「ムズイ法律を、おもしろく」がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士、林孝匡です。
リモートワークが定着し、ペーパーレスへ突入してるこのご時世、裁判所では時代錯誤な「儀式」が行われています。そこで本稿では、私が「裁判所さんよぉ~、時代錯誤すぎるだろ!」と感じた、「裁判所にブチギレた5選」をお届けします。
■ 令和の日程調整が「FAX(ファクシミリ)」
まず、日程調整がオワっています。やりかたが完全に昭和式で止まっているんです。50歩譲っても平成半ば止まり。
日程調整の申請については、「いまどきFAX(クソデカボイス)」で送られてくる用紙に○をつけて返信する方式です。
↓ こんな感じで日時がズラズラと記載されていて、○をつけて戻します。
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記
●月●日 13:30 14:30 15:30
■月■日 10:00 11:00 12:00
(※法廷は○○です。)
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もちろんこちらからも、「ふぁくしみり」での返信が求められます。
FAXはインターネットよりもセキュリティー性が高いとされています。が、時は「令和」。「ペーパーレス」も叫ばれる昨今、日程調整くらいはそろそろインターネットを活用しても良いんじゃ無いかと!!
せめてメールでも!と期待したいところですが、今は裁判所にメールなどない……そう思い込むしかありません。
■ 念押しがハンパない
日程調整の申請がすむと、このあと裁判所からTELがかかってきます。
裁判所「●月●日●時でよろしいでしょうか?」
私「はい、大丈夫です」
裁判所「では〈●月●日●時でOK〉との書面を“ファックス”して下さい」
し○くぞ!いまOKっつっただろうが!と言いたいところですが、怒りがお役所に通じるわけもなく……。毎回、泣く泣く書面を用意し、送信しています。ピーガーーーー!!!
■ 1回目の裁判
こうしたスピード感のないやりとりを経て、ついに裁判へと突入です。
法廷では、荘厳な空気が流れています。独特な緊張感です。
裁判官が入ってきました。弁護士としても、身が引き締まります。そんな張り詰めた空気の中、1回目の裁判では次のやりとりが行われます。
裁判官「訴状の通りでよろしいでしょうか」
私「はい」
裁判官「それでは次回期日を決めましょう!」
理解できますでしょうか?理解できないですよね。1回目の裁判は、これで終了なんです。これで「顔合わせで終了」です。
何のために裁判所に来たんやーーー!訴状に書いてるから、訴状の通りでよろしいよーーー!このためだけに、大阪の事務所から島根まで行ったことがあります。車窓から海を眺めながら泣いてましたよ。
こんな意味不明の儀式が、今日も1000個以上の裁判所で行われています。
■ 証人尋問のとき
やっとドラマでよく見る場面に突入です。「異議あり!」みたいなヤツです。
私がiPadを証人に見せ「この契約書に見覚えはありますよね」と言おうとした、その時!
裁判官が「iPadはダメです。紙を見せて下さい」
私「なぜですか?」
裁判官「なぜって、うーん、規則にないので」
相手の弁護士「そうだ!そうだ!」
このデジタル時代に「iPadはダメです。紙を見せて下さい」とは、「ウォシュレットはダメです。紙で拭いて下さい」みたいな話。お前ら一生、紙でケツふいとけ!!……といいたいところを、ここでもぐっとこらえてます。
■ 判決に近づいたとき
証人尋問が終わると、判決へ進みます。裁判所からTELあり。
裁判所「裁判官が判決を書くのに、林弁護士の書面を写したいとのことです」
私「了解です。書面をメールで送りますね」
裁判所「え?メールは使えません。差し支えなければ、CD-ROMを裁判所まで持参して下さい」
差し支えだらけや!わしゃ飛脚か!
ウソでしょ!と思いますよね。ホンマなんです。1000か所以上の裁判所で、今日もこんなナゾの儀式が行われているんです。
ようやく、IT化しようと動き始めましたが、司法なのでカタツムリの歩みです。また進展があったらお届けします。なお、今後記事内で紹介してほしい法律のあれこれ「こんなこと解説してくれや!」があれば、HP「https://hayashi-jurist.jp」にポストお願いします。
(弁護士・林孝匡)