についても考えてみましょう。
情報を収集する
一般的に、人は五感のうちの視覚をメインに使うことが多く、犬は嗅覚をメインに使うことが多いと考えられています。そのため、犬はさまざまな情報を「ニオイ」から受け取ります。
自分の縄張りに見知らぬ動物が侵入していないか、飼い主さんがどこに行き何をしてきたのかといった情報や、初対面の犬の性別や健康状態など、多くの情報を得られると考えられています。よく犬同士がお互いのお尻のニオイを嗅ぎ合いますが、これは犬にとっての挨拶なのです。
気持ちを落ち着かせる
例えばペットホテルに預けられるなど、犬が初めての場所でひとりで過ごさなければならないような場合でも、自分や飼い主さんのニオイがついたタオルなどを一緒に入れておくと、そのニオイで気持ちを落ち着かせられることがあります。
同様に、室内にもある程度犬自身のニオイや飼い主さんのニオイが残っている方が、犬は落ち着いて生活できるでしょう。
追跡する
ニオイの元となるのは、揮発性の有機物などです。そのため、ニオイは少しずつ空気中に放たれて漂い、やがて鼻先に到達します。ただ、ニオイの元となる物質は地面や物などにも付着するため、ニオイはその場にもしばらく残ります。そこで、犬は地面や塀、電柱などに付いたニオイの元を辿ることで、獲物などを追跡できるのです。
散歩中に地面や塀などのニオイを執拗にクンクンし、いつものコースとは異なる方向に行こうとする場合は、ミミズなどの気になるニオイを追跡しようとしているのかもしれません。
犬がニオイに執着する場合の対処法

最後に、犬がニオイに執着してしまった場合の対処法について考えてみましょう。
ニオイ嗅ぎポイントが近づいたら気を逸らす
いつも同じ場所でニオイ嗅ぎにはまってしまう場合は、そのポイントに近づいたらおやつや声かけ、アイコンタクト、リードを短く持って一緒に通り過ぎるなどの方法で、犬の気をポイントから逸らしてみましょう。
どうしてもうまくいかない場合や、そのポイントに誤食や殺虫剤散布などの危険要素がある場合などは、そのポイントを避けてしまうのも良いでしょう。
散歩コースを変えたい場合
散歩コースがいつも同じでは、犬によってはマンネリ化して刺激が少なくなるかもしれません。とは言え、全面リニューアルでは知らないニオイが溢れていて、犬はニオイ嗅ぎに夢中になって、なかなか先に進めないかもしれません。
そんな場合は、いつもの慣れたコースを中心に、一部を脇道に逸れてみるなどのコース変更にとどめてみましょう。それを繰り返せば、徐々に新しいコースを開拓することもできるはずです。
室内で気の済むまでニオイを嗅がせる
犬にニオイ嗅ぎをやめさせる必要はありません。散歩中や来客へのニオイ嗅ぎに困っているのなら、普段から十分気の済むまでニオイを嗅がせてあげるという考え方もあります。
室内で、ニオイを使って宝物(おやつやお気に入りのおもちゃなど)を探させるノーズワークなどのゲームをさせ、「嗅ぎたい」欲求を十分に満たしてあげると、普段のニオイ嗅ぎへの執着を弱められるかもしれません。
まとめ

靴、股間など、犬は私たちが「ちょっと恥ずかしい」と思うような臭いニオイを嗅ぎたがります。しかし、ニオイに犬が惹きつけられるのには、きちんとした理由があります。犬の好みや習性を知り、愛犬との暮らしをより快適なものにしていきましょう。
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