1.縄張りの主張
犬がマーキングをする大きな理由が「縄張りの主張」です。
動物は尿や肛門腺から出る分泌液を使って、自分の縄張りに印のようなものをつけています。目には見えませんが、嗅覚が鋭くにおいでコミュニケーションを取る動物には、十分な「マーク」となるとされています。
そのため、普段よく行く公園やいつも通る道など、決まった場所にマーキングをしているときは、「ここは自分の縄張りだ!」とほかの犬に伝えるためにおこなっていると考えられます。
また、電柱や塀などマーキングをすることが多いのは、より高い場所にマーキングをして自分の大きさをアピールしようとしているためです。
2.あいさつや存在のアピール
犬のマーキングは、縄張りの主張だけでなく、犬同士の様々なコミュニケーションに役立てられています。
犬同士がお尻のにおいを嗅ぎ合ってあいさつをしていることは知られていますが、それと同じことをマーキングによっておこなっていると考えられているのです。
犬はにおいによって年齢や性別、体調、気分などの情報を交換できるとされているため、公園や道路にマーキングをしておくことで、ほかの犬に対してあいさつをしたり、自分の状態を知らせたりしているようです。
また、発情期のメスの場合は尿中にフェロモンが分泌されるため、発情期であることをアピールするためにマーキングをおこなうことがあります。そして、それを嗅いだオス犬が上からマーキングを重ねることも多く見られます。
3.ストレスや興奮
犬はストレスや不安を感じたとき、興奮状態になったときなどにもマーキングをおこなうことがあります。
マーキングによって何かを伝えようとしているわけではなく、そういった行動をすることで自分の気持ちを落ち着かせたり、気を紛らわせたりしようとしているのです。
普段はマーキングをしない犬が、緊張した様子を見せたりパニックを起こしかけていたりしながらマーキングをくり返すときは、まずは気持ちが落ち着くように対処してあげてください。
4.トイレトレーニング不足
家の中でマーキングをする場合、ストレスや興奮などが原因となっていることもありますが、常にマーキングをしているのであれば、単純にトイレトレーニングが十分ではない可能性もあります。
犬は自分の排泄物のにおいがついているところに、くり返し排泄をする習性があります。室内でのトイレトレーニングをしっかり完了させるためには、掃除と消臭を徹底して、トイレ以外で排泄物のにおいがしないように環境を整えましょう。
5.病気による頻尿
犬がマーキングをするようになったと思ったら、実際は病気を発症していたということもめずらしくありません。
普段よりもおしっこの量が増えたり、少量ずつ何度もするようになったりしたら、膀胱や尿道などに関わる病気にかかっている可能性も考えてみてください。
特に多いのが「膀胱炎」で、頻尿や残尿感による排泄行動の増加、血尿などの症状がよく見られます。また、「尿路結石」「膀胱結石」などの場合は、尿がキラキラとして見えたり、排泄の姿勢を取るのに尿が出ないといった症状があらわれることもあります。
さらに、腫瘍性の疾患の可能性もあるので、マーキング行動が気になるようになったら、尿の状態もチェックしてみてください。
まとめ
犬の「マーキング」は、縄張りの主張やあいさつ、情報交換などに使う大切なコミュニケーションの手段のひとつです。
しかし、いつでもどこでもマーキングをしていいというわけではなく、道路や建築物などにマーキングをすると他人の迷惑になる可能性があることも考えなければなりません。
室内を中心に、マーキングをさせたくない場所では、専用のパッドやマナーベルトなどを利用してみるのもいいでしょう。
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