お盆になると毎年SNSで話題となるのが「今どきの精霊馬」。キュウリやナスで作った、馬ではなくバイクの「精霊馬」や、ロボットの精霊馬も話題となります。
そして今話題となっているのが、今回紹介する「精霊馬」。一般的によく用いられるナスではなく「NAS」を使った精霊馬なんです。
■ 精霊馬とは
「精霊馬」はキュウリやナスを使って作る、馬や牛の形をした乗りもの。ご先祖さまがお盆の期間中、この世へと戻ってくる際に使用する乗りものとして作られます。
キュウリは、ご先祖さまが早く家に帰ってこられるように脚の速い馬を表し、ナスはゆっくり安全に帰れるように牛を表しています。
こうして一般的には野菜がメインで用いられるのですが、今回紹介する北九州市にある浄土真宗本願寺派永明寺の住職が作った「精霊馬」は、ナスはナスでも「NAS」を用いたもの。
「お盆なのでNASで精霊馬を作りました。なくなったデータが戻ってくるのを待ってます」
住職がSNSへと投稿した写真のインパクトもあり、大変な話題となっています。
ちなみに「NAS」とはNAS(Network Attached Storage)の略で、家庭や会社のネットワーク上でアクセスできるハードディスク、通称「ナス」。
「NASとナス」という、知っている人なら思いつくダジャレではあるものの、まさか現実にしてしまうとは……。住職のセンスと行動力に驚きです。
■ NAS精霊馬を作った住職に話を聞いてみた!
それにしても、お寺でもNASを使う時代なのですね、やはりIT化の波はお寺にも影響しているようです。今回はせっかくなのでなぜこの「NAS精霊馬」を作ったのか話を聞いてみました。
--こちらは供養ということは持ち込まれたものでしょうか。
私の私物です。そもそも「浄土真宗」はそういった供養はいたしません。
--すごく聞きたかったことなのですが、もしかして「NAS」だけでなく、デジタルデータに関する供養を行うというサービスを本当にやっておられるのでしょうか?
デジタルデータの供養はしてませんし、先述の通り、そのような類の供養もしませんね。
--NASとナスのダジャレを考えられたのは住職でしょうか?
先日、お盆で忙しいのにNASが吹っ飛んだってポストしたら、フォロワーさんが「きゅうりは大丈夫でしたか?」ってリプをくれたのがきっかけです。
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普段からフォロワーさんと住職とのコミュニケーションが活発だからこそ生まれたギャグだったもようです。
それにしても、宗派的に「精霊馬」を作らないはずのお寺が、「精霊馬」を作り、しかも「ナス」ではなく「NAS」という、情報量多すぎるシュールな展開は、SNSならでは。沢山の人に見てもらえたこの「NASの魂」も浮かばれるのではないかと、祈りたいものです。
ちなみにこのNASは、「IO DATA」の「RockDisk」という商品のようです。これを機に「IO DATAが精霊馬のNAS」を商品化したら面白いですねぇと、最後住職にお話したら「バッファローが出すべきですねw」というキレッキレの回答。
パソコン周辺機器メーカーの「バッファロー」→バッファロー(水牛)→精霊馬の牛……。思わず飲んでいた茶を吹き出しそうになりました。
<記事化協力>
松崎智海(非売品僧侶)@浄土真宗本願寺派永明寺住職(@matsuzakichikai)さん