日本の神社やお寺は意外と寛容?
日本でも、犬を家族の一員として迎え入れるご家庭が増えてきました。それでも日本は、まだペット後進国だと言われています。動物関連の法整備や動物福祉に対する考え方の違いからくるのでしょう。それでも、日本のペットへの対応がすべて遅れているわけではないようです。
例えばペット先進国では、ほとんどの公共施設にペット同伴で入れます。しかし宗教関連施設のほとんどは、立ち入り禁止です。
ところが日本の宗教施設、特に屋外である境内に関しては、『愛犬同伴禁止』を明確に打ち出しておらず、黙認しているケースも多いようです。
もちろん日本古来の神道や仏教では、四つ足を持つ獣を「穢れあるもの」とする考え方があるため、愛犬同伴不可を謳っている神社やお寺もあります。しかし、最近では『ペット同伴可』を謳ったり、ペット用のお守りや祈祷を受けられる神社やお寺も増えてきています。
その反面、これまで愛犬同伴を「黙認」していた神社が『ペット同伴不可』へと舵を切る事案も起きています。
そこで今回は、愛犬同伴で参拝する際に守るべきマナーや、起こり得るトラブルと備えについて考えたいと思います。愛犬との「初詣」を検討している方はぜひ確認しておきましょう。
『愛犬同伴可』で人気だった神社が『ペット同伴不可』になった実例
埼玉県の三峯神社の公式ホームページには、2019年6月4日付けで『ペット連れでのご参拝に関して』というお知らせが掲載されています。
この神社は『神様の使いとして狼を祀り、古くから「お犬様・山犬・御眷属様」と親しまれており、殊更身近な存在で、神社としても大切に考え』、『長年にわたり境内(社殿等の建物以外)へのペット同伴を黙認して』いたそうです。
しかし『一部の方の心無い振舞いにより信仰の場としての神社の尊厳維持が困難になりかねない事態が起き、熟慮を重ねた結果、誠に遺憾ながら令和元年7月1日よりペット連れでの境内立ち入りをお控えいただくことと決定させていただきました』というのです。
また『歴史ある神社境内の信仰環境護持・清浄の維持は神社職員にとり重要な努めゆえ、何卒ご理解のほどお願い申し上げます』とも書かれています。『信仰環境護持・清浄の維持』という表現から、排泄関連のマナー違反が問題の中心になったと推測できます。
この事例のように犬連れ歓迎という姿勢ではない神社やお寺の場合、同様のことが起きてもおかしくないでしょう。
神社やお寺は広くて自然豊かな境内を持っていることが多く、散歩コースのように訪れる参拝客もおられるでしょう。しかし公共施設ではなく、あくまでも宗教施設の敷地内だということを忘れてはなりません。
愛犬と「初詣」に行く際に飼い主が知っておくべきマナー
ではここからは、愛犬を連れて「初詣」に行く際に、飼い主が知っておくべきマナーについて確認しておきましょう。
たとえ『愛犬同伴可』の場所だったとしても、最低限守るべきマナーがあります。「なんでもOK」と勘違いしないように注意しましょう。
神社やお寺の方針を事前に確認する
事前に必ず愛犬の同伴可否を確認しましょう。以前愛犬連れの参拝客を見かけたとしても、実際は黙認していただけで、現在は禁止の場合もあるからです。
また、ペット同伴時のルールも併せて確認しましょう。
特に混雑する時期は混雑時を避ける
初詣の時期は、境内および周辺の道路が非常に混雑します。時に殺人的な込み具合の場合があり、愛犬にとっても非常に危険です。
ピークを過ぎた1月中旬以降や、1日のうちでも人出の少ない時間帯を選んで参拝しましょう。
小型犬の場合は抱っこやカートを利用
小型犬の場合は必ず首輪やリードを装着した上で、人出の多い境内などでは抱っこまたはカートを利用しましょう。
中大型犬の場合はリードを短く持ち、必ず飼い主さんの足元に付かせて、他の参拝客への迷惑を防止し、かつ愛犬の安全を確保しましょう。
参拝前に必ずトイレを済ませておく
境内に入る前に、必ずトイレを済ませておきましょう。それでも境内の中で催してしまう場合もあるため、必ずゴミ袋、トイレシーツ、マナー水、ウェットティッシュなどを持参し、適切に対処しましょう。マナーパンツ着用も検討しましょう。
愛犬との「初詣」で起こり得るトラブルと備えについて
きっちりと事前の準備をしていたとしても、人混みが予想される「初詣」では何が起きても不思議ではありません。
実際に現場で起こりうるトラブルと備えについても確認しておきましょう。
とっさの出来事にも対応できるようにしておく
飼い主さんの指示に従えないと、すれ違った犬や子どもに飛びかかったり、道路に飛び出して交通事故に遭ったりすることがあります。
それを回避するため、普段から飼い主さんの言う事を聞けるようにしつけておきましょう。いつどんな場所でも言うことが聞けるように、さまざまな環境でトレーニングしておきましょう。
喧嘩を未然に防ぐ
こちらはなにもしていなくても、初詣の場に居合わせた見ず知らずの相手の方から喧嘩を売ってくる場合もあります。
すれ違う犬や子どもの様子をよく観察し、必要であれば、飼い主さんが愛犬と相手の間に割って入る、道を迂回するなど、喧嘩を予防することも大切です。
誤飲事故から愛犬を守る
初詣にいく神社などの境内では、さまざまな食べ物や串、飲み残した甘酒のカップなどが道に捨てられているでしょう。
ちょっとした隙に拾い食いをしてしまい、消化器を傷つけたり中毒症状を引き起こしたりしないよう、愛犬から決して目を離さないようにしましょう。
道具をチェックする
普段よりも入念に、首輪、ハーネス、リードなどの状態をチェックしましょう。
愛犬が人出の多さに興奮してしまい、弱っていたリードを切ってしまうなどの不測の事態が起こして逸走することがあるからです。
「初詣」を中断するという決断も
祈祷を受けている参拝客などもいるため、犬の鳴き声は迷惑になります。吠えだしてやめさせられない場合は、参拝の中断も考えましょう。
他にも、愛犬が人混みを怖がる、蹴られそうなほど混雑しているなどの場合は、愛犬の安全のためにも引き返すことを検討しましょう。
まとめ
複数のご家族と一緒に参拝に行く場合は、交代で愛犬を見ていることができます。しかし、飼い主さんと愛犬の1対1の場合は、どうしても愛犬をひとりで待たせておかなければならない状況が生じることもあるでしょう。
トラブル予防や愛犬の安全確保のためにも、ご家族またはご友人等と一緒に出かけることをおすすめします。
そして周囲に対する配慮を忘れず十分にマナーを守ることで、愛犬と一緒に良い一年のスタートを切りましょう。
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