つい先日Twitterで「将来銅の価値があがるはずなので、10円玉を集めている」といった投稿が話題になりました。
10円玉を銅という金属として扱う……つまり鋳潰す(いつぶす)ということなのでしょうか?
■ 貨幣は鋳つぶす目的で集めてもダメ
貨幣損傷等取締法という法律を紐解くと、貨幣を鋳潰すだけでなく、その目的のために集めただけでも刑罰に処せられます。根拠は第2項「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない」です。
ただしここでふと疑問が湧いてきます。法律の規定には国外犯規定というものが存在し、例えば刑法第2条、第3条には刑法で定められた各条文が国外での行為でも対象とされることが明文化されています。 刑法以外にも、会社更生法第274条など、個別に国外犯規定が定められているものもあります。
貨幣損傷等取締法については、もしかしてどこにも国外犯規定らしきものが記述されてない……?
■ 造幣局と財務省に聞いてみた
というわけで、分からないことは聞いてみるしかない!造幣局に電話取材してみました。
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筆者「お世話になります、Twitterで話題になっている~(事情説明のため中略)というわけで、貨幣損傷等取締法は国外での規定がないように見受けられるので、国外で貨幣を鋳潰した場合、罰則はないのでしょうか?」
造幣局「すみません、造幣局はあくまで貨幣の発行をしているだけなので、法律についてはちょっと……」
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貨幣のことなんだから造幣局に聞けば良かろう、という当方の思い込みで、大変ご迷惑をおかけしてしまいました……。そして心優しい造幣局のご担当者から財務省理財局を案内してもらいました。造幣局ありがとう!
仕切り直して財務省理財局へ電話取材してみました。
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筆者「お世話になります、Twitterで話題になっている~(事情説明のため中略)というわけで、貨幣損傷等取締法は国外での規定がないように見受けられるので、国外で貨幣を鋳潰した場合、罰則はないのでしょうか?」
財務省「仰るとおりなのですが、そのような行為は慎んでいただきたい、というのが財務省としての見解となります」
筆者「そもそも国外に大量に貨幣を持ち出すのが現実的ではないですしね」
財務省「そのとおりです」
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■ 結論
電話で聞いた限りでは、日本円貨幣を国外で鋳潰しても罪に問われる可能性は低い、ということになりますが「そのような行為は慎んでいただきたい」が財務省の見解。
なお、Twitterで話題のケースでいえば、最終的に金属として扱うことが目的(鋳潰す目的)だと考えられるため、やはり集めている時点で「貨幣損傷等取締法2項にひっかかる可能性あるからやめといたほうがいい」ということになります。
ちなみに、破損しやすいお札の場合は?というと国立印刷局がHPで見解を示しており、「法令上、直ちに違法な行為とは言い切れません」としつつ、「お札はみんなで使うものですから、大切に使ってください」と注意を促しています。紙幣も大切に扱いたいですね。
<参考>
貨幣損傷等取締法
刑法
会社更生法
国立印刷局
(ゆっくりドットコム)